【第一部&番外編・完】故郷の英雄と歩む冒険者生活~家族に売られた僕は憧れの冒険者のものになりました~

海野璃音

文字の大きさ
上 下
142 / 146
第一部:番外編

ヘルト視点24:準備、緊張、求めあう二人

しおりを挟む
 先に風呂に入って、部屋でエルツを向かえる準備をする。

 鉄でできた魔導義手でエルツのか肌を傷つけないように布で巻いて縛ったり、ベッドサイドに香油やタオルを置いておいたりな。

 準備を終えてベッドに腰かけるが……落ち着けるわけもない。

 最初は、足を揺すり、それでも落ち着かなくて立ち上がり、うろうろうろうろと部屋を歩く。

 男らしくないとか。童貞じゃねぇんだからとか……頭を過るが、初めて本気になった相手だ。緊張もするだろう。

 ダンジョンに魅入られ、冒険者として生きるか死ぬかの世界を生きてきた。

 だから、一夜限りの付き合いやそれを商売とするヤツらしか選んでこなかった。

 そんな俺がこんな状態になってるってのをアイツらに知られたら笑われるんだろうな。

 俺をよく知る元仲間達を思い出して苦笑していたら、部屋の扉が叩かれた。

「……来たか」

 落ち着いているように装いながら、エルツを向かえる。

 真っ赤になりながらも布に包まれた魔導義手を気にするエルツは抱き締めたいくらいに可愛い。

 だけど、格好つけたい気持ちもあるから、緊張するエルツを言葉で促し、扉を閉めた。

 鍵のかかる音に緊張するエルツの体を抱き締める。

「エルツ」
「ぁ……ヘルトさん……」

 強ばるからだから香る甘い匂い。

 それを堪能してから、エルツの手を引いてベッドへと導いた。

「ぅ……あ、……へ、ヘルト……さん……」

 真っ赤でゆだったエビみたいな顔色で戸惑うエルツに思わず苦笑する。

 俺も緊張しているが、エルツは俺以上に緊張しているようだった。

 そんなエルツの緊張をほどくように額や頬に唇を落としていき、小さな唇へと重ねる。

 最初は浅く。徐々に深く。

「っ、は……ぁ、はぁ……」

 できるだけ優しくしたつもりだったが、初なエルツには激しかったようで……終わった頃には息が途切れ、涙に濡れた顔は男としての欲情をそそられた。

 それに……着ているものが初日にやった俺の服だから、男心まで擽られる。

 自分の服を着られるってこんなにもエロいのかと思うほどに。

 今までもエルツは好んで着ていたけど……これからは健全な目で見れそうにない。……まずいな。

 だが、そんな事は後になってから考えればいいと服を脱がす。

 傷一つない白い華奢な体は綺麗で……触れる度に敏感に震えた。

 元からか……それとも教育の結果かまではわからない。

 それでも、男を知らない体を俺の手で染め上げるのだと思うと高ぶった。

 そんな自分に所詮は俺も男だったのだと苦笑しながらエルツを愛でる。

 教えられた事も何もかも俺の手で塗り替えるかのように。

「あぁあ……あっ……!」

 細い体が俺の手で踊る。

「ヘルト、さんっ……」

 俺を求めるように呼び、ねだる。

 胸への愛撫で初めて達し、はしたないと泣くエルツを宥め、俺へと溺れさせた。

 性器でイかせて、後ろをほぐして、中からの快楽に溺れて、俺を呼ぶエルツは可愛い。

「ヘルトさんっ、ヘルトさんんんっ……!」

 恍惚とした表情でねだられて、呼ばれたら冷静でいようとした理性も焼ききれる。

 エルツを俺の上に座らせて、その腰を掴んで俺の立ち上がったイチモツの上に下ろせば、僅かな抵抗はありながらも、エルツの体はゆっくりと俺を受け入れていった。

「っ、あ……あぁあああっ!」
「くっ……!」

 温かな粘膜と包み込むような締め付け。拒むのではなく、俺自身を甘やかすような柔らかな動きに息を飲んだ。

 快楽をこらえ、ゆっくりとエルツを慣らしながら、少しずつ動く。

 だけど、そんな気づかいはあっという間に消し飛ぶ。

 求められる声、求めるように揺れる腰。理性なんて容易く崩れた。

「あぁっ!あっ!あぁあああっ!」

 惚けたエルツが涙の浮かんだ目で俺を見つめる。

 その姿が堪らなく可愛いし、その顔の横で揺れる赤いピアスがエルツの色気を引き立てていた。

「蕩けた顔の横で揺れてるピアスもたまんねぇ……! やっぱりすげぇ似合ってるっ……!」

 大人の余裕なんてどこにいったのか……年甲斐もなくその華奢な体を愛で、互いに求めあうように快楽へと堕ちていく。

 そして、動けなくなったエルツに俺が反省したのは言うまでもなかった。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

アンドロイドは愛を得る

天霧 ロウ
BL
アンドロイドを持つのが当たり前になった時代。 ある名家は八歳になったらアンドロイドを与えるというしきたりがあった。創造主であるライラからコヨリという名を与えられたアンドロイドの私は助手として彼女とともにその家に訪れた。しかし、理想のアンドロイドを頼めるにもかかわらず、その家の子供――史人は私がほしいと言った。 一悶着あった末、私は彼のものになり十年。すっかり青年に育った彼を見るたびに私の胸のコアや頭の回路はときおり熱を帯びてエラーを吐くようになった。 ムーンライトノベルズにも掲載しております 史人(ふみと)×コヨリ (SF/主従/俺様一途×天然健気/主×従者/人間×アンドロイド/年下攻め/甘々/溺愛/じれじれ/ハッピーエンド/受視点)

地下酒場ナンバーワンの僕のお仕事

カシナシ
BL
地下にある紹介制の酒場で、僕は働いている。 お触りされ放題の給仕係の美少年と、悪戯の過ぎる残念なイケメンたち。 果たしてハルトの貞操は守られるのか?

オメガに転化したアルファ騎士は王の寵愛に戸惑う

hina
BL
国王を護るαの護衛騎士ルカは最近続く体調不良に悩まされていた。 それはビッチングによるものだった。 幼い頃から共に育ってきたαの国王イゼフといつからか身体の関係を持っていたが、それが原因とは思ってもみなかった。 国王から寵愛され戸惑うルカの行方は。 ※不定期更新になります。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

勇者になるのを断ったらなぜか敵国の騎士団長に溺愛されました

BL
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」 え?勇者って誰のこと? 突如勇者として召喚された俺。 いや、でも勇者ってチート能力持ってるやつのことでしょう? 俺、女神様からそんな能力もらってませんよ?人違いじゃないですか?

処理中です...