【本編完結】子持ち婿入り伯爵様の後妻になりました～ドラ息子派閥から旦那様ごと嫌われてますがそれなら貰ってもいいですよね！～【番外編開始】

本編

26：馴れ初めを語る

　立ち話なんだからと、応接に移動してお茶をしながら、ダン様へと私達の馴れ初めを話す。

「ハハハッ！　嬢ちゃんからアタックするたぁ度胸があんなぁ！　年の差は気にならなかったのか？」
「貴族では、よくある事ですし……何より、アデル様がとてもお美しかったので……もちろん、今は外見だけではなくその人柄にも惹かれておりますが」

　アデル様の隣に座りながら、当時を思い出して頬を染める。

　こうやって惚気られる相手は初めてだからあれもこれもと話してしまった。

「はー……ごちそうさまってな。アデル。お前すげぇいい子捕まえてんじゃねぇか」
「うん、本当に僕にはもったいない子なんだ」
「んな事言ってねぇで、ちゃんと責任取っ手やれよ？」
「わかってるって」

　男同士の掛け合いってよくわからないけど、アデル様に仲のいい人がいて嬉しい。

　そして、そんな人からいい子って言われて大変嬉しい！

　でも、アデル様からもったいない子って言われるよりは、私のエリスだからね。とか言われたいのが本音だ。

　難しいとは思うけど、やっぱりアデル様からも愛されたい……！

　可愛がってもらってるとは思うんだけどさー！

「そうだ、ダンはいつまでいるの？　一ヶ月くらい帰らないなら三週間後の結婚のお披露目に参加してほしいんだけど……」
「いいぞ。予定では二ヶ月くらいいる予定だしな」

　ダン様に予定を伺うアデル様だったけど、ダン様はあっさりと承諾する。

「どこでやるんだ？　ここか？　王都か？」
「王都でだよ。一応社交界でも顔見せしておきたいし」
「ん、わかった。詳しい日時教えてくれ」

　アデル様とダン様が詳しい日時の話をしているのを聞いて思う。

　あと三週間……三週間で正式なアデル様の妻に……。

　短いようで長かった婚約期間ももうすぐ終わる。ああ、楽しみ……楽しみすぎる……。

　ようやく、アデル様の妻です。って名乗れるのね……。

　三週間後のお披露目をうっとりと想像してしまう。

　立場的なものもあるし、式はできないけど……本当に幸せ……。

「エリス。エリス」
「ぁ……な、なんでしょうアデル様」

　アデル様から話しかけられていた事に気づき返事をする。

　ああ、危ない。妄想の世界に旅立つところだったわ。

「ダンが王都で流行りの商品を聞きたいんだって」
「構いませんけど……私の知識は半年くらい前のものですよ？」

　五ヶ月ここにいたのだ。流れの早い流行り廃りは、大分進んでいる事だろう。

「構わねぇよ。ここで流行ってた物がうちの国で流行るかもしれねぇからな。ここで流行ったって実績があれば向こうでも流行る可能性はあるだろう？」

　そう言われると確かに。

「わかりました。私の知る事でよろしければお伝えします」

　領地の為の商談は今までも何度かしてきたが、なんとなく実家で商談をしていた時の気分に切り替わる。

　せっかくだし、うちの国のものをガッツリ売り込むわよ！