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第一部:本編
88:内密の話
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ギルドマスターが落ち着くのを待って、ヘルトさんが二人を手に入れた経緯を説明する。
「なるほど、十一層のはずれで……あの辺りは、あまり報告がないからねぇ……しかし、転移罠のおかげでそんな子達を手に入れられるなんてすごい幸運だねぇ」
「そうだな。目的のものより価値の高いものを手に入れるとは思わなかったわ」
「売れば買えただろうに」
「魔導義手がオークションに出てくる確率低すぎんだろ。それに、金には困ってねぇしなぁ」
ヘルトさんとギルドマスターが話しているのを聞いていると、ギルドマスターが二人から僕の話題へと切り換える。
「その子達もビックリだけどさ。その秘蔵のエルツ君。活躍すごいねぇ……最初は愛玩奴隷だって言われてたのにダンジョンで殲滅戦してる噂よく聞くようになってるよ」
「そうだろう、そうだろう。うちのエルツはすごいんだぞ」
ギルドマスターの言葉を謙遜する事なくヘルトさんが肯定するから僕が恥ずかしくなる。
「魔導人形を人に擬態させるなんて話も聞いたことないし……いったいどんな魔力量してるんだい?」
「俺の見立てでは、俺の五割増しくらいか」
ヘルトさんの言葉にギルドマスターが耳を疑うように目を見開く。
「君ダンジョン潜りすぎて魔力育ちすぎてるのにそれの五割増し? 嘘だろう?」
「マジマジ。そして、魔法初めて……三ヶ月くらい」
「魔導人形もだけど、なんて子引き当ててるんだ……」
「俺ってば、サイコーについてる男だよな」
呆れて言葉も出ないと頭を抱えるギルドマスターにヘルトさんがカラカラと笑う。
「俺としては、この才能を奴隷として潰したくなくてな。できれば、隷属魔法からも解放してやりたいと思っている」
「入れ込んでるねぇ……でも、今のところギルドの報告にも解呪薬の発見やオークション情報はないんだよ」
ヘルトさんの言葉にギルドマスターが肩を竦める。
どうやら、ギルドでも手に入ったという情報すらないらしい。
「まあ、ここでは滅多に出ないもんだしわかってるさ。それより、こいつらの情報どうすんだ? 新聞に乗せるか?」
ヘルトさんがソル達を指差せば、ギルドマスターは難しそうな顔をした。
「んー、夢はあるんだけど……腕のギリギリ足りない冒険者が中層潜って死なれると困るんだよねぇ……これが深層や最深層だったら良かったんだけど」
「中途半端に浅いから無理するやつが出てきそうだよな」
「低層の収益減っても困るし……今回は内密の話って事で」
にこやかに告げるギルドマスターに思わず驚く。
「それって……いいんですか?」
「いーのいーの。私にさえにさえ報告してくれてれば、記録には残せるし……実は、ギルドマスターしか知らないお宝情報とかあるんだよ?」
「そうなんですか!?」
ひっそりと囁くように笑うギルドマスターに大きな声をあげてしまった。
でも、あげたくもなっちゃう! 秘密の宝物情報ってワクワクしかしないんだもの!
「あははははっ、いい反応だねぇ。ヘルト、私にくれたりは」
「しない」
「つれないねぇ……」
ヘルトさんに僕をねだるギルドマスターがちょっと怖くて、ヘルトさんの装備の端を摘まむ。
「あら、怖がられちゃったね」
「お前は性格が悪い」
「そんなんじゃないとギルドマスターやってらんないよー」
ヘルトさんに睨まれてもけたけた笑うギルドマスターに、それはそうかもとだけ思ったのだった。
「なるほど、十一層のはずれで……あの辺りは、あまり報告がないからねぇ……しかし、転移罠のおかげでそんな子達を手に入れられるなんてすごい幸運だねぇ」
「そうだな。目的のものより価値の高いものを手に入れるとは思わなかったわ」
「売れば買えただろうに」
「魔導義手がオークションに出てくる確率低すぎんだろ。それに、金には困ってねぇしなぁ」
ヘルトさんとギルドマスターが話しているのを聞いていると、ギルドマスターが二人から僕の話題へと切り換える。
「その子達もビックリだけどさ。その秘蔵のエルツ君。活躍すごいねぇ……最初は愛玩奴隷だって言われてたのにダンジョンで殲滅戦してる噂よく聞くようになってるよ」
「そうだろう、そうだろう。うちのエルツはすごいんだぞ」
ギルドマスターの言葉を謙遜する事なくヘルトさんが肯定するから僕が恥ずかしくなる。
「魔導人形を人に擬態させるなんて話も聞いたことないし……いったいどんな魔力量してるんだい?」
「俺の見立てでは、俺の五割増しくらいか」
ヘルトさんの言葉にギルドマスターが耳を疑うように目を見開く。
「君ダンジョン潜りすぎて魔力育ちすぎてるのにそれの五割増し? 嘘だろう?」
「マジマジ。そして、魔法初めて……三ヶ月くらい」
「魔導人形もだけど、なんて子引き当ててるんだ……」
「俺ってば、サイコーについてる男だよな」
呆れて言葉も出ないと頭を抱えるギルドマスターにヘルトさんがカラカラと笑う。
「俺としては、この才能を奴隷として潰したくなくてな。できれば、隷属魔法からも解放してやりたいと思っている」
「入れ込んでるねぇ……でも、今のところギルドの報告にも解呪薬の発見やオークション情報はないんだよ」
ヘルトさんの言葉にギルドマスターが肩を竦める。
どうやら、ギルドでも手に入ったという情報すらないらしい。
「まあ、ここでは滅多に出ないもんだしわかってるさ。それより、こいつらの情報どうすんだ? 新聞に乗せるか?」
ヘルトさんがソル達を指差せば、ギルドマスターは難しそうな顔をした。
「んー、夢はあるんだけど……腕のギリギリ足りない冒険者が中層潜って死なれると困るんだよねぇ……これが深層や最深層だったら良かったんだけど」
「中途半端に浅いから無理するやつが出てきそうだよな」
「低層の収益減っても困るし……今回は内密の話って事で」
にこやかに告げるギルドマスターに思わず驚く。
「それって……いいんですか?」
「いーのいーの。私にさえにさえ報告してくれてれば、記録には残せるし……実は、ギルドマスターしか知らないお宝情報とかあるんだよ?」
「そうなんですか!?」
ひっそりと囁くように笑うギルドマスターに大きな声をあげてしまった。
でも、あげたくもなっちゃう! 秘密の宝物情報ってワクワクしかしないんだもの!
「あははははっ、いい反応だねぇ。ヘルト、私にくれたりは」
「しない」
「つれないねぇ……」
ヘルトさんに僕をねだるギルドマスターがちょっと怖くて、ヘルトさんの装備の端を摘まむ。
「あら、怖がられちゃったね」
「お前は性格が悪い」
「そんなんじゃないとギルドマスターやってらんないよー」
ヘルトさんに睨まれてもけたけた笑うギルドマスターに、それはそうかもとだけ思ったのだった。
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