【第一部&番外編・完】故郷の英雄と歩む冒険者生活~家族に売られた僕は憧れの冒険者のものになりました~

海野璃音

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第一部:番外編

ヘルト視点17:援軍、戦闘終了、合流

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 戦っているうちに領軍も到着して、一気に有利になる。

 人手が増えるだけで安定感が変わるからな。

 いつの間にか中のヤツらも攻勢に打って出たのかモンスターの動きに乱れていく。

 俺は出来るだけ前線にとどまり、ソルには手薄になっているところの補助へと回って貰うことにした。

 正直、魔力さえあれば疲れ知らずなソルはありがたかった。

 欲を言えば、ルナもほしかったし、エルツも攻撃に加わってくれればずっと楽だったと思う。

 村のヤツらが避難していれば、もう少し楽だったであろう処理に舌打ちをしたくなった。

 それでも、切って、切って、切り飛ばして。避けきれなかった血飛沫に汚れながらも戦い続ける。

 終わりのない戦いになると思っていたが、早めに中の冒険者も戦いに加わってくれた事、領軍も十分な人数を派遣してくれた事で、日が落ちる前にある程度の討伐を終えた。

 まだ残党はいるだろうし、モンスターの涌き出ているダンジョンを見つけねぇと、スタンピードの終息とはいえない。

 それでも、数多のモンスターの死骸が転がる大地で、立っていると生き残ったという実感が沸いていた。

「ヘルト様、戻りました」
「ああ、ソルか。お前もお疲れ。ひとまず、これでいいだろう」

 散った冒険者達に声を届けるのは非効率的な為、討伐完了を知らせる狼煙代わりの魔法を上空へ放つ。

 空で弾けた火球に散り散りになっていた冒険者や領軍の責任者がやってくる。

 疲れているが一応現場の指揮を取ってたから、最後の区切りまではやらねぇとな。

「冒険者の指揮はオルデン卿がお取りになっていたんですね。ご協力感謝いたします」

 領軍の責任者が貴族出身だったのか、俺の顔を知っていたようで敬礼を取ってくる。

「やれるべき事をやっただけだ。悪いが残りの指揮は任せていいか? 中にいる仲間を迎えに行きたい。いい加減障壁解かさねぇと疲れちまう」
「あの障壁はオルデン卿のお仲間でしたか! かしこまりました! 残りはお任せください!」

 まだ若い責任者が胸を張って承諾してくれたのでこれでいいだろう。

 同じ町から来た冒険者にもエルツを迎えに行ってくると告げて、ソルを連れて村へと向かう。

「ソル。エルツ達はどこにいる」
「こちらです」

 ソルに尋ねれば、正確な場所がわかるのか俺を導くように先を歩く。

 早く、早く。気持ちが急ぐままに足を動かす。

 中の冒険者達が出入りする為の障壁の裂け目から村の中に入り、人気のない村をソルについて進めば、ルナを連れて障壁を展開しているエルツを見つけた。

「エルツ! 無事か!」
「ヘルトさん!」

 俺が叫べば、エルツは安心したような表情を浮かべた。

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