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第一部:本編
87:ギルドマスター
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町の中へと戻り、冒険者ギルドに到着する。
「ヘルト様、お待ちしておりました。奥でギルドマスターがお待ちです」
「ああ、ありがとよ」
ギルドに入ればすぐに受付の職員がヘルト様に気づき、ギルドの奥へと案内する。
奥の部屋へ通されるヘルトさんに、ギルド内に居た冒険者達がざわざわ騒ぎだしたが、気にせず進むヘルトさんの後に僕と双子人形達は続いた。
……二回目のギルドで奥の部屋に入るって不思議な感覚。
最初に訪れた時にあまり良くない扱いを受けたからヘルトさんが連れてきてくれなかったのだ。
ヘルトさんは休息日の日とかに、僕が家事をしている合間に来ていたらしいけど。
そんな事を考えていたらヘルトさんが一つの扉の前で立ち止まる。
「邪魔するぜ」
ヘルトさんは、扉の向こうに声をかけると、返事を待たずに扉を開けた。
「不躾だねぇ……まあ、待ってたよ」
ヘルトさんの体の向こうからギルドマスターだと思われる人の声が聞こえてくる。
「お前らも入れ」
先に入ったヘルトさんが扉を開けたまま待っていてくれたので中に入る。
中に入れば、メガネをかけた……ヘルトさんと同じ年頃の茶髪の男性が居た。
他に人がいないからこの人がギルドマスターらしい。
「おや?奴隷は一人じゃ……いや、その子だけが奴隷なんだね。じゃあ、その子が秘蔵の奴隷君で……こっちの二人は?」
「説明するからじろじろ見んなシャマ。エルツは俺の隣に座れ、ソルとルナはエルツの後ろで待機」
僕や二人を興味深く眺めるギルドマスターをヘルトさんが長椅子に座りながら咎め、僕にも座るように指示する。
「へぇ……本当に奴隷を可愛がっているんだねぇ。奴隷反対の君が」
僕がヘルトさんの隣に座るとギルドマスターがニマニマとした視線をヘルトさんへと向ける。
「同郷のよしみだよ。小さい頃懐かれてて、他のやつに買われるよりはマシだと思ったんだ」
「その割には、とんでもない装備着せてるけどねぇ」
ぶっきらぼうに答えるヘルトさんにギルドマスターは楽しげに笑い、僕と目が合う。
「はじめまして、秘蔵の奴隷君。そして、見知らぬ子供達。私は、シャマ。ここの管理を任せられているギルドマスターだ」
自己紹介したギルドマスターに驚く。ヘルトさんが椅子に座るように言ったけど、人扱いされると思っていなかったからだ。
「あの……ご主人様」
「古馴染みだから普通に話していいぞ。自己紹介もそいつら含めやっとけ」
自己紹介を返すべきか悩みヘルトさんに視線を向ければ、後ろに立っているソル達も合わせて紹介するようにあごで示された。
「……エルツです。後ろの子達は、ソルとルナ。魔導人形で僕が所有者です」
「というわけだ。珍しいもん見っけたから報告に来た」
僕自身の自己紹介に合わせて、ソルとルナの事も伝えれば、ヘルトさんが言葉を追加する。
「なっ……ま、魔導人形!? この子供達が!?」
どことなく人をくったような感じの人だったのに、ソル達の正体を聞いてギルドマスターの声が裏返る。相当驚いたようだ。
「いったいどういう事だヘルト!」
「落ち着け落ち着け、説明するって言ってんだろ」
「落ち着いていられるか!」
落ち着きのないギルドマスターとそれを面倒くさそうに扱うヘルトさんに、僕よりずっと大人の人でもこういうじゃれあいするんだな。と思った。
「ヘルト様、お待ちしておりました。奥でギルドマスターがお待ちです」
「ああ、ありがとよ」
ギルドに入ればすぐに受付の職員がヘルト様に気づき、ギルドの奥へと案内する。
奥の部屋へ通されるヘルトさんに、ギルド内に居た冒険者達がざわざわ騒ぎだしたが、気にせず進むヘルトさんの後に僕と双子人形達は続いた。
……二回目のギルドで奥の部屋に入るって不思議な感覚。
最初に訪れた時にあまり良くない扱いを受けたからヘルトさんが連れてきてくれなかったのだ。
ヘルトさんは休息日の日とかに、僕が家事をしている合間に来ていたらしいけど。
そんな事を考えていたらヘルトさんが一つの扉の前で立ち止まる。
「邪魔するぜ」
ヘルトさんは、扉の向こうに声をかけると、返事を待たずに扉を開けた。
「不躾だねぇ……まあ、待ってたよ」
ヘルトさんの体の向こうからギルドマスターだと思われる人の声が聞こえてくる。
「お前らも入れ」
先に入ったヘルトさんが扉を開けたまま待っていてくれたので中に入る。
中に入れば、メガネをかけた……ヘルトさんと同じ年頃の茶髪の男性が居た。
他に人がいないからこの人がギルドマスターらしい。
「おや?奴隷は一人じゃ……いや、その子だけが奴隷なんだね。じゃあ、その子が秘蔵の奴隷君で……こっちの二人は?」
「説明するからじろじろ見んなシャマ。エルツは俺の隣に座れ、ソルとルナはエルツの後ろで待機」
僕や二人を興味深く眺めるギルドマスターをヘルトさんが長椅子に座りながら咎め、僕にも座るように指示する。
「へぇ……本当に奴隷を可愛がっているんだねぇ。奴隷反対の君が」
僕がヘルトさんの隣に座るとギルドマスターがニマニマとした視線をヘルトさんへと向ける。
「同郷のよしみだよ。小さい頃懐かれてて、他のやつに買われるよりはマシだと思ったんだ」
「その割には、とんでもない装備着せてるけどねぇ」
ぶっきらぼうに答えるヘルトさんにギルドマスターは楽しげに笑い、僕と目が合う。
「はじめまして、秘蔵の奴隷君。そして、見知らぬ子供達。私は、シャマ。ここの管理を任せられているギルドマスターだ」
自己紹介したギルドマスターに驚く。ヘルトさんが椅子に座るように言ったけど、人扱いされると思っていなかったからだ。
「あの……ご主人様」
「古馴染みだから普通に話していいぞ。自己紹介もそいつら含めやっとけ」
自己紹介を返すべきか悩みヘルトさんに視線を向ければ、後ろに立っているソル達も合わせて紹介するようにあごで示された。
「……エルツです。後ろの子達は、ソルとルナ。魔導人形で僕が所有者です」
「というわけだ。珍しいもん見っけたから報告に来た」
僕自身の自己紹介に合わせて、ソルとルナの事も伝えれば、ヘルトさんが言葉を追加する。
「なっ……ま、魔導人形!? この子供達が!?」
どことなく人をくったような感じの人だったのに、ソル達の正体を聞いてギルドマスターの声が裏返る。相当驚いたようだ。
「いったいどういう事だヘルト!」
「落ち着け落ち着け、説明するって言ってんだろ」
「落ち着いていられるか!」
落ち着きのないギルドマスターとそれを面倒くさそうに扱うヘルトさんに、僕よりずっと大人の人でもこういうじゃれあいするんだな。と思った。
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