【第一部&番外編・完】故郷の英雄と歩む冒険者生活~家族に売られた僕は憧れの冒険者のものになりました~

海野璃音

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第一部:本編

83:起動完了

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「えっと……おはよう。魔導人形って、喋れるん……だね?」

 なんだかいろいろすごすぎて、なにがなんだかわからなくなってくるけど、気になった疑問を聞いてみる。

「ダンジョンで出現するものに関しては喋る事はできません」
「わたし達は喋れますが、わたし達のように報酬として獲得された魔導人形については、注がれた魔力によります」
「ですが、人に擬態できるまでになるには、とても多くの魔力が必要となります」

 あ、喋れるのは普通ではなかったみたい……。人の姿になるのも……。

「ヘルトさん……どうしましょう?」
「まあ……ギルドに報告だな」

 あまりにも未知すぎる存在にヘルトさんを見上げれば、ヘルトさんも渋い顔をしている。

 人は理解の範囲外のすごすぎる物を見つけると、どんな人でもそんな顔をするのだなと思った。

「あー……とりあえず、エルツはそいつらの名前つけろ。呼び名がないと困る。あと、そのままだとちょっとやべぇから俺は着れそうなもの探すわ」
「あ、すみません……お願いします」

 確かにここまでで人と姿が近いと名前がないと不便だし、裸のままは不味すぎる。

 胸には魔石があるし、柔らかそうな皮膚をしているけど、胸や股間はなにもないから人ではないのはわかる……でも、目のやり場には困るんだよね。

 ヘルトさんが僕を床に座らせ、アイテムバッグの中を確認しようとすると、魔導人形達の声が重なるように尋ねてきた。

「「服を纏えばいいのですか?」」
「え、ああ……そうだね。見てるだけでも心もとないから」
「「わかりました」」

 困惑しながらも頷くと彼らは立ち上がり、それと同時に胸の魔石が輝く。

 そして、瞬く間にその体を僕と同じような見た目のローブで身を包んだ。

「……なんでもありだな」
「……はい」

 呆然とするヘルトさん言葉に僕も同じように頷く。

「「こちらでよろしいでしょうか?」」
「うん……大丈夫。ありがとね」

 視線を合わせようと屈んできた魔導人形の姿があまりにも人と同じだから思わず、子供にするように撫でてしまう。

「あ……ご、ごめんね。不躾に触っちゃって」
「マスターが触れたいので構いません」
「触れていただくだけでも、魔力が伝わるのでぼく達の糧になります」

 触れられる事に抵抗はないのか、そんな言葉が返ってきてホッとした。

「魔力でできた服か……魔力耐性も、物理耐性もすげぇな……っと」

 ヘルトさんがまじまじと魔導人形観察しようとすると、男の子方が袖の中から剣を伸ばしヘルトさんへ突きつけた。

 って!なにしてるの!?
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