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第一部:番外編

ヘルト視点22:帰還、買い物、受け取り

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 行きとは違って急ぐ必要もない旅をゆっくりと過ごし、拠点とする町へと帰還した。

 馬を返し、シャマに報告し、日常が戻り俺としては一安心と言ったところだ。

 とりあえず、しばらくは休暇を満喫するつもりだがな。

 スタンピードの対応にも疲れたし……スタンピードによって壊滅した故郷がどうなるか決まるまで、ダンジョンに潜っても集中できそうにもないってのもある。

 俺も、エルツもな。

 家に帰って、ゆっくり休んで……って、したかったんだが、エルツはソルとルナに家事を教えながらいつも通り過ごしていた。

 まあ、無表情なりに好奇心旺盛な二人に振り回されてるところもあるけどな。

 俺も、突然ソルからの質問が側にいたルナから飛んできて驚いたもんだ。

 ものを知りたがるようになった子供みたいで微笑ましくはあるんだがな。

 そんなこんなでいつもの日常にソルとルナが加わったが、ちょっと賑やかになったくらいで平穏な日々を送っていた。

「エルツ。買い物行くけど、何かって来たらいい?」
「晩御飯の材料がないので、ヘルトさんの食べたいもの買ってきてください。それで、なにか作っちゃいますから」

 家に帰ってきた三日目。いつものように晩飯の材料を買いに町に出る。

 適当に食いたいものを買ってはアイテムバッグに詰め込んで行った。

 だが、今日の目的はそれだけじゃない。

 今朝、以前ピアスを頼んだ店から使いが来てピアスが完成したと連絡があったのだ。

「邪魔するぜ」
「オルデン様、お待ちしておりました」

 店を訪ねれば、前にもあった店員が俺を向かえる。

「こちらが注文いただいていたピアスです」

 そう言って取り出されたのは箱に入れられた二つのピアスだ。

 俺の注文したデザインとなっていて、赤い魔石を金色の金具が彩っている。

「確かに。……いい腕だ」
「ありがとうございます」

 頭を下げた店員からピアスを受けとり、支払いも済ませ、家へと向かう。

 年甲斐もなく帰る足取りが軽いのは、俺自身が受かれているからだろう。

 エルツの初討伐の魔石を俺の好みで注文し、それがエルツの耳を飾るのだ。楽しみでしかなかった。
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