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第一部:本編
13:後悔
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「っ……ひっぅ……ひっ……」
奴隷になった時点で、全部諦めたと思っていた。思っていたけど……。
自分自身で動かなかったから……自分の手で捨てていただけなのだと思うと、ダメだった。
ボロボロと溢れる涙を拭っても拭っても涙が止まることはない。
「エルツ……」
泣き出した僕にヘルトさんが僕を呼ぶ。だけど、顔をあげる事はできなかった。
正面から、長椅子の軋む音がして……絨毯を踏みしめる音が聞こえる。
怒らせてしまったのだろう。突然、泣き出す奴隷なんて不良品も良いところだから。
「ひっ……っ……」
泣き止まないと……そう思っていたら、僕の座る長椅子が軋んで……抱き締められた。
「っ……!」
僕の頭を撫でるように抱き寄せた手は、優しい。
怒ってもおかしくないのに……ヘルトさんは、何も言わず、ただただ僕を抱き締めてくれた。
「ひっ……ひっぅ……っく……」
その優しさに、温もりに、また涙が溢れてくる。
駄目だと思うのに……その鍛えられたたくましい体にすがりついてしまった。
泣いて、泣いて、泣いて、泣いて。
何度もしゃくりあげ、喉も枯れた頃。ようやくほんの少しだけ落ち着いた。
「っ……う……も、申し訳……ありません……」
まだ、滲む涙を拭いながら、ヘルトさんから離れる。
「二人に、着いていったら……自分だけ、でも……冒険者を諦めなかったら……って、思ったら……後悔、しか……浮かばなくて……」
泣いている言い訳なんてしなければ良いのに。ヘルトさんの優しさに甘えるように言葉がこぼれていく。
「今の、僕じゃ……どうしようも、ない……のに……今さら……今さら……」
「今からでも遅くはない」
その言葉に、僕は泣き腫らした目でヘルトさんを見上げた。
「で、でも……奴隷じゃ……」
「確かに、奴隷じゃ冒険者にはなれない」
僕の言葉にヘルトさんが頷く。
「だが、隷属魔法を解除すれば……奴隷身分から解放されれば今からでも遅くない」
「隷属魔法の……解除……?」
隷属魔法は、一生ものだと聞いている。それなのに……解除?
「隷属魔法は、呪いの一種だ。解除には、ダンジョン産の解呪薬が必要だが不可能じゃない」
そんなものが……?
「ヘルト、さん……は、お持ち……なんです、か……?」
「……いや、滅多に手に入るものじゃねぇから今は手持ちに無い」
そうか。そうだよね。そんな都合よく持ってるはず無いよね……。
それに、滅多に手に入らないのなら、値段も高いはずだ。僕なんかに使っていいはずのものじゃない。
「だから、取りに行く」
「……へっ?」
予想していなかった言葉に目を見開いた。
「そ……そんな……ヘルトさんに、迷惑を……かける、わけには……」
「気にしなくていい。ダンジョンに潜るのは仕事の一つだし……俺にも潜る理由がある」
そう言って、ヘルトさんは右腕に付けたガントレットのベルトを外し始める。
「っ……!?」
ベルトが外れ、ガントレットがヘルトさんの右腕から外されると……その肩から拳一つ分ほどの腕を残して、その先が無かった。
奴隷になった時点で、全部諦めたと思っていた。思っていたけど……。
自分自身で動かなかったから……自分の手で捨てていただけなのだと思うと、ダメだった。
ボロボロと溢れる涙を拭っても拭っても涙が止まることはない。
「エルツ……」
泣き出した僕にヘルトさんが僕を呼ぶ。だけど、顔をあげる事はできなかった。
正面から、長椅子の軋む音がして……絨毯を踏みしめる音が聞こえる。
怒らせてしまったのだろう。突然、泣き出す奴隷なんて不良品も良いところだから。
「ひっ……っ……」
泣き止まないと……そう思っていたら、僕の座る長椅子が軋んで……抱き締められた。
「っ……!」
僕の頭を撫でるように抱き寄せた手は、優しい。
怒ってもおかしくないのに……ヘルトさんは、何も言わず、ただただ僕を抱き締めてくれた。
「ひっ……ひっぅ……っく……」
その優しさに、温もりに、また涙が溢れてくる。
駄目だと思うのに……その鍛えられたたくましい体にすがりついてしまった。
泣いて、泣いて、泣いて、泣いて。
何度もしゃくりあげ、喉も枯れた頃。ようやくほんの少しだけ落ち着いた。
「っ……う……も、申し訳……ありません……」
まだ、滲む涙を拭いながら、ヘルトさんから離れる。
「二人に、着いていったら……自分だけ、でも……冒険者を諦めなかったら……って、思ったら……後悔、しか……浮かばなくて……」
泣いている言い訳なんてしなければ良いのに。ヘルトさんの優しさに甘えるように言葉がこぼれていく。
「今の、僕じゃ……どうしようも、ない……のに……今さら……今さら……」
「今からでも遅くはない」
その言葉に、僕は泣き腫らした目でヘルトさんを見上げた。
「で、でも……奴隷じゃ……」
「確かに、奴隷じゃ冒険者にはなれない」
僕の言葉にヘルトさんが頷く。
「だが、隷属魔法を解除すれば……奴隷身分から解放されれば今からでも遅くない」
「隷属魔法の……解除……?」
隷属魔法は、一生ものだと聞いている。それなのに……解除?
「隷属魔法は、呪いの一種だ。解除には、ダンジョン産の解呪薬が必要だが不可能じゃない」
そんなものが……?
「ヘルト、さん……は、お持ち……なんです、か……?」
「……いや、滅多に手に入るものじゃねぇから今は手持ちに無い」
そうか。そうだよね。そんな都合よく持ってるはず無いよね……。
それに、滅多に手に入らないのなら、値段も高いはずだ。僕なんかに使っていいはずのものじゃない。
「だから、取りに行く」
「……へっ?」
予想していなかった言葉に目を見開いた。
「そ……そんな……ヘルトさんに、迷惑を……かける、わけには……」
「気にしなくていい。ダンジョンに潜るのは仕事の一つだし……俺にも潜る理由がある」
そう言って、ヘルトさんは右腕に付けたガントレットのベルトを外し始める。
「っ……!?」
ベルトが外れ、ガントレットがヘルトさんの右腕から外されると……その肩から拳一つ分ほどの腕を残して、その先が無かった。
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