【第一部&番外編・完】故郷の英雄と歩む冒険者生活~家族に売られた僕は憧れの冒険者のものになりました~

海野璃音

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第一部:本編

86:二人の機能

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 ダンジョンを無事に戻りきり、地上に出ると入り口を管理しているギルド職員からヘルトさんに声がかかる。

「ヘルト様。そちらの者達は?」

 僕らがダンジョンに入る時の記録にソルとルナが居なかったから声をかけたのだろう。

「ちょっとな。ギルマスに報告したいから、今から向かうと連絡しておいてくれ」
「はぁ……かしこまりました」

 ヘルトさんが詳細を答えなかった事に首を傾げながらも、冒険者ギルドを管理するギルドマスターに報告すると言われれば、深く問う事もできず、ヘルトさんの言葉に頷いた。

 ギルド職員にこの町のギルド本部へと連絡を入れてもらった後、そのままギルドへ向かう。

「入り口の管理所って通信水晶置いてるんですね」
「スタンピードの時に真っ先に知らせなきゃなんねぇからな。管理されているダンジョンにはほぼ設置されているはずだ」

 確かに離れた所にスタンピードが発生した事を伝えるには、遠くと連絡が取れる通信水晶が必須だろう。

 ダンジョンで発見されるそれは、二つ一組でどれだけ離れていても水晶さえ持っていれば話す事ができる。

 それゆえに価値の高いものだが、発見されるとほとんどがギルドで買い取られるらしい。

 そういうのがあったら便利だなと思っているとはたと考える。

 ……もしかして、ソルとルナも通信水晶のように離れていても話せたりしたりするのかな?

「ソル、ルナ」
「「はい、マスター」」
「二人って遠くに離れてても通信水晶みたく話せたりするの?」
「マスターやヘルト様がわたしどもを通じての会話は不可能です」
「ですが、ぼくとルナの間でしたら思考を共有している部分があるので可能です」

 思考を共有しているのならどおりで二人の連携が上手いわけだ。

「じゃあ、万が一俺とエルツが二手に別れても、片方づつ俺達に着いていてくれれば連絡もできるってわけか」
「「おっしゃる通りです」」

 ヘルトさんの問いに二人が頷く。

 なんというか……本当にすごい子達の主人になっちゃった……。
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