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第一部:本編
44:知らない部屋
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目覚めると知らない部屋だった。
商館の四人部屋じゃない……。
そんな事を考えていると、横に人の気配を感じてそちらへと視線を向ける。
そこには、見覚えのある赤い髪が見えた。
床に座ってベッドの縁に伏せるように眠っているその人が誰なのかを僕は知っている。
「……ヘルトさん」
ああ、そうだ。僕は、ヘルトさんに引き取られたんだった……。
頭をぶつけたせいか、混乱していた記憶が戻ってくる。一瞬、まだ商館に居るような気がしてた。
ここがヘルトさんの屋敷だということに安心しながらも部屋を見渡す。
……僕の部屋じゃない。
見回した部屋は僕の部屋より家具が多く、少しごちゃついていた。
……ヘルトさんの部屋だ。
そう気づいたのは、何度か部屋を訪ねた時に扉とヘルトさんの体の合間から見えた部屋の中と同じだったからだ。
なぜ、ヘルトさんの部屋にいるかはわからないけど、ヘルトさんが側で突っ伏したまま寝ているのを考えると看病をしてくれていたのだろう。
怪我した所を触ってみると、意識を失う前に言っていた上級ポーションを使ってもらえたのか傷らしい傷はない。
結構切れてたみたいなのに……跡形もないってすごいなぁ。
傷が治っている事に安心したが、ここまで綺麗に治っていると使われた上級ポーションの値段が気になってしまう。
また、ヘルトさんに余計なお金を使わせてしまった……。
申し訳なさに落ち込んでいると、寝ていたヘルトさんが身動ぎし、眠そうに起き上がる。
「……。……! エルツ!? 気づいたのか!」
起き上がってもしばらくぼんやりしていたヘルトさんと視線が合うとヘルトさんは驚いたように声をあげた。
「はい、先ほど……看病して貰ってたみたいでごめんなさい」
「そんな事どうでもいい! 三日も目を覚まさなかったんだ!」
ヘルトさんの言葉にそんなに寝ていたのかという思いと、三日も看病させてしまったという思いが湧く。
「もう目を覚まさないんじゃないかと思った……」
ヘルトさんが僕の手を両手で握る。普段、僕に触れる時は左手だけで触れてくるのに……右手の魔導義手にも触れているのは不思議な気分だ。
「血は出てたがあれくらいなら大丈夫だと思ってたんだが……お前が意識を失った時血の気が引いた。頭を打ったのもあるだろうが……華奢なお前からしたら大きな怪我だった。すまん、あそこであいつらに怒っている場合じゃなかった」
あの時の対応を悔いるように呟くヘルトさんの顔には、ありありと後悔が滲んでいた。
商館の四人部屋じゃない……。
そんな事を考えていると、横に人の気配を感じてそちらへと視線を向ける。
そこには、見覚えのある赤い髪が見えた。
床に座ってベッドの縁に伏せるように眠っているその人が誰なのかを僕は知っている。
「……ヘルトさん」
ああ、そうだ。僕は、ヘルトさんに引き取られたんだった……。
頭をぶつけたせいか、混乱していた記憶が戻ってくる。一瞬、まだ商館に居るような気がしてた。
ここがヘルトさんの屋敷だということに安心しながらも部屋を見渡す。
……僕の部屋じゃない。
見回した部屋は僕の部屋より家具が多く、少しごちゃついていた。
……ヘルトさんの部屋だ。
そう気づいたのは、何度か部屋を訪ねた時に扉とヘルトさんの体の合間から見えた部屋の中と同じだったからだ。
なぜ、ヘルトさんの部屋にいるかはわからないけど、ヘルトさんが側で突っ伏したまま寝ているのを考えると看病をしてくれていたのだろう。
怪我した所を触ってみると、意識を失う前に言っていた上級ポーションを使ってもらえたのか傷らしい傷はない。
結構切れてたみたいなのに……跡形もないってすごいなぁ。
傷が治っている事に安心したが、ここまで綺麗に治っていると使われた上級ポーションの値段が気になってしまう。
また、ヘルトさんに余計なお金を使わせてしまった……。
申し訳なさに落ち込んでいると、寝ていたヘルトさんが身動ぎし、眠そうに起き上がる。
「……。……! エルツ!? 気づいたのか!」
起き上がってもしばらくぼんやりしていたヘルトさんと視線が合うとヘルトさんは驚いたように声をあげた。
「はい、先ほど……看病して貰ってたみたいでごめんなさい」
「そんな事どうでもいい! 三日も目を覚まさなかったんだ!」
ヘルトさんの言葉にそんなに寝ていたのかという思いと、三日も看病させてしまったという思いが湧く。
「もう目を覚まさないんじゃないかと思った……」
ヘルトさんが僕の手を両手で握る。普段、僕に触れる時は左手だけで触れてくるのに……右手の魔導義手にも触れているのは不思議な気分だ。
「血は出てたがあれくらいなら大丈夫だと思ってたんだが……お前が意識を失った時血の気が引いた。頭を打ったのもあるだろうが……華奢なお前からしたら大きな怪我だった。すまん、あそこであいつらに怒っている場合じゃなかった」
あの時の対応を悔いるように呟くヘルトさんの顔には、ありありと後悔が滲んでいた。
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