134 / 146
第一部:番外編
ヘルト視点16:作戦、見送り、攻勢
しおりを挟む
エルツの提案を受け入れ、障壁を安定して張るためにどうやって中に送り込むか考えていると、ルナが共に行く事を申し出てきた。
ルナがエルツについてくれるなら、村にエルツを送り込む心配も軽減されるし、ソルとの通信で内部とのやり取りも可能だ。
ありがたい提案に、ルナの同行も作戦へと組み込む。
出来上がった作戦としては、エルツの作った障壁の道でエルツとルナが村へ潜入。
俺達は、二人が空から魔物に襲撃されるのを魔法や弓矢で防ぎつつ、内部状況を把握次第、攻勢にうって出る事になった。
「ヘルトさん行ってきます」
「おう、行ってこい!」
ルナに抱えられたエルツに笑みを浮かべて見送る。
障壁を展開して、ルナと共に村へと向かうエルツが心配じゃない訳ではない。
だが、ここで俺が不安を見せる訳にはいかない。師匠として、作戦を託す仲間として、見送ってやるのが覚悟を決めたエルツへと向けるはなむけだった。
「さて、俺らもやるぞぉ!」
「「「おおっ!」」」
俺の言葉に気合いの入った声が上がる。
障壁の道を駆けるルナをめがけて襲いかかる飛行型モンスターを魔法や斬撃で撃ち落としていく。
外部からの攻撃に徐々にこちらへと気づいた地上のモンスター達もこちらへと方向を変え、迫ってくる。
「前衛は前に出るぞ! 後衛は、今まで通り上空優先で頼む!」
こちらへと向かってきたモンスターに対応するべく、他の前衛と前に出る。
ソルを連れてモンスターを撃ち取っていると、無事村へと突入できたエルツ達から連絡が届いた。
「ヘルト様、マスター達は村へと到着したようです。到着とともにマスターが障壁を展開。ルナは、現在被害状況を確認中です」
「そうか、わかった。お前ら、エルツ達が無事村に到着した! 現状は調査中だが、これでひとまずあちらの安全は確保できる! ここからは、死なねぇ程度に攻めに転ずるぞ!」
ソルからの報告を拡声魔法で周りへと伝え、指示を飛ばす。
「前衛は、疲れたと思ったら一度後退する事を考えろ! 後衛は、こちらを狙う飛行型モンスターにだけ注意! 前衛が薄くなった時は、補助を頼む!」
返事らしい返事は返って来ないが、周りの動きが変わった。
攻めながらも、自分達の限界を見極めるようにモンスターを切り伏せて行く。
俺もそれに続きながら、隣で剣を振るうソルから第二報を待つ。
「被害状況確認終了。死者は、冒険者、村人共に少数。負傷者は、冒険者と重傷者を中心に治療を開始。治療完了と共に中からも攻勢に移るそうです」
「死者もいるのか……だが、あっちからも攻めてくれるならありがたい」
スタンピードが起これば犠牲者がいるのは免れない。
だが、あの状況で犠牲者が少数っていうのは不幸中の幸いだろう。
中にスタンピード中の指揮に慣れたヤツが居るに違いない。これは、心強いぞ……!
「お前らぁ! 中のヤツらも回復次第打って出る! この戦い必ず勝つぞ!」
迫ってきたモンスターを一閃しながら声を張り上げる。
返事はない。だが、中のヤツらがまだ戦う気力がある事が士気を高めたのか、切り飛ばされていくモンスターの数が僅かに増えていった。
ルナがエルツについてくれるなら、村にエルツを送り込む心配も軽減されるし、ソルとの通信で内部とのやり取りも可能だ。
ありがたい提案に、ルナの同行も作戦へと組み込む。
出来上がった作戦としては、エルツの作った障壁の道でエルツとルナが村へ潜入。
俺達は、二人が空から魔物に襲撃されるのを魔法や弓矢で防ぎつつ、内部状況を把握次第、攻勢にうって出る事になった。
「ヘルトさん行ってきます」
「おう、行ってこい!」
ルナに抱えられたエルツに笑みを浮かべて見送る。
障壁を展開して、ルナと共に村へと向かうエルツが心配じゃない訳ではない。
だが、ここで俺が不安を見せる訳にはいかない。師匠として、作戦を託す仲間として、見送ってやるのが覚悟を決めたエルツへと向けるはなむけだった。
「さて、俺らもやるぞぉ!」
「「「おおっ!」」」
俺の言葉に気合いの入った声が上がる。
障壁の道を駆けるルナをめがけて襲いかかる飛行型モンスターを魔法や斬撃で撃ち落としていく。
外部からの攻撃に徐々にこちらへと気づいた地上のモンスター達もこちらへと方向を変え、迫ってくる。
「前衛は前に出るぞ! 後衛は、今まで通り上空優先で頼む!」
こちらへと向かってきたモンスターに対応するべく、他の前衛と前に出る。
ソルを連れてモンスターを撃ち取っていると、無事村へと突入できたエルツ達から連絡が届いた。
「ヘルト様、マスター達は村へと到着したようです。到着とともにマスターが障壁を展開。ルナは、現在被害状況を確認中です」
「そうか、わかった。お前ら、エルツ達が無事村に到着した! 現状は調査中だが、これでひとまずあちらの安全は確保できる! ここからは、死なねぇ程度に攻めに転ずるぞ!」
ソルからの報告を拡声魔法で周りへと伝え、指示を飛ばす。
「前衛は、疲れたと思ったら一度後退する事を考えろ! 後衛は、こちらを狙う飛行型モンスターにだけ注意! 前衛が薄くなった時は、補助を頼む!」
返事らしい返事は返って来ないが、周りの動きが変わった。
攻めながらも、自分達の限界を見極めるようにモンスターを切り伏せて行く。
俺もそれに続きながら、隣で剣を振るうソルから第二報を待つ。
「被害状況確認終了。死者は、冒険者、村人共に少数。負傷者は、冒険者と重傷者を中心に治療を開始。治療完了と共に中からも攻勢に移るそうです」
「死者もいるのか……だが、あっちからも攻めてくれるならありがたい」
スタンピードが起これば犠牲者がいるのは免れない。
だが、あの状況で犠牲者が少数っていうのは不幸中の幸いだろう。
中にスタンピード中の指揮に慣れたヤツが居るに違いない。これは、心強いぞ……!
「お前らぁ! 中のヤツらも回復次第打って出る! この戦い必ず勝つぞ!」
迫ってきたモンスターを一閃しながら声を張り上げる。
返事はない。だが、中のヤツらがまだ戦う気力がある事が士気を高めたのか、切り飛ばされていくモンスターの数が僅かに増えていった。
4
お気に入りに追加
1,937
あなたにおすすめの小説
願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい
戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。
人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください!
チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!!
※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。
番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる