玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす

文字の大きさ
上 下
56 / 339
第2章 ユルガルム領へ

第2章第004話 毎度おなじみリバーシです

しおりを挟む
第2章第004話 毎度おなじみリバーシです

・Side:ツキシマ・レイコ

 実は、もう二つほど道具を頼みたかったので、ハンマ親方に相談してみました。

 一つ目は、ミキサーが欲しいのです。マヨネーズを作るのに、泡立て器だけではキツいので。
 ただ、二つの攪拌機部分を手回しで回すのに歯車が必要です。この国に来て、まだ歯車とかネジは見たことがありません。
 簡単な構造図を板に描きます。ハンドルを一回転させると、二つ付いた攪拌機のところが五回くらい回感じで。

 「これは…正教国の時計に使われているってやつか?」

 あ。時計はあるんだ。

 強度、精度も必要だけど。歯車を量産する機械から考えないといけません。
 流石にこれはすぐには無理と言うことで。開発費の名目で手付けを払って依頼するという形になりました。後日契約書ね、アイリさん。
 最後の一つは押し出し機。
 テコの原理のトコロテンの機械とでもいいましょうか。これがあれば、ミンサーの代わりに挽肉作ったりとか、押し出しでパスタを作ったり出来ます。トマトっぽい野菜はあったので、トマト系スパゲッティーは出来るでしょう。ピザとなるとチーズが欲しいところですが。牛乳はあるので、バターや生クリーム含めて乳製品はいろいろ試さないとね。
 押し出し機は、強度が必要なところは鋳造になりそうですが。こちらはまだ構造が簡単なので問題なく作れそうとのこと。たぶんまた奉納行きになりそうだ。とりあえず手付金を払って試作を依頼します。



 とりあえず泡立て器は、竹製のものはすぐ作ってくれるそうです。明後日には納品、早いね。まぁ、曲げた竹串を、竹筒に嵌めて、膠っぽいので固めるだけだし。ただ、それでも二百ダカム、五本作って三百ダカム。量産すると割安だけど、一本六千円ですか、オーダーメードは高いです。それでも多分、定期的に購入することになるでしょう。
 泡立て器は、農村での冬場の内職に最適だと、ハンマ親方が言ってます。やっぱ奉納しとくか?と聞かれたけど、これくらいはまぁいいよね。
 ではこれでよろしくお願いします



 一通り用事も済んだので、帰りましょう…と思ったら。通りがかった皮を加工しているところで、丸い皮が大量に桶に入っているのを見つけました。
 牛の皮あたりを、ロープを通す穴をパンチのような物で開けたのか、コインくらいの丸い皮で、黒とベージュの裏表…。

 これでピンとこない転生者はいない!ということで。タルタスさんに適当なサイズの板を用意してもらいます。
 板がある木工所には墨壺みたいなのもあったので、それで八×八のマス目を書いて…リバーシのできあがり!。

 アイリさんが頭に"?"を浮かべていたけど。アイリさんとタルタスさんを机に座らせてルールを説明します。
 ルールは一分、極めるのに一生だっけ?。完全初心者が対戦してどちらが勝つのか?にはちょっと興味あったのだが。なんと引き分け。
 このあと四回やって、二勝二敗でした。コツは掴めたかな?

 「レイコちゃん、これおもしろい!」

 「ちょっと親方呼んできます!」

 今度は、ハンマ親方とカンナさんの対決。最初の一勝はハンマ親方だったけど、次の三戦はカンナさんの勝ち。先に置いてはいけないところ、先に取っておきたいところ、この辺のコツをカンナさんは早々に掴んだようです。

 タルタスさんは、板をもう一枚作ってきました。丸い皮はまだ桶に一杯あります。
 なんと、タルタスさんとレッドさんの対戦です。…レッドさんの勝ちだけど…リバーシって、あそこまで真っ黒に出来るもんなんだね。

 「クーッ!」

 タルタスさん、呆然としてます。レッドさん、ドヤ顔凄いね。



 桶の中の皮の枚数を数えてから、板をあと五枚用意しました。
 最初の二セットはハンマ親方のところに置いていき、一つはファルリード亭へのお土産。残りはアイリさんがランドゥーク商会に持っていくことに。

 「奉納案件ってだけでも手配と契約回りが大変なのに、それがいきなり二つも… しかもまだ増えそう…」

 しばらく忙しくなりそうです。タロウさんに押しつけちゃえば?

 タルタスさんは、契約前だというのに奉納バージョンのリバーシについて、いろいろ考えています。

 「コマは木から削り出し…いや、石を使えば貴族にでも売れるか。装飾は…」

 ブツブツ言っています。

 うん。日が暮れるまでにファルリード亭に帰れるかな?という時間なので。そろそろお暇を。



 ちなみに。ファルリード亭最強は、モーラちゃんでした。私とレッドさんは番外ですけどね。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

母に理不尽に当たり散らされたことで家出した私は――見知らぬ世界に転移しました!?

四季
恋愛
幼い頃、同居していた祖母から言われたことがあった。 もしも嫌なことがあったなら、電話の下の棚から髪飾りを取り出して持っていって、近所の神社の鳥居を両足でくぐりなさい――。  ◆ 十七歳になった真琴は、ある日母に理不尽に当たり散らされたことで家出した。 彼女が向かったのは神社。 その鳥居をくぐると――?

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

名も無き農民と幼女魔王

寺田諒
ファンタジー
魔王を倒すため、一人の若き農民が立ち上がった。ようやく魔王のいる神殿を訪れたものの、そこにいたのは黒髪の幼女魔王。 戦いを経て二人は和解し、共に旅をするようになった。世間知らずの幼い魔王は色々なことを学びながら成長し、やがて自分を倒しに来たはずの農民に対して恋心を抱くようになる。女の子は自分の恋を叶えるため、あの手この手で男の気を引こうと躍起になるが、男は女の子を恋の相手として見ようとしない。 幼い女の子と若く逞しい農民のほのぼのラブコメディ。

転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】

ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。 転生はデフォです。 でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。 リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。 しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。 この話は第一部ということでそこまでは完結しています。 第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。 そして… リウ君のかっこいい活躍を見てください。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

処理中です...