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第4章 エルセニム国のおてんば姫
第4章第006話 事情聴取
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第4章第006話 事情聴取
・Side:ツキシマ・レイコ
というわけで。私を襲撃しに来たマーリア・エルセニム・ハイザート様改め、マーリアちゃん。
ファルリード亭で食堂の席に座ってます。
銀狼のセレブロさんは、フロアの方で持っててもらいます。後で食べられそうなものを見繕う予定です。
あと。なんとセレブロさんはメスだそうです。ですので、"君"ではなく"さん"にしました。
いろいろ聞きたいことやらはありますが。先に何食べるか決めてしまいましょうか。
「今日はミートソースパスタがお薦めかな。わたし、あれ大好き!」
とモーラちゃん。
いつぞやハンマ親方に依頼した押し出し機が出来て来ました。パスタ用とミンチ用の二種類です。押し出し口の交換ギミックは難しいそうで、それぞれ専用になりますが。
ちなみに、"スパゲッティ"は発音が難しいということで却下になりました。
ファルリード亭のメニュー策定に、モーラちゃんの権力は絶大ですが。さすがにプリンは二週に一回の販売です。まだ砂糖が高いですから。砂糖の輸入量増加は、交易専門のバコー会頭にお願いしてありますけどね。
「先日、伯爵家で披露したばかりのレシピじゃ無いか。…ふむ、私もそれをいただこう」
ジャック会頭は、パスタを選択だそうです。
お昼のメニュー、もう一方のサンドセットの方は、今日はフライサンドとツナマヨサンドですね。
「…聞いたこと無い料理ばかりなんだけど」
とマーリアちゃんが戸惑っています。
「ええと…ほら、あそこの人が食べているのがパスタ。あそこのパンがフライサンドね。お魚のサンド。美味しいよ!」
エプロンを着けた給仕モードのモーラちゃんが説明します。
あ、密偵?のリフトさんとクッフさんも来てます。クッフさんは昼食がまだだったそうで、サンドセットをご注文です。毎度ありがとうございます。…リフトさんも食べかけで出てしまったので、こちらはパスタをご注文です。
タロウさんは、パスタにしましたが、それだけでは足りないそうです。サンド用のパンを追加で頼んでました。
私はサンドのセットで。レッドさん用に三分の一を切り分けます。
マーリアちゃんは、結局パスタとサンドセットの両方頼みました。結構食べますね。
…モーラちゃんに、マーリアちゃん用に手ぬぐいを1枚お願いしました。多分必要になります。
「なにこれおいしい! こんなの食べたこと無い!」
ミートソースパスタをがっつくマーリア様ですが。
さて、ミートソースをがっつくとどのようなことになるのか…そのための手ぬぐいです。襟元に差し込んであげてます。ほら、もうちょっと大人しく食べてください、周囲に二次被害が飛びます。
同じくジャック会頭。
「たしかに、どんなに注意しても飛ぶんだよな… 私にも手ぬぐいをくれないか?」
ジャック会頭は、あの後も何度かパスタを食べているようですね。
ニンニクがあれば、ペペロンチーノとかでも作るのですが。ニンニク風味を持つ玉ねぎはあるのですが、ニンニクそのものがまだ見つかりません。玉ねぎとニンニクを使う料理ならこれで賄えるんですけどね。ここに来て一年経っていませんので、季節物の食材探究はまだまだ続きます。
クッフさんは、フライサンドを美味しそうに食べています。…フライサンドがランチメニューの日にはよく見かける気がしますね、この2人。いつもは交代で食べているそうなので、2人揃っているのはレアなのかも。
リフトさんは、パスタ初めてですか? 気に入ったようで何よりです。
おおっとタロウさん…禁断の食べ方にトライしています。パンにミートソースパスタを挟む! 小麦粉in小麦粉! 日本にも、焼きそばパンとかナポリタンドックなんてものがありましたが。それを自力で発明しちゃいましたか。
マーリアちゃんも、早々にミートソースパスタを食べ終えて、フライサンドに取りかかっています。こちらも美味しそうにザックザックと食べていますね。
食べ終わる頃に、ダンテ隊長とエカテリンさんがやってきました。ジャック会頭を呼びに行った人が、そのまま貴族街に知らせに行ったそうです。まぁ他国から刺客がやってきた!というのなら、国か領の騎士の出番ですよね。
はい、このツナマヨサンドに取りかかって美味しそうに食べているのが、件の刺客です。
どう見ても刺客に見えない美少女と、その刺客と同じテーブルで食事している私達に呆れるような表情のダンテ隊長にエカテリンさん。まぁ、それでどういう状況下はだいたい見当が付いたようですね。
エカテリンさんは、席に着くなりいきなり料理を注文しています。
「…エカテリン、今は仕事中だぞ」
「ダンテ隊長、食事処に入って注文しないのは礼儀に反してますって!」
注文を取りに来たモーラちゃんがうんうんと同意してます。…ダンテ隊長、みごとに一発論破されました。
はい、フライサンドとツナマヨサンド、セットで二つ入りま~す。
とりあえず、ダンテ隊長がマーリアちゃんに質問を始めます。
エルセニム国がダーコラ国正教国連合との戦争に負けて、自分が人質とマナ強化の実験のために正教国に引き渡されたこと。辛いマナ強化や魔獣狩りをしたこと。
エルセニム国に反抗の気運が高まってきていて、自分の人質としての価値をエルセニム側に再認識させるためにダーコラへ派遣されたこと。エルセニム国とダーコラ国との全面衝突を避けるために。
ところが、言い寄ってきたダーコラ国の王太子をぼこったら、次の日に宰相に呼び出されてネイルコード国行きが決まったと。ダーコラ国がネイルコード国に負けて、一気にダーコラ国が不利になり。元凶となった私をダーコラ国に引き込むか確保することで、バランスを取り戻したい…というのが建前ですが。ねぇ?
うーん、ややこしいのかその場凌ぎなのか。そもそも私がダーコラ国に行ったところで、なにか現状が改善されるのやら。この辺はダーコラ国に言いくるめられているような。ちょっと無理を感じます。とくに最後の王太子。ホントですか? それ。
「ダーコラ国や正教国は、エルセニム国がネイルコード国と組むことを警戒してるんじゃないですかね? ここでエルセニム国のマーリア殿がレイコ殿を襲ったとなれば、成功失敗にかかわらずエルセニム国とネイルコード国の関係が悪化してくれると」
フライサンドを食べ終えたリフトさんが加わります。
「もともとは、マーリア殿は人質としてエルセニム国に対する牽制の意味もあったんでしょうが。マーリア殿が手に負えないくらい強くなって、それでいて言うことを聞かなくなってきている。さらに、エルセニム国側も反抗組織を支援なり放置なりして、これ以上奴隷にされる国民が増えるよりはと人質には配慮しないようになってきた。だったらマーリア殿を言いくるめてネイルコード国にぶつけて使い潰してしまえ。上手くすればエルセニム国とネイルコード国で争ってくれる…ってところじゃないかなと」
「正教国は、エルセニム国からマナ塊を得ているとも聞いています。あそこの国は北からの魔獣を塞き止めてもいますし、エルセニム人らはマナ術に秀でているとも聞いています。その辺の事情で正教国もエルセニム国を潰したくはないのでは?。正教国がマーリア殿を欲したのも、その辺の研究目的かも」
クッフさん、けっこう詳しいですね。
ここでダンテ隊長とエカテリンさんの注文が届きます。
…それを物欲しそうに見ているマーリアちゃん。…まだ食べたいですか。
「…どっちか一つ食べて良いぞ」
と、ダンテさんがサンドの皿を差し出します。
「あ…ありがとう!」
フライサンドか?…と手を伸ばしたところで、ちょっと迷ってツナサンドを手に取りました。
「もぐもぐ…やっぱおいしい。…ってことは、私がここに来たのは意味が無かったの? どうすれば良かったの?」
「…ダーコラ国もまさか、レイコ殿が刺客と一緒に飯を食っているとは思わないでしょうな。そういった意味では、ダーコラ国の出鼻をくじいたとは言えるのですが。マーリア殿は、そのままエルセニム国に逃げるって考えはしなかったんですか?」
「…ダーコラ国でもエルセニム人は見かける機会があったけど、扱いは余り良くない。ダーコラ国軍の兵士扱いの者達もいるけど、家族が人質に取られているから従っているだけで、戦争奴隷と大差ないから。…私には見捨てられない」
ダーコラ国では、奴隷というか、人身売買が許されているそうです。あのサッコ・ジムールも、ダーコラ国に自領の人間を売って資金調達していたみたいだし。根本的にまずここをなんとかしたいなぁ…
「ネイルコード国としては、やはり刺客を送り込んできたことに対する抗議をダーコラ国にか?」
辟易とした感じでジャック会頭が聞きます。
「国として抗議しないわけには行かないでしょうが。…なんか今更感はあります。どうせ、エルセニム国側の謀だとか、ネイルコード国の自作自演だとくらいは言いそうです」
エカテリンさんするどいです。
「ありそう過ぎて、意外性も無い」
ダンテ隊長もうんざりした感じです。
「…あまり深く考えていないのでは? 逆に、こちらがなにか裏があるのかと深読みすることを期待している…ってそこまでダーコラが頭が良いわけないか。正教国ならそれくらいやりそうだけど」
とタロウさん。そういえばジャック会頭も、商売面でも正教国はいやらしいようなことを言ってましたね。
「推測はとりあえず置いといて。ともかく事実だけを端的に王都に報告します。判断と対処はそちらに任せましょう。どのみち我々がここで悩んだところで、なにも出来ませんからな」
リフトさん、王都の密偵のくせにもうみんなと和んでしまっていますが。
「マーリアちゃんの扱いはどうなるんでしょう?」
と聞いてみました。
「単なる刺客なら捕縛して王都に連行して尋問…ではあるのですが。すでに洗いざらい喋ってくれていますし、私の心証ですがこれ以上の隠し事も無いように思います。ギルドでの試合も見てましたけど、そもそも私らではマーリア姫の捕縛は無理ですし、そういう扱いはレイコ殿も望まれていないでしょ? だったらもう、この宿でレイコ殿と一緒にしばらく滞在してもらうのが最善でしょう」
私に忖度したというよりは、手に負えなさそうなので放り投げた感がありますが。まぁいいでしょう。
…ミオンさん、お泊まりのお客様、お一人ご案内です。
・Side:ツキシマ・レイコ
というわけで。私を襲撃しに来たマーリア・エルセニム・ハイザート様改め、マーリアちゃん。
ファルリード亭で食堂の席に座ってます。
銀狼のセレブロさんは、フロアの方で持っててもらいます。後で食べられそうなものを見繕う予定です。
あと。なんとセレブロさんはメスだそうです。ですので、"君"ではなく"さん"にしました。
いろいろ聞きたいことやらはありますが。先に何食べるか決めてしまいましょうか。
「今日はミートソースパスタがお薦めかな。わたし、あれ大好き!」
とモーラちゃん。
いつぞやハンマ親方に依頼した押し出し機が出来て来ました。パスタ用とミンチ用の二種類です。押し出し口の交換ギミックは難しいそうで、それぞれ専用になりますが。
ちなみに、"スパゲッティ"は発音が難しいということで却下になりました。
ファルリード亭のメニュー策定に、モーラちゃんの権力は絶大ですが。さすがにプリンは二週に一回の販売です。まだ砂糖が高いですから。砂糖の輸入量増加は、交易専門のバコー会頭にお願いしてありますけどね。
「先日、伯爵家で披露したばかりのレシピじゃ無いか。…ふむ、私もそれをいただこう」
ジャック会頭は、パスタを選択だそうです。
お昼のメニュー、もう一方のサンドセットの方は、今日はフライサンドとツナマヨサンドですね。
「…聞いたこと無い料理ばかりなんだけど」
とマーリアちゃんが戸惑っています。
「ええと…ほら、あそこの人が食べているのがパスタ。あそこのパンがフライサンドね。お魚のサンド。美味しいよ!」
エプロンを着けた給仕モードのモーラちゃんが説明します。
あ、密偵?のリフトさんとクッフさんも来てます。クッフさんは昼食がまだだったそうで、サンドセットをご注文です。毎度ありがとうございます。…リフトさんも食べかけで出てしまったので、こちらはパスタをご注文です。
タロウさんは、パスタにしましたが、それだけでは足りないそうです。サンド用のパンを追加で頼んでました。
私はサンドのセットで。レッドさん用に三分の一を切り分けます。
マーリアちゃんは、結局パスタとサンドセットの両方頼みました。結構食べますね。
…モーラちゃんに、マーリアちゃん用に手ぬぐいを1枚お願いしました。多分必要になります。
「なにこれおいしい! こんなの食べたこと無い!」
ミートソースパスタをがっつくマーリア様ですが。
さて、ミートソースをがっつくとどのようなことになるのか…そのための手ぬぐいです。襟元に差し込んであげてます。ほら、もうちょっと大人しく食べてください、周囲に二次被害が飛びます。
同じくジャック会頭。
「たしかに、どんなに注意しても飛ぶんだよな… 私にも手ぬぐいをくれないか?」
ジャック会頭は、あの後も何度かパスタを食べているようですね。
ニンニクがあれば、ペペロンチーノとかでも作るのですが。ニンニク風味を持つ玉ねぎはあるのですが、ニンニクそのものがまだ見つかりません。玉ねぎとニンニクを使う料理ならこれで賄えるんですけどね。ここに来て一年経っていませんので、季節物の食材探究はまだまだ続きます。
クッフさんは、フライサンドを美味しそうに食べています。…フライサンドがランチメニューの日にはよく見かける気がしますね、この2人。いつもは交代で食べているそうなので、2人揃っているのはレアなのかも。
リフトさんは、パスタ初めてですか? 気に入ったようで何よりです。
おおっとタロウさん…禁断の食べ方にトライしています。パンにミートソースパスタを挟む! 小麦粉in小麦粉! 日本にも、焼きそばパンとかナポリタンドックなんてものがありましたが。それを自力で発明しちゃいましたか。
マーリアちゃんも、早々にミートソースパスタを食べ終えて、フライサンドに取りかかっています。こちらも美味しそうにザックザックと食べていますね。
食べ終わる頃に、ダンテ隊長とエカテリンさんがやってきました。ジャック会頭を呼びに行った人が、そのまま貴族街に知らせに行ったそうです。まぁ他国から刺客がやってきた!というのなら、国か領の騎士の出番ですよね。
はい、このツナマヨサンドに取りかかって美味しそうに食べているのが、件の刺客です。
どう見ても刺客に見えない美少女と、その刺客と同じテーブルで食事している私達に呆れるような表情のダンテ隊長にエカテリンさん。まぁ、それでどういう状況下はだいたい見当が付いたようですね。
エカテリンさんは、席に着くなりいきなり料理を注文しています。
「…エカテリン、今は仕事中だぞ」
「ダンテ隊長、食事処に入って注文しないのは礼儀に反してますって!」
注文を取りに来たモーラちゃんがうんうんと同意してます。…ダンテ隊長、みごとに一発論破されました。
はい、フライサンドとツナマヨサンド、セットで二つ入りま~す。
とりあえず、ダンテ隊長がマーリアちゃんに質問を始めます。
エルセニム国がダーコラ国正教国連合との戦争に負けて、自分が人質とマナ強化の実験のために正教国に引き渡されたこと。辛いマナ強化や魔獣狩りをしたこと。
エルセニム国に反抗の気運が高まってきていて、自分の人質としての価値をエルセニム側に再認識させるためにダーコラへ派遣されたこと。エルセニム国とダーコラ国との全面衝突を避けるために。
ところが、言い寄ってきたダーコラ国の王太子をぼこったら、次の日に宰相に呼び出されてネイルコード国行きが決まったと。ダーコラ国がネイルコード国に負けて、一気にダーコラ国が不利になり。元凶となった私をダーコラ国に引き込むか確保することで、バランスを取り戻したい…というのが建前ですが。ねぇ?
うーん、ややこしいのかその場凌ぎなのか。そもそも私がダーコラ国に行ったところで、なにか現状が改善されるのやら。この辺はダーコラ国に言いくるめられているような。ちょっと無理を感じます。とくに最後の王太子。ホントですか? それ。
「ダーコラ国や正教国は、エルセニム国がネイルコード国と組むことを警戒してるんじゃないですかね? ここでエルセニム国のマーリア殿がレイコ殿を襲ったとなれば、成功失敗にかかわらずエルセニム国とネイルコード国の関係が悪化してくれると」
フライサンドを食べ終えたリフトさんが加わります。
「もともとは、マーリア殿は人質としてエルセニム国に対する牽制の意味もあったんでしょうが。マーリア殿が手に負えないくらい強くなって、それでいて言うことを聞かなくなってきている。さらに、エルセニム国側も反抗組織を支援なり放置なりして、これ以上奴隷にされる国民が増えるよりはと人質には配慮しないようになってきた。だったらマーリア殿を言いくるめてネイルコード国にぶつけて使い潰してしまえ。上手くすればエルセニム国とネイルコード国で争ってくれる…ってところじゃないかなと」
「正教国は、エルセニム国からマナ塊を得ているとも聞いています。あそこの国は北からの魔獣を塞き止めてもいますし、エルセニム人らはマナ術に秀でているとも聞いています。その辺の事情で正教国もエルセニム国を潰したくはないのでは?。正教国がマーリア殿を欲したのも、その辺の研究目的かも」
クッフさん、けっこう詳しいですね。
ここでダンテ隊長とエカテリンさんの注文が届きます。
…それを物欲しそうに見ているマーリアちゃん。…まだ食べたいですか。
「…どっちか一つ食べて良いぞ」
と、ダンテさんがサンドの皿を差し出します。
「あ…ありがとう!」
フライサンドか?…と手を伸ばしたところで、ちょっと迷ってツナサンドを手に取りました。
「もぐもぐ…やっぱおいしい。…ってことは、私がここに来たのは意味が無かったの? どうすれば良かったの?」
「…ダーコラ国もまさか、レイコ殿が刺客と一緒に飯を食っているとは思わないでしょうな。そういった意味では、ダーコラ国の出鼻をくじいたとは言えるのですが。マーリア殿は、そのままエルセニム国に逃げるって考えはしなかったんですか?」
「…ダーコラ国でもエルセニム人は見かける機会があったけど、扱いは余り良くない。ダーコラ国軍の兵士扱いの者達もいるけど、家族が人質に取られているから従っているだけで、戦争奴隷と大差ないから。…私には見捨てられない」
ダーコラ国では、奴隷というか、人身売買が許されているそうです。あのサッコ・ジムールも、ダーコラ国に自領の人間を売って資金調達していたみたいだし。根本的にまずここをなんとかしたいなぁ…
「ネイルコード国としては、やはり刺客を送り込んできたことに対する抗議をダーコラ国にか?」
辟易とした感じでジャック会頭が聞きます。
「国として抗議しないわけには行かないでしょうが。…なんか今更感はあります。どうせ、エルセニム国側の謀だとか、ネイルコード国の自作自演だとくらいは言いそうです」
エカテリンさんするどいです。
「ありそう過ぎて、意外性も無い」
ダンテ隊長もうんざりした感じです。
「…あまり深く考えていないのでは? 逆に、こちらがなにか裏があるのかと深読みすることを期待している…ってそこまでダーコラが頭が良いわけないか。正教国ならそれくらいやりそうだけど」
とタロウさん。そういえばジャック会頭も、商売面でも正教国はいやらしいようなことを言ってましたね。
「推測はとりあえず置いといて。ともかく事実だけを端的に王都に報告します。判断と対処はそちらに任せましょう。どのみち我々がここで悩んだところで、なにも出来ませんからな」
リフトさん、王都の密偵のくせにもうみんなと和んでしまっていますが。
「マーリアちゃんの扱いはどうなるんでしょう?」
と聞いてみました。
「単なる刺客なら捕縛して王都に連行して尋問…ではあるのですが。すでに洗いざらい喋ってくれていますし、私の心証ですがこれ以上の隠し事も無いように思います。ギルドでの試合も見てましたけど、そもそも私らではマーリア姫の捕縛は無理ですし、そういう扱いはレイコ殿も望まれていないでしょ? だったらもう、この宿でレイコ殿と一緒にしばらく滞在してもらうのが最善でしょう」
私に忖度したというよりは、手に負えなさそうなので放り投げた感がありますが。まぁいいでしょう。
…ミオンさん、お泊まりのお客様、お一人ご案内です。
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