【第一部&番外編・完】故郷の英雄と歩む冒険者生活~家族に売られた僕は憧れの冒険者のものになりました~

海野璃音

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第一部:番外編

ヘルト視点13:帰り道、ギルドマスター、依頼

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 一晩、隠し部屋で休んでから地上へと戻る。道中の道のりは、ソルとルナに任せたが俺達の手助けが要らないほどの腕前だった。

 エルツより幼い子供のような姿だから、俺自身も侮っていたが魔導人形はそれだけで一つのダンジョンを構成している場所もあるのだから、強いのは当たり前だ。

 実戦している姿を見ると、二人の認識を改める。中級冒険者どころじゃない、上級でも十分に通じる腕前だ。

 エルツ自身の魔法も俺以上のものになっているし、二人もいるのであれば深層に潜っても問題なく進めるだろう。

 頭の中で深層までの道筋と二人をどうやって今後もダンジョンに連れて来るか悩む。

 これで、魔導人形ってわかる外見だったら奴隷と同等の獣魔的な扱いにできたのだが……明らかに人間だからなぁ……。

 冒険者として登録させるべきか……奴隷の印を偽装して奴隷として扱うのがいいのか……いや、これは俺の心理的にやりたくねぇな。

 とりあえず、これからシャマに報告しなきゃなんねぇからあいつがどうにかしてくれるといいんだけどよ。

 同期兼現ギルドマスターのシャマ頼りなのは、情けないが表に出てる前例がないからホントどうしたらいいかわかんねぇんだよなぁ……。

 そんな事を悩みながら、さらっとダンジョンの管理をしているギルド職員を受け流し、ギルドへと向かう。

 そして、たどり着いたギルドで顔パスでシャマの執務室まで行って、処々の経緯を説明した。

 やはりというか、エルツに興味を持ったのは面白くないが、弟子で可愛い想い人だ。渡すわけがねぇ。

 エルツを欲しがるシャマを威嚇しながら、ソルとルナの扱いをどうするか訪ねる。

 そしたら、ソルとルナにいくつか確認してからあっさりとギルド証を出しやがった。二人の存在を隠匿する事にもなったし……ギルドマスターの仕事についてはあんまり興味なかったけど、たまに聞くとそれでいいのかって事するんだよなぁ……それで助かってるから文句は言えんのだが。

 で、問題はここからだった。

 俺達の用事が終わって、シャマから出されたスタンピードの依頼。

「エヴェネ地方ヴァルトア」

 その依頼先が俺とエルツの故郷だったのだ。
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