【第一部&番外編・完】故郷の英雄と歩む冒険者生活~家族に売られた僕は憧れの冒険者のものになりました~

海野璃音

文字の大きさ
上 下
112 / 146
第一部:本編

112:期待する体《R18》

しおりを挟む
 深い深い口づけはゆっくりと優しいものだったけど、長く思えるもので終わった時には、僕の息は荒いものになっていた。

「っ、は……ぁ、はぁ……」

 酸欠でぼんやりとした頭のまま、ヘルトさんの指が僕の唇をなぞる。

「すっげぇ、いい顔。可愛いぞエルツ」
「ぁ……」

 男らしく笑うヘルトさんが僕の涙で濡れた目元に軽く口づける。

「脱がせてもいいか?」
「は、ぃ……」

 耳元で囁かれた言葉に頷けば、チュニックから出ている素足を軽く撫でられた後、ヘルトさんの手が服を脱がす。

「ぁ……」

 ヘルトさんの前に晒された貧相な体。ダンジョンに潜るようになって体力はついたけど……筋肉は、つかなかった体が見られている事に恥ずかしくなる。

「華奢で綺麗な体だ。俺とは比べもんになんねぇな」

 でも、そんな体をヘルトさんは受け入れ、誉めてくれる。

「僕は、ヘルトさんの……体、好きですよ……かっこいいですもん」

 僕の視界に映るヘルトさんの体。

 鍛え上げられた肉体は、あちらこちらに小さな傷が残るもののしっかりとした筋肉がつき、たくましい。

 太い腕も、厚い胸板も、割れた腹筋も……羨ましくなるくらいにかっこよかった。

「そうか? なら、これからも頑張って鍛えねぇとな」

 嬉しそうに笑うヘルトさん僕も嬉しくなる。

「ありがとなエルツ」

 ヘルトさんから感謝のキスを頬に落とされた僕はゆっくりとベッドへと押し倒された。

「ぁ……ヘルトさん……」

 下着も、履いていたサンダルも全て取られ、生まれたままの姿になる。

 性奴隷として整えられたつるりとした体を見られ、不安に思ったけどヘルトさんはそんな僕の体を優しく撫でる。

「うん、やっぱり綺麗だ」
「っ……!」

 普段、剣を握っているから荒れた硬い指先が肌をなぞるのがこそばゆい。

「変じゃ……ないですか……?」
「なにがだ? お前の体はどんな姿だろうが、綺麗なもんだよ」

 撫でられ、身をよじる僕にヘルトさんは微笑む。

「でも、触られただけなのに……」

 僕の体は期待に昂り、すでに僕自信は緩く勃ちあがってしまっている。

 あまりにも淫らな体に羞恥心で顔が赤くなるのがわかった。

「それだけ俺に触れてほしいんだろ? 素直で可愛いじゃねぇか」
「ぁあ……」

 ヘルトさんの大きな手が僕の脇腹を撫で、お腹に甘い疼きが沸き起こる。

「商館じゃいろいろあっただろうがな……そんなもん気にならなくなるくらい愛してやるよ」

 ヘルトさんの優しい笑みに獲物を見つけた肉食獣のような鋭いものが混じる。

「っ……あ……」

 支配される。彼のものにされるという事実に背筋にゾクゾクとしたものが走る。

 それは、恐怖でも、怯えでもない。あえていうのなら、きっと歓喜だった。

 横たわる僕の前で、ヘルトさんはズボンを脱ぎ、ベッドへと上がってくる。

 覆い被さってくる体が大きくて、緊張で鼓動が早くなった。

「エルツ……」
「ヘルトさん……」

 互いに名前を呼び、覆い被さる体に腕を伸ばす。

「んっ……」

 ヘルトさんの首の後ろに腕を回し、再び重なる唇に僕は目を閉じた。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

アンドロイドは愛を得る

天霧 ロウ
BL
アンドロイドを持つのが当たり前になった時代。 ある名家は八歳になったらアンドロイドを与えるというしきたりがあった。創造主であるライラからコヨリという名を与えられたアンドロイドの私は助手として彼女とともにその家に訪れた。しかし、理想のアンドロイドを頼めるにもかかわらず、その家の子供――史人は私がほしいと言った。 一悶着あった末、私は彼のものになり十年。すっかり青年に育った彼を見るたびに私の胸のコアや頭の回路はときおり熱を帯びてエラーを吐くようになった。 ムーンライトノベルズにも掲載しております 史人(ふみと)×コヨリ (SF/主従/俺様一途×天然健気/主×従者/人間×アンドロイド/年下攻め/甘々/溺愛/じれじれ/ハッピーエンド/受視点)

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

地下酒場ナンバーワンの僕のお仕事

カシナシ
BL
地下にある紹介制の酒場で、僕は働いている。 お触りされ放題の給仕係の美少年と、悪戯の過ぎる残念なイケメンたち。 果たしてハルトの貞操は守られるのか?

オメガに転化したアルファ騎士は王の寵愛に戸惑う

hina
BL
国王を護るαの護衛騎士ルカは最近続く体調不良に悩まされていた。 それはビッチングによるものだった。 幼い頃から共に育ってきたαの国王イゼフといつからか身体の関係を持っていたが、それが原因とは思ってもみなかった。 国王から寵愛され戸惑うルカの行方は。 ※不定期更新になります。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...