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第一部:番外編
ヘルト視点19:哀哭、野営、テントの中
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特急馬車の操縦をソルとルナに任せて、俺はエルツと共に馬車の中で揺られている。
馬車に乗ってからも気丈に振る舞っていたエルツだが、両手を広げて呼べば泣きながら抱きついてきた。
泣きじゃくるエルツを宥めているうちにエルツは泣きつかれて眠りに落ちる。
頬に伝う涙を指で拭っていると、馬車が止まる。
「マスター、ヘルト様。これ以上進むのは危険と判断します。野営の準備をしてもよろしいでしょうか」
「頼む。俺は手伝えそうにないんだが……二人でできそうか?」
「お任せください」
腕の中で眠るエルツを指差せば、小窓から覗き込んできたルナが頷く。
本当に頼りになる事だ。
二人に設営を任せて、組み上がったテントにエルツを寝かせる。
見張りを二人へと頼みながら、アイテムバッグから取り出した材料で簡単にシチューを作る。
料理はエルツに任せきりだけど、最低限はできるのだ。
パーティー組んでた時の料理当番は持ち回りだったしな。
久しぶりに作る料理を味見して、やっぱりエルツが作る方が美味いな。と、思いながら出来上がった飯を腹にいれる。
俺が食った時は野菜が少し生煮えだったが、エルツが起きる頃にはいい塩梅になるだろう。
「見張りと火の番、任せていいか?」
「構いません」
「どうぞ、おやすみください」
「ありがとよ」
二人に見張り番を任せてテントに入る。
眠るエルツはまだまだ目を覚ましそうになく、ランプに照らされた目元はまだ赤らんでいるように見えた。
「……お前は、凄いヤツだよ」
眠るエルツの頭を撫でる。
あんな家族で、あんな目に遭って、それでも嫌いになりきれずに、優しく突き放した。
人を嫌いになったと思っているようだが……嫌いって感情はもっと激しいものだ。
あんな目に遭ってたら、憎悪を持っていてもおかしくないだろうにな……。
優しすぎるゆえに、人に対する負の感情すら自分の心を傷つけてしまうエルツの性質は難儀なものだと思う。
まだしばらくは、引きずるかもしれないが……できるなら忘れさせてやりたいとも思う。
何か……切欠になる事があれば……。
そんな事を考えながら、エルツが目覚めるのを眺めながら、その頭を撫でていた。
馬車に乗ってからも気丈に振る舞っていたエルツだが、両手を広げて呼べば泣きながら抱きついてきた。
泣きじゃくるエルツを宥めているうちにエルツは泣きつかれて眠りに落ちる。
頬に伝う涙を指で拭っていると、馬車が止まる。
「マスター、ヘルト様。これ以上進むのは危険と判断します。野営の準備をしてもよろしいでしょうか」
「頼む。俺は手伝えそうにないんだが……二人でできそうか?」
「お任せください」
腕の中で眠るエルツを指差せば、小窓から覗き込んできたルナが頷く。
本当に頼りになる事だ。
二人に設営を任せて、組み上がったテントにエルツを寝かせる。
見張りを二人へと頼みながら、アイテムバッグから取り出した材料で簡単にシチューを作る。
料理はエルツに任せきりだけど、最低限はできるのだ。
パーティー組んでた時の料理当番は持ち回りだったしな。
久しぶりに作る料理を味見して、やっぱりエルツが作る方が美味いな。と、思いながら出来上がった飯を腹にいれる。
俺が食った時は野菜が少し生煮えだったが、エルツが起きる頃にはいい塩梅になるだろう。
「見張りと火の番、任せていいか?」
「構いません」
「どうぞ、おやすみください」
「ありがとよ」
二人に見張り番を任せてテントに入る。
眠るエルツはまだまだ目を覚ましそうになく、ランプに照らされた目元はまだ赤らんでいるように見えた。
「……お前は、凄いヤツだよ」
眠るエルツの頭を撫でる。
あんな家族で、あんな目に遭って、それでも嫌いになりきれずに、優しく突き放した。
人を嫌いになったと思っているようだが……嫌いって感情はもっと激しいものだ。
あんな目に遭ってたら、憎悪を持っていてもおかしくないだろうにな……。
優しすぎるゆえに、人に対する負の感情すら自分の心を傷つけてしまうエルツの性質は難儀なものだと思う。
まだしばらくは、引きずるかもしれないが……できるなら忘れさせてやりたいとも思う。
何か……切欠になる事があれば……。
そんな事を考えながら、エルツが目覚めるのを眺めながら、その頭を撫でていた。
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