143 / 146
第一部:番外編
ヘルト視点25:結果、報酬、思いを馳せる《ヘルト視点・完》
しおりを挟む
スタンピードから半月が経ち、最終的な結果がシャマから伝えられた。
「それじゃあ、あの村は解体してよるダンジョンに近い場所に町を作る事になったと」
「ああ、その通りだ」
帰ってきたヤツらとも顔をあわせ、故郷の行く末を知り、ようやく一区切りついたような気がする。
故郷は消えた。もう帰る事のない場所とは決めたが……なくなるとなるとなぜか哀愁を覚えた。
そんな感情を隠しながらも報酬を受けとる。
エルツの分が俺のものに換算されているのは面白くないが……こればかりは、この国のギルド本部や国自体の方針だ。
少しだけシャマに文句言うくらいで済ませてやる。
ただ、ソルとルナが初心者クラスから中級クラスにあがってたのは、異例だと思った。
普通は、初心者なんて実力があってもスタンピードには連れてかねぇからな。
ここでも一悶着あった感じがするが……シャマや他のヤツらが進言してくれたのだろう。
正体不明の突然現れた新人二人なのに……よくしてくれるもんだ。
ソルとルナは、俺がダンジョンで保護してきた冒険者って説明してるが……今後どんな尾ひれはひれつく事か……。
この辺り、近いうちにもう少しシャマと話を詰めよう。
こんな活躍させるつもりなかったからなぁ……。
自分の考えなさに後悔しながら、報酬を受け取りギルドを後にする。
後悔と反省もあれど、スタンピードも解決して、報酬も手に入ったし……これでようやく日常に戻れるって切り替えていくか!
「さーて、スタンピードの事も片づいたし……また、明日からダンジョン潜るか」
「そうですね」
俺の言葉に隣を歩くエルツが頷く。
「ま、とりあえず今日までは休みだ。どっか寄って帰ろうぜ。報酬もたんまり入ったし……なんでも買ってやるぞー!」
「では、ヘルト様。本が欲しいです」
「実用書も、娯楽用の小説もです」
俺の言葉にソルとルナが遠慮なく欲しいものを言ってくる。こいつらには、ちゃんと報酬渡したんだが……まあ、いいか。俺の方が金あるのは事実だしな。
で、問題は隣で微笑んでるエルツだ。
「エルツ。お前は?」
「……何か、美味しいもの食べたいです」
ホント、欲のねぇヤツ。そんなところが可愛いけどな。
「じゃあ、屋台にでも行くか」
「はい!」
嬉しそうに笑うエルツに笑みを返して、歩き出す。
まだまだ、目的は果たせてないが、それでもコイツらと過ごす時間は楽しい。淡々と過ごしてたソロの時と比べたら大違いだ。
……今なら、活躍しているアイツらにも笑って会えるだろうか。
別れた元パーティーの事を思い出しながら、小さく笑みを浮かべる。
俺は、また楽しくやってるぞ。お前らも、俺の事は気にせず楽しくやっていてほしい。
そんな事を思いながら、青い空の下……どこかのダンジョンで活躍しているだろう皆へと思いを馳せた。
ヘルト視点・完
「それじゃあ、あの村は解体してよるダンジョンに近い場所に町を作る事になったと」
「ああ、その通りだ」
帰ってきたヤツらとも顔をあわせ、故郷の行く末を知り、ようやく一区切りついたような気がする。
故郷は消えた。もう帰る事のない場所とは決めたが……なくなるとなるとなぜか哀愁を覚えた。
そんな感情を隠しながらも報酬を受けとる。
エルツの分が俺のものに換算されているのは面白くないが……こればかりは、この国のギルド本部や国自体の方針だ。
少しだけシャマに文句言うくらいで済ませてやる。
ただ、ソルとルナが初心者クラスから中級クラスにあがってたのは、異例だと思った。
普通は、初心者なんて実力があってもスタンピードには連れてかねぇからな。
ここでも一悶着あった感じがするが……シャマや他のヤツらが進言してくれたのだろう。
正体不明の突然現れた新人二人なのに……よくしてくれるもんだ。
ソルとルナは、俺がダンジョンで保護してきた冒険者って説明してるが……今後どんな尾ひれはひれつく事か……。
この辺り、近いうちにもう少しシャマと話を詰めよう。
こんな活躍させるつもりなかったからなぁ……。
自分の考えなさに後悔しながら、報酬を受け取りギルドを後にする。
後悔と反省もあれど、スタンピードも解決して、報酬も手に入ったし……これでようやく日常に戻れるって切り替えていくか!
「さーて、スタンピードの事も片づいたし……また、明日からダンジョン潜るか」
「そうですね」
俺の言葉に隣を歩くエルツが頷く。
「ま、とりあえず今日までは休みだ。どっか寄って帰ろうぜ。報酬もたんまり入ったし……なんでも買ってやるぞー!」
「では、ヘルト様。本が欲しいです」
「実用書も、娯楽用の小説もです」
俺の言葉にソルとルナが遠慮なく欲しいものを言ってくる。こいつらには、ちゃんと報酬渡したんだが……まあ、いいか。俺の方が金あるのは事実だしな。
で、問題は隣で微笑んでるエルツだ。
「エルツ。お前は?」
「……何か、美味しいもの食べたいです」
ホント、欲のねぇヤツ。そんなところが可愛いけどな。
「じゃあ、屋台にでも行くか」
「はい!」
嬉しそうに笑うエルツに笑みを返して、歩き出す。
まだまだ、目的は果たせてないが、それでもコイツらと過ごす時間は楽しい。淡々と過ごしてたソロの時と比べたら大違いだ。
……今なら、活躍しているアイツらにも笑って会えるだろうか。
別れた元パーティーの事を思い出しながら、小さく笑みを浮かべる。
俺は、また楽しくやってるぞ。お前らも、俺の事は気にせず楽しくやっていてほしい。
そんな事を思いながら、青い空の下……どこかのダンジョンで活躍しているだろう皆へと思いを馳せた。
ヘルト視点・完
7
お気に入りに追加
1,932
あなたにおすすめの小説
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】凄腕冒険者様と支援役[サポーター]の僕
みやこ嬢
BL
2023/01/27 完結!全117話
【強面の凄腕冒険者×心に傷を抱えた支援役】
孤児院出身のライルは田舎町オクトの冒険者ギルドで下働きをしている20歳の青年。過去に冒険者から騙されたり酷い目に遭わされた経験があり、本来の仕事である支援役[サポーター]業から遠退いていた。
しかし、とある理由から支援を必要とする冒険者を紹介され、久々にパーティーを組むことに。
その冒険者ゼルドは顔に目立つ傷があり、大柄で無口なため周りから恐れられていた。ライルも最初のうちは怯えていたが、強面の外見に似合わず優しくて礼儀正しい彼に次第に打ち解けていった。
組んで何度目かのダンジョン探索中、身を呈してライルを守った際にゼルドの鎧が破損。代わりに発見した鎧を装備したら脱げなくなってしまう。責任を感じたライルは、彼が少しでも快適に過ごせるよう今まで以上に世話を焼くように。
失敗続きにも関わらず対等な仲間として扱われていくうちに、ライルの心の傷が癒やされていく。
鎧を外すためのアイテムを探しながら、少しずつ距離を縮めていく冒険者二人の物語。
★・★・★・★・★・★・★・★
無自覚&両片想い状態でイチャイチャしている様子をお楽しみください。
感想ありましたら是非お寄せください。作者が喜びます♡
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる