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第一部:本編
18:部屋
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「っと、部屋の案内だったな。悪い悪い。こっちだ」
ハッと思い出したようにヘルトさんが立ち上がったので、僕もそれに続く。
大きな屋敷は、二階建てで広い。
「一階は、玄関ホールにさっきの客間。そっちに厨房と食堂。あっちに風呂。で、夜会用のホール。二階は、階段から右側が家人用、左側が客室になってる。地下もあるけど、そっちは使用人用と倉庫だな。階段は玄関ホールのもの以外に屋敷の左右にある」
ざっくりと聞いただけでもこんな感じだ。広い。あまりに広い。
実家の家とは、本当に比べ物にならない。
これを一人で住んでいるヘルトさんがすごい。
家の広さにのぼせそうな僕をよそに先導するヘルトさんは、二階へと足を向ける。
「へ、ヘルトさん!な、なんで二階に!?」
二階は、家人の部屋と客室と言っていた。僕の部屋は、使用人用とかでいいのに。ううん、使用人用でも贅沢すぎる。
「なんでって……空いてんだから良い部屋使わせてやりたいだろ。弟子なんだから」
さも、当然のように話すヘルトさん。本当に僕を身分関係なく弟子として扱うらしい。
部屋も、待遇も。
「さ、こっちだ」
当たり前のように振る舞うヘルトさんに何もいえなくなって大人しくアトを着いていく。
案内されたのは、家人用のエリア。部屋数は、廊下の右側……屋敷の正面側に四つ。廊下の左側……屋敷の裏手側に三つあった。
「俺の部屋は、ここだ。それ以外の部屋ならどこ使ってもいいぞ」
ヘルトさんは、右側で一番手前の扉を叩く。
「そっち側じゃないんですか?」
扉の数的にも、間隔的にも、左側の方が屋敷の主人の部屋のような気がして、思わず尋ねてしまう。
「広い部屋は、落ち着かなくてな……いや、今の部屋も十分広いんだが」
苦笑するヘルトさんに、ヘルトさんが広いと感じるなら、僕には不相応に広いと思う……。
「広い部屋が良いなら、気にせず使っていいぞ。こっち使うか?」
「いえっ!大丈夫です!」
ヘルトさんは自分の部屋の正面の部屋を指差すが、慌てて首を振る。ヘルトさんの部屋より広いところに住むわけにはいかない。
「えっと、ヘルトさんの隣の部屋で……いいです」
隣の部屋というのもおこがましいが、おそらく使用人用の部屋の使用許可は降りないだろうからこの辺りが妥協点だと思う。
「じゃあ、そっちがエルツの部屋な。最低限の家具は備え付けられているから確認してくれ」
「はい」
ヘルトさんの言葉に頷いて、自分の選んだ部屋の扉を開ける。
そして、その広さと清潔さ、豪華さに言葉を失った。
「っ……!?」
思わず漏れた声。
部屋の広さは、実家の家と同じくらいはありそうだ。
あの家は、台所に両親の部屋と兄夫婦の部屋、元物置の僕の部屋くらいしかなかった。
どの部屋もベッドを置いたら狭いくらいの小さな家だったけど……だからこそ、この部屋がすごく広く思えた。
ハッと思い出したようにヘルトさんが立ち上がったので、僕もそれに続く。
大きな屋敷は、二階建てで広い。
「一階は、玄関ホールにさっきの客間。そっちに厨房と食堂。あっちに風呂。で、夜会用のホール。二階は、階段から右側が家人用、左側が客室になってる。地下もあるけど、そっちは使用人用と倉庫だな。階段は玄関ホールのもの以外に屋敷の左右にある」
ざっくりと聞いただけでもこんな感じだ。広い。あまりに広い。
実家の家とは、本当に比べ物にならない。
これを一人で住んでいるヘルトさんがすごい。
家の広さにのぼせそうな僕をよそに先導するヘルトさんは、二階へと足を向ける。
「へ、ヘルトさん!な、なんで二階に!?」
二階は、家人の部屋と客室と言っていた。僕の部屋は、使用人用とかでいいのに。ううん、使用人用でも贅沢すぎる。
「なんでって……空いてんだから良い部屋使わせてやりたいだろ。弟子なんだから」
さも、当然のように話すヘルトさん。本当に僕を身分関係なく弟子として扱うらしい。
部屋も、待遇も。
「さ、こっちだ」
当たり前のように振る舞うヘルトさんに何もいえなくなって大人しくアトを着いていく。
案内されたのは、家人用のエリア。部屋数は、廊下の右側……屋敷の正面側に四つ。廊下の左側……屋敷の裏手側に三つあった。
「俺の部屋は、ここだ。それ以外の部屋ならどこ使ってもいいぞ」
ヘルトさんは、右側で一番手前の扉を叩く。
「そっち側じゃないんですか?」
扉の数的にも、間隔的にも、左側の方が屋敷の主人の部屋のような気がして、思わず尋ねてしまう。
「広い部屋は、落ち着かなくてな……いや、今の部屋も十分広いんだが」
苦笑するヘルトさんに、ヘルトさんが広いと感じるなら、僕には不相応に広いと思う……。
「広い部屋が良いなら、気にせず使っていいぞ。こっち使うか?」
「いえっ!大丈夫です!」
ヘルトさんは自分の部屋の正面の部屋を指差すが、慌てて首を振る。ヘルトさんの部屋より広いところに住むわけにはいかない。
「えっと、ヘルトさんの隣の部屋で……いいです」
隣の部屋というのもおこがましいが、おそらく使用人用の部屋の使用許可は降りないだろうからこの辺りが妥協点だと思う。
「じゃあ、そっちがエルツの部屋な。最低限の家具は備え付けられているから確認してくれ」
「はい」
ヘルトさんの言葉に頷いて、自分の選んだ部屋の扉を開ける。
そして、その広さと清潔さ、豪華さに言葉を失った。
「っ……!?」
思わず漏れた声。
部屋の広さは、実家の家と同じくらいはありそうだ。
あの家は、台所に両親の部屋と兄夫婦の部屋、元物置の僕の部屋くらいしかなかった。
どの部屋もベッドを置いたら狭いくらいの小さな家だったけど……だからこそ、この部屋がすごく広く思えた。
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