53 / 339
第2章 ユルガルム領へ
第2章第001話 貴族街へ
しおりを挟む
第2章第001話 貴族街へ
・Side:ツキシマ・レイコ
あのバッセンベル貴族との騒ぎのあと。私は宿を出てどっかに部屋を借りようとアイリさんに相談したが。モーラちゃんに泣いて止められた。
モーラちゃん、あのとき護衛の人が馬鹿貴族を止めようと動いていたことは察知していたが。自分の店にずかずか入ってくる奴らを見て、体が動いてしまったそうだ。蹴りをまともに食らったのは自分の不覚で、私に責任はないと。
北方山岳地帯の住人、通称"山の民"。ミオンさんがまさにそれだけど、素の身体能力が普通の人より高いらしい。モーラちゃんはハーフだけど、その辺は結構受継いでいて、あの程度の蹴りはへっちゃらだそうだ。
カヤンさんとミオンさんも混ざって喧喧諤諤とした結果、まだしばらくファルリード亭にお世話になることにした。
一週間後。アイズン伯爵からの使者が来ました。明日、私を伯爵邸に招きたいとのこと。
貴族からのお誘いってことでちょっびっくりしたけど。当日は馬車で迎えに来てくれるし、ジャック会頭らも同行してくれるとのことで、了承しました。
その使者さんは、私の貴族街通行証と、レッドさんの財産所有権の登録証も届けてくれた。とりあえずレッドさんに関しては一安心なのかな。
レッドさん、これで私のものです。どや。
「クー」
なんかあきれられている感じもしますが…
流石に今度はエプロンでというわけにはいかないので。赤井さんに貰った服を来て、毎度のごとく朝食も食べに来たアイリさんと共にギルドに向かいます。伯爵からの迎えの馬車はそこに着くそうです。
護衛としてエカテリンさんも乗っている馬車で貴族街に向かいます。以前、市場帰りに皆でお昼を皆で食べた城門前広間から門をくぐり、そのまま進んで真正面に見える立派な教会の横が伯爵邸となります。
馬車が屋敷の前に付けられ、執事っぽい人に案内されて屋敷に入りました。
おお、メイドさんが働いている。衣装は、洋風八割和風二割って感じのデザインかな?襟を重ねている当たりが和風だ。
私たちが通りかかると、作業を中断して会釈してくれます。私が抱えているレッドさんを見てびっくりしてました。
「私、貴族街は入ったことあるけど。伯爵邸に入ったの初めて」
アイリさんがささやく。まぁ普通、呼ばれもしないと入らないよね。
「俺は、会頭に連れられて何度か」
とはタロウさん。やっぱジャック会頭はこの街の重鎮なんだね。
応接室らしき処に通され、少々待つように言われ、お茶とお菓子が出されました。
部屋は、キンキラ豪華絢爛…というわけでは無く、木製家具が並ぶ感じが重厚な雰囲気の部屋です。でも、決して質素ではない。
正面の壁に飾られているのが、街の地図ってあたりが伯爵らしいのかも? 一軒々々描かれた結構精密な地図ですね。
五分くらい待ったころ、アイズン伯爵がブライン様と一緒に入ってきました。
真っ先に、先日のバッセンベル貴族の件について謝罪された。
「他領の貴族とは言え、あれを野放ししてしまったのは我々の責任だ。誠に申し訳ない」
アイズン伯爵が頭を下げてきた。発動小市民!やめて~!
「いえいえ、悪いのはあいつですから。他の人に責任があるとは思っていません!」
「…そう言っていただけると助かるよ、レイコ殿」
バッセンベルの連中は、治療もそこそこでバッセンベル領に護送されたそうです。やらかした罪状を詳細に書いた書状と共に。
先方がどういう処罰を下すかで、今後の付き合い方も変わるだろうとのこと。
バッセンベル辺境伯は、生粋の軍人で。隣国のダーコラ国との戦争での戦功で地位を上げていった家系だそうです。
今でこそ同じ反ダーコラ国としてネイルコード王国に与することになっているます。最前線を差し置いて、武力ではなく経済で繁栄しつつある王都-エイゼル領-ユルガルム領に、特に辺境伯配下の貴族が反発しいているそうです。
「脳筋集団ってことね…」
「脳筋?」
アイリさんが首をかしげる。
「頭の中が筋肉で出来ているって意味」
「わっはっはっは。そりゃ的確な表現だな」
アイズン伯爵が笑う。
「ただ。配下の貴族はともかく、バッセンベル辺境伯自身はそう頭は悪くない。武力だけでは辺境伯にはなれんからの。件の毒についても本人が指示しているとは思えんし。今回の下っ端の暴走にも、頭を抱えることになるじゃろうな」
・Side:ツキシマ・レイコ
あのバッセンベル貴族との騒ぎのあと。私は宿を出てどっかに部屋を借りようとアイリさんに相談したが。モーラちゃんに泣いて止められた。
モーラちゃん、あのとき護衛の人が馬鹿貴族を止めようと動いていたことは察知していたが。自分の店にずかずか入ってくる奴らを見て、体が動いてしまったそうだ。蹴りをまともに食らったのは自分の不覚で、私に責任はないと。
北方山岳地帯の住人、通称"山の民"。ミオンさんがまさにそれだけど、素の身体能力が普通の人より高いらしい。モーラちゃんはハーフだけど、その辺は結構受継いでいて、あの程度の蹴りはへっちゃらだそうだ。
カヤンさんとミオンさんも混ざって喧喧諤諤とした結果、まだしばらくファルリード亭にお世話になることにした。
一週間後。アイズン伯爵からの使者が来ました。明日、私を伯爵邸に招きたいとのこと。
貴族からのお誘いってことでちょっびっくりしたけど。当日は馬車で迎えに来てくれるし、ジャック会頭らも同行してくれるとのことで、了承しました。
その使者さんは、私の貴族街通行証と、レッドさんの財産所有権の登録証も届けてくれた。とりあえずレッドさんに関しては一安心なのかな。
レッドさん、これで私のものです。どや。
「クー」
なんかあきれられている感じもしますが…
流石に今度はエプロンでというわけにはいかないので。赤井さんに貰った服を来て、毎度のごとく朝食も食べに来たアイリさんと共にギルドに向かいます。伯爵からの迎えの馬車はそこに着くそうです。
護衛としてエカテリンさんも乗っている馬車で貴族街に向かいます。以前、市場帰りに皆でお昼を皆で食べた城門前広間から門をくぐり、そのまま進んで真正面に見える立派な教会の横が伯爵邸となります。
馬車が屋敷の前に付けられ、執事っぽい人に案内されて屋敷に入りました。
おお、メイドさんが働いている。衣装は、洋風八割和風二割って感じのデザインかな?襟を重ねている当たりが和風だ。
私たちが通りかかると、作業を中断して会釈してくれます。私が抱えているレッドさんを見てびっくりしてました。
「私、貴族街は入ったことあるけど。伯爵邸に入ったの初めて」
アイリさんがささやく。まぁ普通、呼ばれもしないと入らないよね。
「俺は、会頭に連れられて何度か」
とはタロウさん。やっぱジャック会頭はこの街の重鎮なんだね。
応接室らしき処に通され、少々待つように言われ、お茶とお菓子が出されました。
部屋は、キンキラ豪華絢爛…というわけでは無く、木製家具が並ぶ感じが重厚な雰囲気の部屋です。でも、決して質素ではない。
正面の壁に飾られているのが、街の地図ってあたりが伯爵らしいのかも? 一軒々々描かれた結構精密な地図ですね。
五分くらい待ったころ、アイズン伯爵がブライン様と一緒に入ってきました。
真っ先に、先日のバッセンベル貴族の件について謝罪された。
「他領の貴族とは言え、あれを野放ししてしまったのは我々の責任だ。誠に申し訳ない」
アイズン伯爵が頭を下げてきた。発動小市民!やめて~!
「いえいえ、悪いのはあいつですから。他の人に責任があるとは思っていません!」
「…そう言っていただけると助かるよ、レイコ殿」
バッセンベルの連中は、治療もそこそこでバッセンベル領に護送されたそうです。やらかした罪状を詳細に書いた書状と共に。
先方がどういう処罰を下すかで、今後の付き合い方も変わるだろうとのこと。
バッセンベル辺境伯は、生粋の軍人で。隣国のダーコラ国との戦争での戦功で地位を上げていった家系だそうです。
今でこそ同じ反ダーコラ国としてネイルコード王国に与することになっているます。最前線を差し置いて、武力ではなく経済で繁栄しつつある王都-エイゼル領-ユルガルム領に、特に辺境伯配下の貴族が反発しいているそうです。
「脳筋集団ってことね…」
「脳筋?」
アイリさんが首をかしげる。
「頭の中が筋肉で出来ているって意味」
「わっはっはっは。そりゃ的確な表現だな」
アイズン伯爵が笑う。
「ただ。配下の貴族はともかく、バッセンベル辺境伯自身はそう頭は悪くない。武力だけでは辺境伯にはなれんからの。件の毒についても本人が指示しているとは思えんし。今回の下っ端の暴走にも、頭を抱えることになるじゃろうな」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】徒花の王妃
つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。
何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。
「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
母に理不尽に当たり散らされたことで家出した私は――見知らぬ世界に転移しました!?
四季
恋愛
幼い頃、同居していた祖母から言われたことがあった。
もしも嫌なことがあったなら、電話の下の棚から髪飾りを取り出して持っていって、近所の神社の鳥居を両足でくぐりなさい――。
◆
十七歳になった真琴は、ある日母に理不尽に当たり散らされたことで家出した。
彼女が向かったのは神社。
その鳥居をくぐると――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる