【第一部＆番外編・完】故郷の英雄と歩む冒険者生活～家族に売られた僕は憧れの冒険者のものになりました～

第一部：本編

66：恋人歴二週間

　主人と奴隷という立場ではあるけど、ヘルトさんと……お、お付き合い……するようになって、二週間が経った。

　夢かと思うけど、現実だ。

　僕の方は未だに触れあうことにあわあわするけど、ヘルトさんはいつも余裕があるように見える。

　やっぱり年の功……というやつだろうか？

　触れあい自体は、いたって健全なものだ。今までどおり撫でてもらったり、寝る前に抱きしめてもらったり、ひ……額にキスしてもらったりとか……。

　それだけでも、いっぱいいっぱいな自分が情けないけど、ヘルトさんからのスキンシップは嬉しいので、いつしてもらえるか毎日ドキドキしている。

　訓練を頑張った時とか、抱きしめて褒めてくれるけど、汗かいているからそういう時はいつも以上にドキドキする。

　僕が汗臭くないかとか……ヘルトさんの匂いがいつもより濃くて、いけない想像をしてしまうのだ。

　こう……えっちな、事をしている時のような……。

　僕が一人前になるまで性的な接触は無しと言われているけど、僕だって健全な男。性欲というのは少なからずあるのだ。

　処理はさほど必要ないけど……それでも、興奮してしまうのがちょっと申し訳ない。

　それに、気になるのはヘルトさんは大丈夫なのだろうか……？　と、言う事だ。ま、まさか……娼館とか行っているとか……!?

　……ううん、ない。だって、夜出かけている様子もないし……僕が夜中に起きても、ヘルトさんの部屋から起きてる音がすることがあるんだもの。

　不粋だと思うけど……こい、びとの……性事情は気になる。僕の事色っぽいって言ってくれたけど……ヘルトさんは僕を抱けるのだろうか……？

　恋愛事情は聞いたことがないので不安なのだけど……過去の恋人の話とか聞いたら嫉妬してしまいそうな気がして聞けない。

　告白して、想いを受け取ってもらえたから舞い上がっていたけど……男同士って、どうなんだろう？

　僕みたいなのも、性奴隷としての調教を受けるから……冒険者には需要あるのだろうけど……ああ、不安だ……。

　悩んでいても仕方ないとは思うけど、悩んでしまうのが恋愛というものだんだろう。初恋だから、なにもわかったものじゃないんだけどね。

　まあ……そんな感じでお付き合いしているのだけど……師弟関係が解消されるわけでもないので、それ以外は以前のまま。

　訓練も厳しいし、ダンジョンに潜るのもいつも通り。

　ただ、やっぱりというか……それ以外で僕に甘いのもいつも通り。

　それに甘えちゃう僕も……それがいつも通りになってきちゃってるのは、反省すべきかもしれない。

　でも、いろいろ貰う事が減って、スキンシップ増えて幸せだからいいとする。

　だって、触って貰えるのはなんだかんだやっぱり嬉しいんだもの。

　健全なお付き合いだけど、幸せいっぱいの奴隷兼弟子兼恋人生活。

　奴隷なのにこんなに幸せでいいのかと思うけど……ヘルトさんが甘やかしてくれるから良し！

　なんて。そんな浮かれ気分で、今日もヘルトさんの為に料理をするのだった。