【本編完結】子持ち婿入り伯爵様の後妻になりました～ドラ息子派閥から旦那様ごと嫌われてますがそれなら貰ってもいいですよね！～【番外編開始】

本編

15：夕食

　淑女らしさを放り投げた事を後悔しているうちに、さまざまな食事がテーブルへと並べられていく。

「さあ、食べようか。パンもだけど他の料理も気に入ってくれると嬉しいかな」
「いえ……もう、見ただけで美味しそうです」

　借金があれど、領地が豊かなおかげか、並んでいる料理はどれも美味しそうなものだ。

　山の幸であるキノコ類。川の幸である川魚。畑で採れただろうさまざまな野菜。焼きたてのパン。そして、お肉！

　どれも一流の料理人が作った料理だというのが一目でわかる数々だった。

「い、いただいても？」
「どうぞ」

　食べたい欲求を堪えながら、アデル様に尋ねれば、アデル様が微笑み、先に料理へと手をつける。

　よし、許可はもらった！　美味しく食べさせていただきます！

　フォークとナイフを持ち、気になるものを切り分けては口に運んでいく。

　ど、どれもおいしー！

　ソテーされたキノコは旨味たっぷりで咀嚼すれば咀嚼するほど、味が口の中に染み渡る。

　川魚は、パリッと焼き上げてあって、上からかけたバターソースのコクと川魚自身のさっぱりした身が美味しくマッチしている。

　野菜もシンプルに湯がかれたものから炒めたものまで、鮮度の良さのおかげがいくらでも食べれてしまう。

　そして、アロガス名物の小麦で作ったパン！

　これが、柔らかくて甘くて、それでいてさっぱりしているからこってりしている料理に慣れた口のリセットをしてくれる。

　だけど、さらにすごいのがお肉！

　おそらく牛。牛は育つのに時間がかかるから高級品なのに分厚い。

　これもバターを作っているからの副産品なのだろう。

　ミルクはメスからしかとれないけど、オスもどうしても生まれてきちゃうからね。

　いやー、それにしても……。

「美味しいですー！」
「うん、見ていても幸せそうに食べてるなぁって思うよ」

　アデル様の言葉にパクパクモグモグ食べている自覚はあれど、手は止まらない。

　だって、美味しいんだもの。

「でも、ほどほどにね。食後のデザートもあるんだから」

　あるんですか!?

　そんな驚愕の言葉を食べている料理とともに飲み込んだのだった。