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第一部:本編
41:朝食
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しばらくヘルトさんの素振りを見ながら休憩した後、先に屋敷に戻って朝食の準備をする。
といっても、昨日の晩御飯と同じく簡単なものなのだが。
昨日の夕食を作る際についでに仕込んでいたパン生地を成形して焼き、その間にスープを作り、肉を焼く。
ざっくりしたメニューは、丸パンと野菜スープにウサギの足の丸焼き……っていったところか。
簡単で申し訳ないけど、素材自体は良いものなのでそれなりに美味しくできているのが救いだ。
パンが焼け、食事を盛りつけているところにヘルトさんが厨房へと入ってくる。
「今日も美味そうな匂いだな」
「簡単ですけど……ヘルトさんが良いものを買ってくれたおかげで美味しく作れてます」
「ははっ、謙遜すんなって。俺が作るよりはずっと美味いんだからよ」
ヘルトさんは、保存庫から水の入った容器を取り出して飲みながら僕の手元を覗き込む。
「うん、やっぱ美味そうだ」
「……ありがとうございます」
手放しで褒めてくれるから気恥ずかしい。もちろん、嬉しいのは間違いないんだけど。
「すぐ持っていきますから、食堂で待っていてください」
「そうか?じゃあ、パンだけ貰っていくわ。食べながら待ってるぜ」
食堂に行くように促せば、ヘルトさんはそんな事を行ってパンの入ったカゴごと持っていってしまう。
……やられた。なんで、あんなにも自然に手伝っちゃうのあの人!
僕の仕事なのに! と、思うけど助かるのは助かる。奴隷としても、弟子としても納得だけができないけど。
料理を盛り付けて、トレイに乗せてから運ぶと隣の食堂ではヘルトさんが、宣言通りパンを食べながら待っていた。一つのパンをチビチビとつまみながらだけど。
食べて待ってるって言った手前、自分の言い分を守るためだけにちょこちょことパンを摘まむヘルトさんに思わず笑ってしまう。
だって、普通に食べたら一口二口で食べれてしまう大きさなんだもん。
「な、なにわらってんだよ」
「いいえ、別に」
くすくす笑ってしまうのは申し訳ないと思うけど、行動が面白すぎて駄目だ。
かっこよくてすごい人なのに、可愛いところもあるのはズルいと思う。
だけど、そんな姿を見て……たぶん、これからも僕はこの人にはかなわないんだろうなと思った。
「食べましょうか」
「そうだな」
ひとしきり笑ってそう告げると、ヘルトさんも笑って頷いてくれる。
普通に……普通に人として過ごせるこの空間がどれだけありがたいことか。
そんな事を感じながら、僕は料理を美味しいと褒めてくれるヘルトさんへ笑みを返したのだった。
といっても、昨日の晩御飯と同じく簡単なものなのだが。
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簡単で申し訳ないけど、素材自体は良いものなのでそれなりに美味しくできているのが救いだ。
パンが焼け、食事を盛りつけているところにヘルトさんが厨房へと入ってくる。
「今日も美味そうな匂いだな」
「簡単ですけど……ヘルトさんが良いものを買ってくれたおかげで美味しく作れてます」
「ははっ、謙遜すんなって。俺が作るよりはずっと美味いんだからよ」
ヘルトさんは、保存庫から水の入った容器を取り出して飲みながら僕の手元を覗き込む。
「うん、やっぱ美味そうだ」
「……ありがとうございます」
手放しで褒めてくれるから気恥ずかしい。もちろん、嬉しいのは間違いないんだけど。
「すぐ持っていきますから、食堂で待っていてください」
「そうか?じゃあ、パンだけ貰っていくわ。食べながら待ってるぜ」
食堂に行くように促せば、ヘルトさんはそんな事を行ってパンの入ったカゴごと持っていってしまう。
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僕の仕事なのに! と、思うけど助かるのは助かる。奴隷としても、弟子としても納得だけができないけど。
料理を盛り付けて、トレイに乗せてから運ぶと隣の食堂ではヘルトさんが、宣言通りパンを食べながら待っていた。一つのパンをチビチビとつまみながらだけど。
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「食べましょうか」
「そうだな」
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