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第一部:本編
27:仕立屋
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ヘルトさんの行動に気をつけながら、なんとかたどり着いた仕立屋。……仕立屋? 古着屋じゃなく⁉
驚く僕を他所に仕立屋に入るヘルトさん。止める隙なんてあるわけがなかった。
「いらっしゃいませ」
「店主、こいつに服を見繕ってくれ」
「……奴隷に、で……ございますか?いえ、申し訳ございません。すぐにご用意いたします」
ヘルトさんを迎えた仕立屋の主人は、僕を指さされた事を驚きながらも仕事人としての仮面を被り、僕の体をメジャーで測定し始める。
「それで、旦那様。どのようなものをお望みでしょうか」
「既製品で構わないから動きやすい普段着を上下五着ほどと……ダンジョンにも連れていくから防具の下に着れる丈夫なものも上下五着」
「かしこまりました」
上下で十着も買うの⁉
僕をよそに進んでいく会話に焦る。
でも、屋敷の中じゃないから僕がヘルトさんの決定に口を出すのも仕立屋の主人に変に思われるから何も言えない!
測定が終わり、仕立屋の主人がいくつかの服を見繕う。
「この中であれば、どのようなデザインがお好みでしょうか?」
「肌の露出が多いのは好まん。これか、ここくらいがちょうどいい」
見繕われた服の中から露出の多いものをヘルトさんが除外し、そこからまた残されたものに合わせて仕立屋の主人が新しい服を並べた。
「いかがでしょう?」
「普段着はそれで問題ない。ああ、そうだ。下着も上下で十くらい用意してくれ」
「かしこまりました」
どんどん買うものが増えていく。下着は必要だけど、十着もいる?実家でも商館でも二着を使いまわししてたのに⁉
次から次へと仕立屋の主人に言いつけていくヘルトさんが怖い。これが、お金持ちの買い物……。
「ダンジョン用の物もこれでいい。いくらだ?」
「全てで大銀貨四枚です」
「釣りはいらん。対応が気にいった。今度は、仕立てにくる」
告げられた金額にヘルトさんは、お金の入った小袋から金貨を一枚取り出して仕立屋の主人へと渡した。
金貨は大銀貨十枚分の価値だから、二倍以上の金額を払っている事になる。それに加えて、次の来店も匂わせているあたり、仕立屋の主人からしたら上客も上客だろう。
僕は、その買いっぷりに気が遠くなってきているが。
「あ、ありがとうございます!」
「買ったものは、夕方頃にここへ配達してくれ」
「かしこまりました」
深々と頭を下げる仕立屋の主人にヘルトさんは、配達を申しつけて僕を店の外へと連れ出した。
服を買うだけでこれ……。僕、ヘルトさんの買い物に耐えられるかな……。
自分自身が金額を聞かれる事もなく、いくら入っているかわからない革袋のお金で買われた事を棚に上げながら、そんな事を思った。
驚く僕を他所に仕立屋に入るヘルトさん。止める隙なんてあるわけがなかった。
「いらっしゃいませ」
「店主、こいつに服を見繕ってくれ」
「……奴隷に、で……ございますか?いえ、申し訳ございません。すぐにご用意いたします」
ヘルトさんを迎えた仕立屋の主人は、僕を指さされた事を驚きながらも仕事人としての仮面を被り、僕の体をメジャーで測定し始める。
「それで、旦那様。どのようなものをお望みでしょうか」
「既製品で構わないから動きやすい普段着を上下五着ほどと……ダンジョンにも連れていくから防具の下に着れる丈夫なものも上下五着」
「かしこまりました」
上下で十着も買うの⁉
僕をよそに進んでいく会話に焦る。
でも、屋敷の中じゃないから僕がヘルトさんの決定に口を出すのも仕立屋の主人に変に思われるから何も言えない!
測定が終わり、仕立屋の主人がいくつかの服を見繕う。
「この中であれば、どのようなデザインがお好みでしょうか?」
「肌の露出が多いのは好まん。これか、ここくらいがちょうどいい」
見繕われた服の中から露出の多いものをヘルトさんが除外し、そこからまた残されたものに合わせて仕立屋の主人が新しい服を並べた。
「いかがでしょう?」
「普段着はそれで問題ない。ああ、そうだ。下着も上下で十くらい用意してくれ」
「かしこまりました」
どんどん買うものが増えていく。下着は必要だけど、十着もいる?実家でも商館でも二着を使いまわししてたのに⁉
次から次へと仕立屋の主人に言いつけていくヘルトさんが怖い。これが、お金持ちの買い物……。
「ダンジョン用の物もこれでいい。いくらだ?」
「全てで大銀貨四枚です」
「釣りはいらん。対応が気にいった。今度は、仕立てにくる」
告げられた金額にヘルトさんは、お金の入った小袋から金貨を一枚取り出して仕立屋の主人へと渡した。
金貨は大銀貨十枚分の価値だから、二倍以上の金額を払っている事になる。それに加えて、次の来店も匂わせているあたり、仕立屋の主人からしたら上客も上客だろう。
僕は、その買いっぷりに気が遠くなってきているが。
「あ、ありがとうございます!」
「買ったものは、夕方頃にここへ配達してくれ」
「かしこまりました」
深々と頭を下げる仕立屋の主人にヘルトさんは、配達を申しつけて僕を店の外へと連れ出した。
服を買うだけでこれ……。僕、ヘルトさんの買い物に耐えられるかな……。
自分自身が金額を聞かれる事もなく、いくら入っているかわからない革袋のお金で買われた事を棚に上げながら、そんな事を思った。
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