ヴォールのアメジスト 〜悪役令嬢の『予言』は乙女ゲームの攻略本から〜

本見りん

文字の大きさ
上 下
37 / 89
卒業パーティー

挿話 ローズマリー2

しおりを挟む

「……おお。なんと愛らしい。君の燃えるような赤い髪に私の青い瞳を受け継いだ可愛い娘」

「……まぁ、貴方ったら。ほら。この子の口元はあなた似でしてよ」


 ……なんだか、とても仲の良さそうな男女の声。


 私は、いったいどうしたのだろう? 確か、あの三者面談の後に親にひどく叱られた。そして次の朝、叱られ疲れて痛む頭で登校すら途中で……、事故に遭った。……私は、あの時死んでしまったって事??


「……そうだ。この娘は『ローズマリー』と名付けよう。この娘が幸せであるように。薔薇のように美しい娘となるように」


 ……あれ? なんだかこの場面シーン聞いたことがあるような……


 そして私は成長するにつれ気付く事になる。ここが、私が日本で受験そっちのけでやっていた乙女ゲーム『公爵令嬢の憂い~真実の愛を求めて~』の世界だって事を! ……そして、私は思った。

 ……ほら、私があの乙女ゲームをしていたのは間違いじゃなかった!


 だって私はこの世界のことが全て分かるのよ! この先起こることも、自分がどうするべきなのかも……。

 だって、ここは私が『攻略本』を全てマスターした乙女ゲームの世界。私はこの世界の主人公、ローズマリー フランドル公爵令嬢なのだから!



 そして実際に私は攻略本を全て読み込んで覚えていた事から、私の身の回りで起こる様々な事が分かった。……前世でその分勉強していたら受験なんて余裕だったんでしょうね。
 
 そしてそれを周りに話していると、いつの間にか私は未来の予見が出来る『聖女』ではないかと言われるようになっていた。
 あのゲームではローズマリーにそんな呼び名は無かったハズだけど、今更周りの『予言』への期待に応えない訳にはいかなかったし、何より皆に凄いと言われる事は嬉しかった。それにあの攻略本で知っている事を少しだけ話しているだけだしね。

 人々は私を崇め、そして特別扱いをする様になっていた。
 元々フランドル公爵家はこのランゴーニュ王国の筆頭公爵家。王家の次に力を持っていた。その為かこの国中で『才色兼備の聖女のような令嬢』と言われ、乙女ゲームのシナリオ通り王家からこの国の第一王子との縁談が持ち込まれた。

 両親は王子との縁談をとても喜んだ。……私も、とうとうゲーム通りの展開がやってきた事にワクワクした。
 
 だけど――。

 実際のリオネル王子との初顔合わせの日。
 私はゲームでの事を思い出してこのイベントに臨んだ。……だけどリオネル王子の顔を見た瞬間、私はゲームでのバッドエンドを思い出して震えが止まらなくなった。
 リオネル王子は自分を見て震え出した婚約者に驚いていた。そして心配する素振りを見せたけれど……。私は彼が怖くて逃げ出した。

 顔合わせは中断となり、私は屋敷へ帰った。両親はとても心配し、どうしたのかと尋ねてきた。
 その時私は恐怖の余り、『浮気者の王太子』『王太子に冤罪をかけられて処刑される』と話してしまった。

 両親は驚いたが、それがいつもの『予言』であると気付くと慌ててその事を詳しく聞いてきた。私は、ローズマリーは婚約者であるリオネル王太子に浮気をされ学園の卒業パーティーで冤罪をかけられ婚約破棄をされる事、そしてそれは証拠集めや皆の協力……何より第二王子アベル殿下と恋に落ちる事でその難局を回避できると伝えた。

 その後公爵家ではこの『予言』を元に対策が練られた。今までローズマリーの予言は全て当たってきた為にフランドル公爵は勝負に打って出る事にしたのだ。自分達の前に現れた、ある意味この王国の覇権を取る事が出来る大きなチャンスに。

 今のままでも『王妃の実家で未来の国王の祖父』となる事は出来るはずだった。しかしもしも予言通りに王太子が浮気をし我が娘に『婚約破棄』騒ぎを起こし失脚するのなら。王家の有責で婚約破棄をしリオネル王子を失脚させ、次に王太子となるアベル王子と婚約させる。そうすれば、公爵家が立場的に有利な状況で王家に物申す事が出来るのだ。

 ――フランドル公爵はそこまで考えてゾクリとする。
 そうなれば、フランドル公爵家は名実共にこの王国の覇権を握れる。国王という傀儡を操り思い通りにこの王国を動かせるのだ、と――


 ローズマリーはそんなフランドル公爵の思惑に気付きつつも、前世の自分の1番の『推し』だったアベル王子との出会いを待っていた。
 自分の1番好きだったアベル王子との恋が叶うなら、父である公爵の思い通りになるのも悪くない。実際ゲームの展開はその通りで、この後フランドル公爵はこの王国の覇権を握る事になるのだから。


 こうして、フランドル公爵家の方針は決まった。



 そして、ゲームのほぼ展開通りに話は進んでいく。

 ゲームと違いまだ幼いリオネル王子が『浮気者の王太子』と皆に責められているのは、少しは可哀想な気もしたけれど。
 だけど、リオネル王子にはこれから自分は酷い目にあわされるのだ。特にあの『卒業パーティーでの婚約破棄と断罪』では、傲慢で自分勝手な浮気者のリオネルが余りにも酷くて、ゲームでも何度も辛い気持ちになった。……絶対に許せないし容赦してはならないのだと自分に言い聞かせた。

 しかし何より嬉しかったのは、想像通りにアベル王子が素敵だった事! 公爵家の薔薇園での出逢いを演出してもらい、アベル王子とローズマリーは恋に落ちた。アベル王子もローズマリーと結婚したいと言ってくれた。

 その内アベル王子もローズマリーの『予言』に心酔し、自分を可愛がる王太后も紹介してくれた。ゲームで出てきた『王太后の探し物』というイベント、ずっと王太后が探していた大切な物を見事ローズマリーが見つけたら王太后にも可愛がられるようになった。……攻略成功ね!

 だから、王太后の出身である帝国の皇帝がもうすぐ病気で亡くなるという情報を教えてあげた。驚いていたけれど、結果それが本当になった事で王太后も自分に心酔するようになった。

 それ以来、帝国の王太后の実家からまた何か『予言』があれば教えてほしいと何度か言われたけれど、帝国関連の話はバッドエンドの時に良く出てきたのよね。だから余り好きじゃなくて……。確か裏設定まで踏み込んだルートで、リオネル王子の浮気相手が帝国の関係者だって出てきた気はするんだけど……。ダメだ。あれは最悪のルートだったからすぐに終わらせて深く追求しなかったのよね。


 とにかく、私は周りから『聖女』ともてはやされながらも上手く話を進めていった。……学園に入学するまでは。

 王立学園に入学したら、ちゃんとメンバーが揃っていて安心した。例の子爵令嬢もちゃんと平民から貴族になって入学していたしね。そして無事にリオネル王子と出逢い恋を育みつつあるようだった。

 ――けれど。

 まだ2人が出会って間もない頃から、子爵令嬢は周りから嫌がらせを受け始めていた。それは、公爵家派や王家派からも。ゲームでは相当時間が経ってからそういう展開になったはずなんだけれど、おかしいわね? 

 どうやら『予言』があったせいでどちらの派閥も過敏に浮気相手の令嬢に反応していたらしい。特に王家派はリオネル王子の進退に関わるからか、子爵令嬢にかなり酷い嫌がらせをしていたようだった。
 すると、それに気付き事態を重く見たリオネル王子は子爵令嬢から距離をおくようになった。

 そうして彼らは2年以上もそのまま近付くことはなかった。


 ……卒業間近となって、私は流石に焦っていた。あれからリオネル王子と子爵令嬢は恋人関係どころか会うことさえしていないようだったからだ。いつかはゲーム通りになると静観していたけれど、もう卒業まであと僅かだ。
 けれど例の子爵令嬢の様子を見ていると、彼女は密かにリオネル王子を熱い視線で見つめていた。ほら、やっぱりそうなんじゃない!

 そうして私は彼らの恋の『お膳立て』をしてあげることにしたのだ。

 彼らの周りの生徒に、『先生からの伝言』として同じ場所同じ時間に呼び出させたのだ。……無事に、2人は会う事が出来たようだった。ふう。感謝してよね?


 それからの私は乙女ゲームの展開通りに、『子爵令嬢の持ち物を壊す』『密かな嫌がらせ』『子爵令嬢を呼び出して注意をする』――というイベントをこなしていった。

 私はやっとゲームの展開通りになってきた事に満足していた。

 あぁそれに、時間が余りないけれどやっぱりもしておかないとね? そう考えた私は卒業パーティーが始まる直前に『子爵令嬢を階段から突き落とす』という事までやってのけた。


 ……これで完璧よ! ……そう、思ったのに。



 パーティーが始まってみれば、まずリオネル王子が子爵令嬢をエスコートしていない。そして婚約者である私をエスコートしていない理由を王家派の貴族に皆の前でバラされてしまう。
 それにパーティーの開始前にリオネル王子は『婚約破棄』を言い出すはずなのに全くその様子はなかった。そしてその断罪の途中からやって来てリオネル王子を諌める予定の国王が先に入場してしまう……。

 ――何より、愛するアベル王子が来ていない。


 これは、どういうこと? 『予言』が違ってきている? ……まさか! 

 私は目の前のリオネル王子をキツく睨んだ。


 そして、リオネル王子はローズマリーとの婚約の『解消』を申し出たのだ――。


 ……婚約の『解消』!? どうして? なんだかゲームと全然違うじゃない!

 焦る私やお父様が必死に『予言』通りにさせようとした。途中例の浮気相手の子爵令嬢がやけに理路整然と反論してきたけど、そこで更に王太后様が私達の味方をしてくれた。

 ……やった! これで勝てたわ!


 そう思ったのに。

 何故か急に王太后様は錯乱状態になり、その後出てきた帝国の公爵とやらに全てを台無しにされた。


 私はショックを受けながらも、愛しいアベル王子を探した。
 けれど最後まで彼はこのパーティーに現れる事はなかった――。



 フランドル公爵邸に帰ったが、パーティー後に集まるはずだった公爵家派の他の貴族達は何故か現れなかった。話し合う私達家族の前に唯一現れた父の末の弟である叔父。王宮の官吏として働く叔父から告げられた様々な事実。


 私達は……私は、いったい何を間違えたというの?

 
 私は、本当はただアベル王子と一緒にいたかっただけなのに。

「アベル王子は昨晩から陛下より謹慎させられている。そして王子には縁談があがっているらしい。……もはやローズマリーとの縁談は絶対に認められないだろう」


 ……その言葉に。私は意識を失った。







ーーーーー


ゲームの通りになる事を望みながら、『予言』を出す事で自分で運命を悪い方に変えてしまったローズマリーでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています

窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。 シナリオ通りなら、死ぬ運命。 だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい! 騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します! というわけで、私、悪役やりません! 来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。 あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……! 気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。 悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

処理中です...