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第1章 エイゼル領の伯爵
第1章第036話 教会と孤児院
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第1章第036話 教会と孤児院
・Side:ツキシマ・レイコ
まぁ大したことではないですが。私とレッドさんの扱いについて、ザフロ祭司の協力を取り付けることは出来たようです。
後は、アイズン伯爵とかがいろいろ動かれるのでしょうね。…なんか面倒かけて申し訳ないですが。
ザフロ祭司の部屋を出ると、子供が何人か礼拝堂の掃除に来てました。
「アイリお姉ちゃんだ!」
子供達が集まってきました。
「崖崩れが起きたって聞いて、みんな心配したんだよ!」
「なんかそこだけ話が先走っているわね。街道の途中の崖崩れで遅れたのは確かだけど、その現場にいたわけじゃないわよ。だけど心配してくれてありがとうね」
えへへとニコニコしている子供達の頭をアイリさんが撫でていく。
「皆にはあなたたちから説明しておいてね」
「はーい。って、この子は新しく入る子? ん?背中にいるのは何?」
「この子は、そうね、伯爵のお客さんでいいかな」
アイリさんが紹介してくれる。
子供達の視線がレッドさんに集まっている。私は、レッドさんを前に抱っこし直して、皆に紹介する。
「この子はレッドさん。みなよろしくね」
「クークー!」
レッドさんも自己紹介。
「…アイリおねーちゃん、この子もしかしてドラゴン?」
「犬とかじゃないわよね。見たことの無い動物だもん」
「赤竜神の子供…でいいのかな、レイコちゃん?」
うーん。まぁ子供と言えないこともないですが。
「赤竜神様が飛んでいるのを見たって話は聞くけど。…本当にいるんだね。でも、全然恐くないや」
「なんなら、抱っこしてみる?」
にぱーっと笑顔になる子供達。
しばらく、子供達に抱っこのたらい回しで大人気なレッドさんでした。赤竜神の子供だといわれても物怖じしませんね。実在が証明されている神様ってのは、やはり信仰している人からすると感覚が違うのかもしれません。
礼拝堂の入り口のところには、喜捨と書かれた箱があります。要は募金箱らしいですね。とりあえずポケットに入れていた千ダカム中金貨を入れておいた。一枚チャリンと思ったら十万円、あとでびっくりされるかも。
あぶく銭の偽善だけど。そこはザフロ祭司へのお礼ってことで。
見ていたアイリさんはびっくりしていたけど。それ以上は何も言わずに「ありがとね」と頭を撫でてくれた。私の方が中身は年上なんだけどね。
「孤児院は、生活が楽というわけではないけど。最低限の衣食住領から援助してもらえるし。清掃とかの仕事が市から回されてくるし。読み書き算数は祭司様とその奥様と、六六から協力してくれる人とで学校開いていて、そこで教えてくれるしね。伯爵は、学校のことを良質な労働力を生産するための施設って言って憚らない人だけど。ほんと、皆感謝しているのよ」
「ここで育った人は、うちの商会の方でも結構採用しているし。読み書きができるのなら十分重宝するよ」
「領兵も、読み書きできるのは採用条件だからね。指示書が読めなきゃ兵には慣れないし」
使える人材と、それを必要とする職場。アイズン伯爵の為政は、地球の感覚からすれば当たり前だけど。この封建社会が根強い世界では、珍しいんじゃないだろうか。
・Side:ツキシマ・レイコ
まぁ大したことではないですが。私とレッドさんの扱いについて、ザフロ祭司の協力を取り付けることは出来たようです。
後は、アイズン伯爵とかがいろいろ動かれるのでしょうね。…なんか面倒かけて申し訳ないですが。
ザフロ祭司の部屋を出ると、子供が何人か礼拝堂の掃除に来てました。
「アイリお姉ちゃんだ!」
子供達が集まってきました。
「崖崩れが起きたって聞いて、みんな心配したんだよ!」
「なんかそこだけ話が先走っているわね。街道の途中の崖崩れで遅れたのは確かだけど、その現場にいたわけじゃないわよ。だけど心配してくれてありがとうね」
えへへとニコニコしている子供達の頭をアイリさんが撫でていく。
「皆にはあなたたちから説明しておいてね」
「はーい。って、この子は新しく入る子? ん?背中にいるのは何?」
「この子は、そうね、伯爵のお客さんでいいかな」
アイリさんが紹介してくれる。
子供達の視線がレッドさんに集まっている。私は、レッドさんを前に抱っこし直して、皆に紹介する。
「この子はレッドさん。みなよろしくね」
「クークー!」
レッドさんも自己紹介。
「…アイリおねーちゃん、この子もしかしてドラゴン?」
「犬とかじゃないわよね。見たことの無い動物だもん」
「赤竜神の子供…でいいのかな、レイコちゃん?」
うーん。まぁ子供と言えないこともないですが。
「赤竜神様が飛んでいるのを見たって話は聞くけど。…本当にいるんだね。でも、全然恐くないや」
「なんなら、抱っこしてみる?」
にぱーっと笑顔になる子供達。
しばらく、子供達に抱っこのたらい回しで大人気なレッドさんでした。赤竜神の子供だといわれても物怖じしませんね。実在が証明されている神様ってのは、やはり信仰している人からすると感覚が違うのかもしれません。
礼拝堂の入り口のところには、喜捨と書かれた箱があります。要は募金箱らしいですね。とりあえずポケットに入れていた千ダカム中金貨を入れておいた。一枚チャリンと思ったら十万円、あとでびっくりされるかも。
あぶく銭の偽善だけど。そこはザフロ祭司へのお礼ってことで。
見ていたアイリさんはびっくりしていたけど。それ以上は何も言わずに「ありがとね」と頭を撫でてくれた。私の方が中身は年上なんだけどね。
「孤児院は、生活が楽というわけではないけど。最低限の衣食住領から援助してもらえるし。清掃とかの仕事が市から回されてくるし。読み書き算数は祭司様とその奥様と、六六から協力してくれる人とで学校開いていて、そこで教えてくれるしね。伯爵は、学校のことを良質な労働力を生産するための施設って言って憚らない人だけど。ほんと、皆感謝しているのよ」
「ここで育った人は、うちの商会の方でも結構採用しているし。読み書きができるのなら十分重宝するよ」
「領兵も、読み書きできるのは採用条件だからね。指示書が読めなきゃ兵には慣れないし」
使える人材と、それを必要とする職場。アイズン伯爵の為政は、地球の感覚からすれば当たり前だけど。この封建社会が根強い世界では、珍しいんじゃないだろうか。
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