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第一部:本編
80:魔導人形
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「これは……」
服を着ていない二体の人形。その姿に僕は、心当たりがあった。
「魔導人形だ」
「やっぱり……」
魔導人形。それは、ダンジョンに出現するモンスターだ。
出現傾向は、このダンジョンと同じく遺跡型だけど、魔導人形の出るダンジョンはここよりも高難易度として扱われるので、探索する冒険者も上級のみに限られていたりする。
それなのに……そんな魔導人形が動かない状態でここにあるのは、普通だったらありえない事だった。
「これは……この魔導人形が、宝物……って、事ですよね?」
「だろうな」
難しい顔をしながら魔導人形を見下ろすヘルトさんに尋ねれば、ヘルトさんは僕の問いを肯定する。
「……一応、過去に魔導人形が宝箱に入っていた記述を何度か見た事がある」
「そうなんですか?」
「こんな中層で見つかったのはこれが初めてだろうけどな」
ヘルトさんは、身を屈めて動かない魔導人形を確認するように持ち上げるが、魔導人形が反応する気配はない。
「おそらく、この隠し部屋は長期間見つかっていなくて中身が育ったんだろう。できたばかりの部屋はちいせぇが……この部屋はでかすぎるだろ?」
確かに部屋に入った時に大きいと感じた。だけど、未発見の期間が長いとここまで大きくなるとは知らなかった。
「ここは、十一層で下の階層への通り道でこんなところまで回ってくるやつもいねぇ。で、隠し部屋を見つけられるやつでも見落とす事はある。これは、大当たり……しかも、特大中の特大なやつだぞ」
魔導人形の片割れを抱えてヘルトさんが笑った。
「でも、どうするんですか?」
「売れば、高いだろうな。一体だけでもお前の装備や俺の装備合わせても……って感じだ」
その言葉にとんでもない物を見つけてしまったと固まる。
あの屋敷がいったい何十個買えるものなのだろうか……。
「未起動の魔導人形は、魔力を流すことで所有者を得る。能力は魔力を流した時の量で決まるし、定期的に魔力をやれば成長もしていく。研究者はいくらでも出すだろうし、特級冒険者でも欲しがるやつはいるだろうな」
なんて言いながらヘルトさんが僕を見てきた。
……嫌な予感がする。
「エルツ。お前、こいつらの主になれ」
魔導人形を抱えたその笑みは、それはそれは楽しそうな顔だった。
服を着ていない二体の人形。その姿に僕は、心当たりがあった。
「魔導人形だ」
「やっぱり……」
魔導人形。それは、ダンジョンに出現するモンスターだ。
出現傾向は、このダンジョンと同じく遺跡型だけど、魔導人形の出るダンジョンはここよりも高難易度として扱われるので、探索する冒険者も上級のみに限られていたりする。
それなのに……そんな魔導人形が動かない状態でここにあるのは、普通だったらありえない事だった。
「これは……この魔導人形が、宝物……って、事ですよね?」
「だろうな」
難しい顔をしながら魔導人形を見下ろすヘルトさんに尋ねれば、ヘルトさんは僕の問いを肯定する。
「……一応、過去に魔導人形が宝箱に入っていた記述を何度か見た事がある」
「そうなんですか?」
「こんな中層で見つかったのはこれが初めてだろうけどな」
ヘルトさんは、身を屈めて動かない魔導人形を確認するように持ち上げるが、魔導人形が反応する気配はない。
「おそらく、この隠し部屋は長期間見つかっていなくて中身が育ったんだろう。できたばかりの部屋はちいせぇが……この部屋はでかすぎるだろ?」
確かに部屋に入った時に大きいと感じた。だけど、未発見の期間が長いとここまで大きくなるとは知らなかった。
「ここは、十一層で下の階層への通り道でこんなところまで回ってくるやつもいねぇ。で、隠し部屋を見つけられるやつでも見落とす事はある。これは、大当たり……しかも、特大中の特大なやつだぞ」
魔導人形の片割れを抱えてヘルトさんが笑った。
「でも、どうするんですか?」
「売れば、高いだろうな。一体だけでもお前の装備や俺の装備合わせても……って感じだ」
その言葉にとんでもない物を見つけてしまったと固まる。
あの屋敷がいったい何十個買えるものなのだろうか……。
「未起動の魔導人形は、魔力を流すことで所有者を得る。能力は魔力を流した時の量で決まるし、定期的に魔力をやれば成長もしていく。研究者はいくらでも出すだろうし、特級冒険者でも欲しがるやつはいるだろうな」
なんて言いながらヘルトさんが僕を見てきた。
……嫌な予感がする。
「エルツ。お前、こいつらの主になれ」
魔導人形を抱えたその笑みは、それはそれは楽しそうな顔だった。
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