9 / 339
第1章 エイゼル領の伯爵
第1章第007話 毎度おなじみ お供キャラです
しおりを挟む
第1章第007話 毎度おなじみ お供キャラです
・Side:ツキシマ・レイコ
次の日の朝食後。
「さて。本日はレイコさんにプレゼントかあります」
眼鏡をかけた赤いドラゴンこと赤井さんが、どや顔をしている。最初に目が覚めた部屋のテーブルには、クッションの敷かれたカゴに入った卵が一つ。卵っても、鶏の卵よりはずっと大きく。直径三十センチくらいはある。ダチョウの卵より大きいんじゃ無いかしら。
なんの生き物なんだろうと見ていると、ご都合主義的なタイミングで殻が割れ始めた。
これが鳥の雛なら、出てくるのに結構な時間が必要なのだけど、簡単にパカッと割れ、転がり出てきたのは小さいドラゴンだった。
頭と胴体の比率は仔犬のそれという感じで、そこに太い尻尾が付いている。背中にはくしゃっとした感じの翼。体の基本構成は赤井さんに似ているけど、違うのは全身にこれまた犬猫のような和毛が生えているところだろうか。
顔は一見仔犬っぽいが、犬猫の鼻ではなく、つるっとしている…ウサギに近いかも? 毛が生えていなければ爬虫類か。
後頭部からは、縦に3本並んだ角が2列の計6本。上から大中小というサイズの角が並んでいる。
もぞもぞともがいていたチビドラゴンが目を開く。
まぶしさに耐えるように、薄目でキョロキョロし、私を見つけると目を大きく開いて凝視した。
私と目が合うと、「クー」と一鳴き。今度はカゴから出ようともぞもぞし始める。
「か…かわいい…」
このままでは落ちてしまうが手を出して良いものかと赤井さんを見ると、無言で「どうぞ」と手を差し出すので。そのチビドラゴンをそっと抱き上げた。
「気に入ってくれたかな?」
「プレゼントって言っていたけど。この子、本物のドラゴン?」
「定義的にはロボットだね。マナで出来ているところは、僕たちと同じだけど、この子の頭の中はAIと言ってもいいかな」
形態が実在の生物かはともかくしても、きちんとした生き物にしか見えない。
「生物の定義で、また悩みそう」
籠から出して抱え、喉のあたりをぐりぐりしてやると、クルクルと喉を鳴らす。この辺は猫っぽい。
「もちろん、ただのペットロボットというわけではなくてね」
と言いながら、テーブルに用意されていた林檎をとって、そのチビドラゴンに見せた。チビドラゴンは、スンスンと鼻を鳴らして、そわそわと林檎とレイコを交互に見る。
すると、「これは林檎」「食べてみたい」「くれないかな」というイメージが一度に頭の中に浮かんだ。
映像では無く。言いたいことがイメージや概念で頭に浮かぶという感じ…説明が難しいな。
チビドラゴンの反応を見れば、リンゴを欲しがっているというのは予測は付くけど。そういうものとは別にはっきりと彼の要求が伝わってきた。
「この子は、レイコと同じく食事も普通に取れるよ」
と、ナイフを渡してくれたので、林檎をむく。この辺の力加減は、だいぶ慣れました。
チビドラゴンは、私の肩に昇って、それを覗いている。剥かれている林檎に期待しているというイメージが伝わってくる。
とりあえず食べやすいようにと剥いた林檎を八分の一にカットしてから、チビドラゴンに渡した。感謝と喜びのイメージ。
両手で掴んで、しゃくしゃくと食べ始めた。
「りんご美味しい?」
「クー」と返事をする。
ここで「おいしい」と同時に伝わってくるのが、「味」「安全性」「カロリー」「栄養素」のイメージ。おお、すごい。
「…この子、林檎を分析している?」
「器用でしょ。表面だけなら光学的な分析も出来るから、いろいろ便利だよ」
反射する光のスペクトルで成分分析ができるということらしい。これまた高機能なアナライザーですね。
「名前を付けなきゃね…。この子は赤井さんの子供って事になるのかな?」
「まぁ、創造主という意味では親なんだろうけど…」
「じゃあ赤井さん二世。略して二世」
「一応、僕にも子供はいたんだし。世を付けるのなら二世では足りないかな」
と苦笑する。
「…レッドさんでいいや」
「そう言えばレイコは、白い犬にシロってつけるタイプだったね。」
「名が体を表す方がしっくりくるのよ」
レッドさんから、リンゴをもう一切れ欲しいという要求のイメージ。
食いしん坊さんですね。
----------------------------------------------------------------------
鱗じゃ撫でても楽しくないと言うことで毛にしましたが。
フォーチュン・クエストほど犬でも無いです。
まぁ、羽毛恐竜とか、ティラノでもヒナには毛が生えていたとかそのくらいで。
・Side:ツキシマ・レイコ
次の日の朝食後。
「さて。本日はレイコさんにプレゼントかあります」
眼鏡をかけた赤いドラゴンこと赤井さんが、どや顔をしている。最初に目が覚めた部屋のテーブルには、クッションの敷かれたカゴに入った卵が一つ。卵っても、鶏の卵よりはずっと大きく。直径三十センチくらいはある。ダチョウの卵より大きいんじゃ無いかしら。
なんの生き物なんだろうと見ていると、ご都合主義的なタイミングで殻が割れ始めた。
これが鳥の雛なら、出てくるのに結構な時間が必要なのだけど、簡単にパカッと割れ、転がり出てきたのは小さいドラゴンだった。
頭と胴体の比率は仔犬のそれという感じで、そこに太い尻尾が付いている。背中にはくしゃっとした感じの翼。体の基本構成は赤井さんに似ているけど、違うのは全身にこれまた犬猫のような和毛が生えているところだろうか。
顔は一見仔犬っぽいが、犬猫の鼻ではなく、つるっとしている…ウサギに近いかも? 毛が生えていなければ爬虫類か。
後頭部からは、縦に3本並んだ角が2列の計6本。上から大中小というサイズの角が並んでいる。
もぞもぞともがいていたチビドラゴンが目を開く。
まぶしさに耐えるように、薄目でキョロキョロし、私を見つけると目を大きく開いて凝視した。
私と目が合うと、「クー」と一鳴き。今度はカゴから出ようともぞもぞし始める。
「か…かわいい…」
このままでは落ちてしまうが手を出して良いものかと赤井さんを見ると、無言で「どうぞ」と手を差し出すので。そのチビドラゴンをそっと抱き上げた。
「気に入ってくれたかな?」
「プレゼントって言っていたけど。この子、本物のドラゴン?」
「定義的にはロボットだね。マナで出来ているところは、僕たちと同じだけど、この子の頭の中はAIと言ってもいいかな」
形態が実在の生物かはともかくしても、きちんとした生き物にしか見えない。
「生物の定義で、また悩みそう」
籠から出して抱え、喉のあたりをぐりぐりしてやると、クルクルと喉を鳴らす。この辺は猫っぽい。
「もちろん、ただのペットロボットというわけではなくてね」
と言いながら、テーブルに用意されていた林檎をとって、そのチビドラゴンに見せた。チビドラゴンは、スンスンと鼻を鳴らして、そわそわと林檎とレイコを交互に見る。
すると、「これは林檎」「食べてみたい」「くれないかな」というイメージが一度に頭の中に浮かんだ。
映像では無く。言いたいことがイメージや概念で頭に浮かぶという感じ…説明が難しいな。
チビドラゴンの反応を見れば、リンゴを欲しがっているというのは予測は付くけど。そういうものとは別にはっきりと彼の要求が伝わってきた。
「この子は、レイコと同じく食事も普通に取れるよ」
と、ナイフを渡してくれたので、林檎をむく。この辺の力加減は、だいぶ慣れました。
チビドラゴンは、私の肩に昇って、それを覗いている。剥かれている林檎に期待しているというイメージが伝わってくる。
とりあえず食べやすいようにと剥いた林檎を八分の一にカットしてから、チビドラゴンに渡した。感謝と喜びのイメージ。
両手で掴んで、しゃくしゃくと食べ始めた。
「りんご美味しい?」
「クー」と返事をする。
ここで「おいしい」と同時に伝わってくるのが、「味」「安全性」「カロリー」「栄養素」のイメージ。おお、すごい。
「…この子、林檎を分析している?」
「器用でしょ。表面だけなら光学的な分析も出来るから、いろいろ便利だよ」
反射する光のスペクトルで成分分析ができるということらしい。これまた高機能なアナライザーですね。
「名前を付けなきゃね…。この子は赤井さんの子供って事になるのかな?」
「まぁ、創造主という意味では親なんだろうけど…」
「じゃあ赤井さん二世。略して二世」
「一応、僕にも子供はいたんだし。世を付けるのなら二世では足りないかな」
と苦笑する。
「…レッドさんでいいや」
「そう言えばレイコは、白い犬にシロってつけるタイプだったね。」
「名が体を表す方がしっくりくるのよ」
レッドさんから、リンゴをもう一切れ欲しいという要求のイメージ。
食いしん坊さんですね。
----------------------------------------------------------------------
鱗じゃ撫でても楽しくないと言うことで毛にしましたが。
フォーチュン・クエストほど犬でも無いです。
まぁ、羽毛恐竜とか、ティラノでもヒナには毛が生えていたとかそのくらいで。
10
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
母に理不尽に当たり散らされたことで家出した私は――見知らぬ世界に転移しました!?
四季
恋愛
幼い頃、同居していた祖母から言われたことがあった。
もしも嫌なことがあったなら、電話の下の棚から髪飾りを取り出して持っていって、近所の神社の鳥居を両足でくぐりなさい――。
◆
十七歳になった真琴は、ある日母に理不尽に当たり散らされたことで家出した。
彼女が向かったのは神社。
その鳥居をくぐると――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。
転生はデフォです。
でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。
リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。
しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。
この話は第一部ということでそこまでは完結しています。
第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。
そして…
リウ君のかっこいい活躍を見てください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる