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プロローグ
しおりを挟む「……だから、ミランダは無理だって!!」
王立学園に通う、ミランダ シュミット伯爵令嬢17歳。
偶然通りかかった学園の裏庭でミランダ本人がここにいるとも知らず噂しているのはこの学園の貴族令息たち。
……彼らは、決して『高嶺の花ミランダ』として噂している訳ではない。
「いや、だってあの娘は伯爵令嬢だろう? お前の家と家格は合うんじゃないのか?」
「シュミット伯爵家は数ある伯爵家の中でも最も子爵家に近い最弱の伯爵だって有名だろう! 領地も交通の便の悪い山岳地帯が殆どで畑も実りも少ない僻地だぞ? しかも兄がいるから跡取り娘でもない。我が家に何の利益をもたらすというんだ?」
……悔しいが今この令息が言ったのはあながち間違いではない。ミランダのシュミット伯爵家は実りはそこまで悪くはないが目立った特産物もなく本当に平凡で、そこいらの男爵家の方が余程華やかではないかと思う程なのだ。そして……。
「それに何より、ミランダには華がない。不細工とは言わないが大して可愛くもない。平々凡々だ。……何が悲しくて家も平凡本人も平凡の令嬢と縁を結ばなきゃならんのだ!」
……そう。残念ながらミランダは超が付くほどの『平凡令嬢』なのである。
「……まあ特別恋に落ちた、とかでもない限りはミランダと結婚なんて誰もしないよ」
「確かにそうだな。しかしそもそもミランダとは恋に落ちないだろ」
男子生徒たちはそう言って笑いながら去っていった。
それを、全て陰で聞いていた本人ミランダ。
はぁ~~っ
……大きくため息を吐いていた。
ミランダがこんな風に評されるのは初めてではない。というか、これはいつもの平均的なミランダへの評価だ。……だから今更怒ったりするつもりもない。
けれど『絶賛婚約者募集中』であるミランダには、あの正直すぎる男子生徒達の評価には若干……いやとても胸を痛めていた。
……私、本当に自分で婚約者を見つけられるのかしら?
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