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第4章 エルセニム国のおてんば姫
第4章第005話 勝った…のかな?これ
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第4章第005話 勝った…のかな?これ
・Side:ツキシマ・レイコ
ダーコラ国に言われて私を魔女としてボコりに来たというマーリアちゃんとの決闘が始まりました。
マーリア様の獲物、身の丈に合わないサイズの戦斧だなぁ…と思っていたのですが。面白い使い方をしますね。
障害物を利用して戦斧の軌道を変えるのはもちろん。手首を軸にして戦斧を回して、それを急停止させることで今度は体の方を回して、戦斧の運動量を足や拳に乗せて撃ち込んできます。
身体強化無しではまず無理な変則的な攻撃。なるほどこれは初見殺しですね。
グルン!ドカン! クルン!ドコン!
手首だけを介してこの運動量のやり取りをしているわけです。この子のマナ術による身体強化は相当な物のようですね。マナ術には構造強化もあるようですので、骨や筋あたりも強化しているのでしょう。私の探知にも、全身にマナが行き渡っているのか分ります。ただ全身マナの私に比べれば、0.1パーセントにも満たない濃度ですが。それでもこちらの人達の平均は遙かに凌駕します。どうやってこれほどのマナを得ることが出来たのか…
ただ同時に、私に致命傷は与えないようにと手加減しているのも分ります。刃のある方はこちらに向けてこず、背の部分だけで攻撃してきていますしね。
何十合したでしょう、そろそろ疲れたのか焦れてきたのか。マーリア様の攻撃が雑になってきましたよ。
たまに私の方から、ナックルを寸止めで振るってみたりしながら、これからどうしようかな?等と考えていたら、油断しました。
彼女が戦斧の背で岩を叩きます。岩の破片が顔に飛んできました。普通の人なら反応できないのでしょうがマナで出来たこの体、しかも無駄に人間の部分が反応して、手で顔を庇おうとしてしまいました。
腕を上げたところに、脇の下から岩で反射した戦斧が腹に向かって来るのが見えますが…ちょ、刃がこっち向いている。!
マーリア様も、しまったという顔をしていますが。なまじ戦斧が重たくて、止めるのも逸らすのも間に合わない。私が避けるにしてもグリップが足りない! …これは直撃しますね。
ドカッ!
おっふ!
あ~。また服が斬られた…。市場のおばちゃんに嫌み言われるなぁ…と思いつつ、横に飛ばされていきます。そのまま、障害物の丸太にたたき付けられました。
「キャーーーッ」
ん? 悲鳴はマーリア様から聞こえてますが。特にダメージも無いのでスタッと立ち上がります。
「なんで斬れていないのよっ! いや斬れなくて良かったんだけどっ!。」
マーリア様が駆け寄ってくる。
「よかった~死んで無くて。ごめんなさいっ! あそこまでするつもりはなかったのよっ」
涙目で謝られちゃいました。ケガが無いか、私をペタペタ触りまくる。
「服は斬れているのに、ケガ一つ無い…どうなってんの?」
「私の体は、剣とか効かないからね」
「なにそれずるい…」
なんとも言えない顔をされました…ちと申し訳ないですね。
「…銀髪の嬢ちゃんが一本で勝ち…で良いのか?」
いつのまにか審判のラウルさんが、試合の判定してました。たしかに一発いいのを喰らってしまいましたね。
「あんなに思いっきり手加減されていて、勝ったなんて言えないわよ…」
おおマーリア様、以外と潔い。こちらからヒットさせようとしてたら、何発ももらっていたというのは理解しているようです。
…それにしても、この子どうしましょうね?
「…レイコちゃん、お腹空いた」
とモーラちゃん。
そう言えば、お昼ご飯まだでした。一旦皆でファルリード亭へ戻りましょうか。
「マーリア様、私達はとりあえずお昼ご飯食べにファルリード亭に戻りますが。マーリア様はどうします?」
「…様なんて要らないわよ」
…どかで聞いたパターンです。
「じゃあ、マーリア殿?」
「どうもよそよそしいわね」
「じゃあ、マーリアちゃん」
「子供っぽいけど、それでいいわ。私はレイコって呼ぶわよ」
「ぶっふ」
…タロウさんが、なんか吹いていますね。でも放置します。
「ジャック会頭。なんかこんな感じになっちゃいましたけど。いいですか?」
「いやいや、良くは無いけど。仮に拘束しようとしても、あれじゃ勝てる奴はうちにはいないぞ?」
と、ラウルさんを見ますが。ラウルさんも首振って。
「私もあの子は無理です。あんな歳ですさまじい身体強化だな」
取り押さえるに抑えられないマーリアちゃん。それにセレブロさんもいますしね。
「マーリアちゃん。とりあえず決着着いたってことで、暴れないのならファルリード亭で過ごせるようにするけど。どうする? このまま領兵とか軍が出張ってきたら面倒だよ」
「うん…任務失敗だからね。ちょっと身の振り方を考えたいから、それでいいわ」
というわけで。ジャック会頭やタロウさんも加わって、ファルリード亭へ凱旋です。
ラウルさんは、お家で奥様が夕食の準備をして待っているそうですので。お礼を言ってここでお別れです。
・Side:ツキシマ・レイコ
ダーコラ国に言われて私を魔女としてボコりに来たというマーリアちゃんとの決闘が始まりました。
マーリア様の獲物、身の丈に合わないサイズの戦斧だなぁ…と思っていたのですが。面白い使い方をしますね。
障害物を利用して戦斧の軌道を変えるのはもちろん。手首を軸にして戦斧を回して、それを急停止させることで今度は体の方を回して、戦斧の運動量を足や拳に乗せて撃ち込んできます。
身体強化無しではまず無理な変則的な攻撃。なるほどこれは初見殺しですね。
グルン!ドカン! クルン!ドコン!
手首だけを介してこの運動量のやり取りをしているわけです。この子のマナ術による身体強化は相当な物のようですね。マナ術には構造強化もあるようですので、骨や筋あたりも強化しているのでしょう。私の探知にも、全身にマナが行き渡っているのか分ります。ただ全身マナの私に比べれば、0.1パーセントにも満たない濃度ですが。それでもこちらの人達の平均は遙かに凌駕します。どうやってこれほどのマナを得ることが出来たのか…
ただ同時に、私に致命傷は与えないようにと手加減しているのも分ります。刃のある方はこちらに向けてこず、背の部分だけで攻撃してきていますしね。
何十合したでしょう、そろそろ疲れたのか焦れてきたのか。マーリア様の攻撃が雑になってきましたよ。
たまに私の方から、ナックルを寸止めで振るってみたりしながら、これからどうしようかな?等と考えていたら、油断しました。
彼女が戦斧の背で岩を叩きます。岩の破片が顔に飛んできました。普通の人なら反応できないのでしょうがマナで出来たこの体、しかも無駄に人間の部分が反応して、手で顔を庇おうとしてしまいました。
腕を上げたところに、脇の下から岩で反射した戦斧が腹に向かって来るのが見えますが…ちょ、刃がこっち向いている。!
マーリア様も、しまったという顔をしていますが。なまじ戦斧が重たくて、止めるのも逸らすのも間に合わない。私が避けるにしてもグリップが足りない! …これは直撃しますね。
ドカッ!
おっふ!
あ~。また服が斬られた…。市場のおばちゃんに嫌み言われるなぁ…と思いつつ、横に飛ばされていきます。そのまま、障害物の丸太にたたき付けられました。
「キャーーーッ」
ん? 悲鳴はマーリア様から聞こえてますが。特にダメージも無いのでスタッと立ち上がります。
「なんで斬れていないのよっ! いや斬れなくて良かったんだけどっ!。」
マーリア様が駆け寄ってくる。
「よかった~死んで無くて。ごめんなさいっ! あそこまでするつもりはなかったのよっ」
涙目で謝られちゃいました。ケガが無いか、私をペタペタ触りまくる。
「服は斬れているのに、ケガ一つ無い…どうなってんの?」
「私の体は、剣とか効かないからね」
「なにそれずるい…」
なんとも言えない顔をされました…ちと申し訳ないですね。
「…銀髪の嬢ちゃんが一本で勝ち…で良いのか?」
いつのまにか審判のラウルさんが、試合の判定してました。たしかに一発いいのを喰らってしまいましたね。
「あんなに思いっきり手加減されていて、勝ったなんて言えないわよ…」
おおマーリア様、以外と潔い。こちらからヒットさせようとしてたら、何発ももらっていたというのは理解しているようです。
…それにしても、この子どうしましょうね?
「…レイコちゃん、お腹空いた」
とモーラちゃん。
そう言えば、お昼ご飯まだでした。一旦皆でファルリード亭へ戻りましょうか。
「マーリア様、私達はとりあえずお昼ご飯食べにファルリード亭に戻りますが。マーリア様はどうします?」
「…様なんて要らないわよ」
…どかで聞いたパターンです。
「じゃあ、マーリア殿?」
「どうもよそよそしいわね」
「じゃあ、マーリアちゃん」
「子供っぽいけど、それでいいわ。私はレイコって呼ぶわよ」
「ぶっふ」
…タロウさんが、なんか吹いていますね。でも放置します。
「ジャック会頭。なんかこんな感じになっちゃいましたけど。いいですか?」
「いやいや、良くは無いけど。仮に拘束しようとしても、あれじゃ勝てる奴はうちにはいないぞ?」
と、ラウルさんを見ますが。ラウルさんも首振って。
「私もあの子は無理です。あんな歳ですさまじい身体強化だな」
取り押さえるに抑えられないマーリアちゃん。それにセレブロさんもいますしね。
「マーリアちゃん。とりあえず決着着いたってことで、暴れないのならファルリード亭で過ごせるようにするけど。どうする? このまま領兵とか軍が出張ってきたら面倒だよ」
「うん…任務失敗だからね。ちょっと身の振り方を考えたいから、それでいいわ」
というわけで。ジャック会頭やタロウさんも加わって、ファルリード亭へ凱旋です。
ラウルさんは、お家で奥様が夕食の準備をして待っているそうですので。お礼を言ってここでお別れです。
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