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第一部:本編
58:夢
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屋敷に帰って訓練をして、夕食やお風呂を済ませた僕はぐったりとベッドに力尽きていた。
ヘルトさん。加減するって言ったのにいつもよりほんのちょっと訓練内容減らしただけだった……。
例えるなら腕立て伏せ二十回が十五回になったくらい。
四分の一は減ってるけど、これが何種類かあるから、ダンジョンでの運動量も合わせたらやっぱりちょっと多い。
腕がぷるぷるする。それで、夕食も作った僕は、頑張った。ヘルトさんも褒めてくれたのでそれは良かった。
なので、今日は復習する余裕はないので、明日の朝早く起きてやろうと思う。
ヘルトさんには、すでに夜の挨拶を終えて後は寝るだけ。
明かりを消した部屋の中で、うとうとしてたら、ふと昼間に感じた胸の痛みを思い出した。
あれは、なんいうか……緊張したり、ショックを受けたときのような痛みのような気がする。
でも、なんであんな痛みを感じたんだろう?
わからない。
ギルドで嫌な目にあった。羞恥心を感じたし、辱しめを受けたと感じもした。
でも、あんな痛みは感じなかった。
なのに、ヘルトさんが僕に言葉をかけたあの時だけ……チクリとしたのだ。
ヘルトさんは、なんて言ったっけ……。
『――俺は、アイツらみたいな視線でお前を見ることはないし、俺のいる限りは下卑なヤツらからは守ってやる――』
思い出した言葉にまた胸が痛む。
なんで、この言葉で胸が痛むんだろ守ってくれるというのだから、喜んでいいことなのに。
わからない。わからない……。
自分の気持ちがわからないままに、瞼がドンドンと重くなっていく。
寝たら、あの痛みも忘れられるかな……?
そんな事を思いながら瞼を閉じる。
やがて、意識が闇へと溶け眠りにつく。ううん……ついたはずだった。
ぼんやりとした意識の中、甘い快楽を感じる。
それは、商館で調教を受けていた時のものと同じ。
体内から沸き上がる身を焦がすような快楽。
なのに、商館で受けていた時のような嫌悪感はない。
身をよじり、嬌声をあげ、果てたような感覚がする。
それと同時に僕の意識は暗転し、瞼を開くと、いつもと変わらない部屋に朝日が差し込んでいた。
爽やかな朝。そのはずなのに僕は頭を抱える。
夢の中で、僕を抱いていた人のせいだ。
「どうやって、顔合わせたらいいの……」
僕を優しく抱き、愛する人に囁くような言葉を贈るその相手は、誰よりも尊敬していたはずのヘルトさんで……昨日感じた胸の痛みは、僕の事を恋愛対象だと思っていないと知ったゆえの痛みだった。
ヘルトさん。加減するって言ったのにいつもよりほんのちょっと訓練内容減らしただけだった……。
例えるなら腕立て伏せ二十回が十五回になったくらい。
四分の一は減ってるけど、これが何種類かあるから、ダンジョンでの運動量も合わせたらやっぱりちょっと多い。
腕がぷるぷるする。それで、夕食も作った僕は、頑張った。ヘルトさんも褒めてくれたのでそれは良かった。
なので、今日は復習する余裕はないので、明日の朝早く起きてやろうと思う。
ヘルトさんには、すでに夜の挨拶を終えて後は寝るだけ。
明かりを消した部屋の中で、うとうとしてたら、ふと昼間に感じた胸の痛みを思い出した。
あれは、なんいうか……緊張したり、ショックを受けたときのような痛みのような気がする。
でも、なんであんな痛みを感じたんだろう?
わからない。
ギルドで嫌な目にあった。羞恥心を感じたし、辱しめを受けたと感じもした。
でも、あんな痛みは感じなかった。
なのに、ヘルトさんが僕に言葉をかけたあの時だけ……チクリとしたのだ。
ヘルトさんは、なんて言ったっけ……。
『――俺は、アイツらみたいな視線でお前を見ることはないし、俺のいる限りは下卑なヤツらからは守ってやる――』
思い出した言葉にまた胸が痛む。
なんで、この言葉で胸が痛むんだろ守ってくれるというのだから、喜んでいいことなのに。
わからない。わからない……。
自分の気持ちがわからないままに、瞼がドンドンと重くなっていく。
寝たら、あの痛みも忘れられるかな……?
そんな事を思いながら瞼を閉じる。
やがて、意識が闇へと溶け眠りにつく。ううん……ついたはずだった。
ぼんやりとした意識の中、甘い快楽を感じる。
それは、商館で調教を受けていた時のものと同じ。
体内から沸き上がる身を焦がすような快楽。
なのに、商館で受けていた時のような嫌悪感はない。
身をよじり、嬌声をあげ、果てたような感覚がする。
それと同時に僕の意識は暗転し、瞼を開くと、いつもと変わらない部屋に朝日が差し込んでいた。
爽やかな朝。そのはずなのに僕は頭を抱える。
夢の中で、僕を抱いていた人のせいだ。
「どうやって、顔合わせたらいいの……」
僕を優しく抱き、愛する人に囁くような言葉を贈るその相手は、誰よりも尊敬していたはずのヘルトさんで……昨日感じた胸の痛みは、僕の事を恋愛対象だと思っていないと知ったゆえの痛みだった。
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