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第一部:本編

98:突入

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 作戦も決まり、ついに救出作戦が始まる。

 突入メンバーは、僕とルナ。なんだけど……。

「マスター。しっかりと捕まっていてください」
「うん」

 大事な杖を抱えたまま、僕より小さい……女の子のようなルナに抱えられているのは、格好がつかないと思う……。

 僕の足では、時間がかかるから仕方ないんだけど……。

「ルナ。エルツを頼むぞ」
「はい」

 僕がちょっとだけ、格好のつかなさに落ち込んでいる間にルナがヘルトさんから僕の事を任されている。

 ダメダメ、こんな事で落ち込んでいる場合じゃない。

「それでは、マスター。お願いします」
「わかった。ヘルトさん、行ってきます」
「おう、行ってこい!」

 ヘルトさんの声を聞くと同時に息を吸う。

「……展開! 前方上空向けてにまっすぐ道を切り開け! 不可視の盾インビシブル・シールド!」

 声を張り上げ詠唱すれば、モンスター達の頭を乗り越え、一筋の障壁がうっすらと道を作り出したのが見えた。

「ルナ、お願い」
「はい。……発動、動きを向上せよ身体強化フィジカル・アップ。行きます」

 障壁の道ができたのを確認して、ルナに声をかければ、ルナの詠唱が終わると同時にその体が飛び上がる。

「っ――!?」

 そのあまりの速さに息をのみ振り落とされないようにしがみつく。

 ルナが落とすとは思わないけど、それぐらいの恐怖を感じる速さだったのだ。

 ルナが道を走り続ける中、僕らの側をヘルトさん達が撃墜してくれたモンスター達が落ちる。

 ルナの速さをもってしても、敵だと認識したモンスター達は僕らを執拗に狙おうとしていた。

「っ!」
「発動、我が身を守れ不可視の盾インビシブル・シールド

 撃墜が間に合わなかったモンスターをルナの障壁が弾き、そこにすかさず別の魔法が撃ち込まれる。

 そんな事を繰り返すうちに、僕とルナは村の防衛線へと飛び込んだ。

「なっ!? 人間!?」
「どうやって来たんだお前達!」

 飛び込んできた僕らに魔法で岩壁を作ってしのいでいたらしい冒険者達が寄ってくる。

「追加の援軍です! 今から障壁を張ります!」

 視線の集まる中、ルナの腕に収まったまま叫ぶ。

「展開! 敵意あるものから我らを守れ! 不可視の盾インビシブル・シールド!」

 なんとか落とさずに済んだ杖に魔力を流して詠唱すれば、上空から見た岩壁の防衛線に沿って村を囲む障壁が現れたのだった。
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