【完結】イケ好かないライバルに助けられたと思ったら……。

海野璃音

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7.ねだり、媚びる[R18:ハインツ×シモン]

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「こんなものか」
「ぁ……」

 ハインツの言葉に長く続いた洗浄が終わった事を悟り、湯船の縁に突っ伏すように脱力する。

 だが、何度も注がれ、空になった中は、満たされていない事を不満げに疼く。

 中を満たしていたモノがなくなったのなら代わりのモノで埋めればいいとでも言いたげに。

「は、い……んつ……」
「あとは、薬浴をしたら終わりだ。本当は、流すだけじゃなく洗いたいんだが……今のお前には酷だろう」

 俺を気づかう言葉に違和感を感じるも、そこに偽りはないように思える。

 本当に、なにを考えているかわからなかった。

「だが……おまえ一人で入るのも難しいか。少し待て」

 支えていた俺の体を湯船にもたれかからせるように座らせ、ハインツは服を脱ぎ始める。

 普段ならなんで脱ぐんだ! と、でも言いたいが、今の俺が一人で湯船に使っても溺れるだけだろう。

 ハインツの行動は理解しがたいが……納得できるものだった。

 分厚い布地のローブを何枚も脱いでいくハインツ。

 着ぶくれて、中の体はそこまでだろうと思っていたが、一度は剣でも負けた相手。

 俺も剣士として肉体だけは自慢だったが……ハインツの体は均等がとれ、彫刻のような肉体美を完成させていた。

 正直、悔しさしかわかない。

 俺より一回り細くともその筋肉だったら、俺を抱え上げた時の力も強化魔法無しの自前だろう。

 これで、イチモツが貧相だったら笑いもんだが、それすら立派なもんだときている。

 ……おそらく俺よりデカイ。俺だって小さくはないのにだ。

 神様ってヤツは、どれだけコイツを贔屓すれば気が済むんだ。不公平すぎるだろう。

「待たせたな」

 服を脱ぎ、均等の取れた肉体美を惜しげもなく晒したハインツが薬浴の準備も終えて俺の体を抱える。

「んんっ……」

 ハインツの肌に触れるだけで感じてしまう。

 触手とは違う柔らかな皮膚。その下に感じる薄い脂肪や鍛えられた筋肉は、敏感になった俺からしたらなだらかなビロードの寝具のようにも思えた。

 なんというか、安定感が違う。

 不安定な宙吊りのまま捉えられていたからか、僅かに残った意地もなくなったからか、俺を包み込むその腕が……俺より一回りも細い腕なのに……何よりもたくましく思えた。

「まず、お前を先に下ろす」
「あ、ぁ……」

 お湯に浸かった時の快楽で暴れるなという事でだろうか。

 淡々と告げるハインツの真意はわからないままに頷く。

 まあ、まだまともに動けないから暴れるも何もないんだが……。

「っ、あ……あぁあっ! あぁっ!」

 ゆっくりと下ろされた先。温かな薬湯に満ちた湯船に浸かった体は、体を包み込むその温かさに快感を感じて震えた。

 流れるお湯とは違う留まるお湯に包み込まれる感覚は、なにかに全身を飲み込まれるような快楽と錯覚する。

「あぁあああっ!」

 なんとか堪えようと思っていたが俺の意思とは裏腹に絶頂する体。

 早々に薬湯を汚してしまった事を後悔するも俺を湯船に降ろしたハインツは、気にする様子もなく俺の隣に座り……俺を抱え込むように抱き抱えた。

「は、はいんつ……! なんで、汚れ……る……っ!」
「想定内だ。お前の精液程度で薬湯の効果に影響はでない。気になるなら後で流してやる」

 普段通りに答えるハインツにそうじゃない。そうじゃない。と、言いたいが……背中に感じるハインツの肌や温かな薬湯に思考が乱れてくる。

「ぁ……くぅ……!」

 擦り傷に染みる薬湯が快楽に変わり、背中に触れる肌越しに伝わるハインツの鼓動がハインツに抱き締められている事を自覚させたからだ。

 心地のよい快楽。ハインツの肌に触れているという緊迫感。

 なんで、こんな事になってるんだ?

 納得はしている。でも、理解したくない。そんな狭間でぐるぐるとしていたら、後ろからハインツに囁かれた。

「シモン」
「っあ……! あぁあっ!」

 いつもより柔らかく聞こえる声。ただそれだけで。柔らかく耳を擽る声だけで俺は、絶頂した。

「……シモン?」
「っあ、あっ……!」

 囁かれる度に気持ちよくて、だんだんと頭がふわふわしてくる。

 それと同時に穏やかな快楽ばかりに浸っていた体が、物足りないと疼き始めた。

「あっ、あっ! はいん、つ……! あぁあっ!」
「……辛いか?」

 ねだるようにハインツを呼んだ俺に、ハインツが尋ねてくる。

 辛い。辛い。辛い。辛い。

 穏やかな快楽だけでは、足りない。

 もっと、深く激しい快楽がほしい……っ! 

「つらっ……! たりないっ……! はいんつ……! はいんつぅ……!」

 きっと、自分で動けていたら自分で慰めていただろう。

 それほどまでに一度火のついた体は、快楽に餓えていた。

「……わかった。お前が求めるなら触れよう。治療の範囲でな」
「っ、あ……! あっ! あぁっ!」

 ハインツの腕が優しく俺の肌を撫でる。

 だけど、ハインツの長い指先の先は、少し厚くなだらかながらも擦れる感覚を強く感じてしまった。

「あぁあああっ!」

 さらり、さらり。とした感覚と、ちゃぷり、ちゃぷり。とした水音にハインツが俺を慰めているという事実を実感する。

「っ、あぁ……あぁあーーーーーっ!」

 するりと滑った指先が俺の乳首を擦り、そこだけで絶頂する。

 触手に嬲られ、果汁と薬湯の染みた乳首は俺の思っている以上に熟し、快楽を待ち望んでいた。

「あぁあっ! あっ! はいん、つ! そこっ……! っんんんーーーーー!」

 指で乳首を摘ままれ、視界の端に星が飛んだ気がする。

「ぁ゛っ! き、きもちいいっ! あっ! あ゛ぁ゛ーーーーーっ!」

 摘ままれ、緩く捻るように動かされるともうダメだった。

 意識がそちらだけに向いて。頭が真っ白になって。

「ぁ゛……あ゛ぁ゛……」

 絶頂から降りてきたのにまだイっている様な感覚で、体がビクビクと震える。

 俺の意識が飛んでいる間にハインツは、指の動きを変え、指先でくにくにと動かすように俺の乳首を慰めていた。

「少しは、落ち着いたか?」
「……ぁ」

 気を使うような言葉。

 だけど疼いたのは、腹の奥。

「はいんつ……ぁ……なか……たりない……つらい……つらいっ……」

 疼く腹に堪えられずにねだる。

 ここにいるのは、もうただの雌で……苗床なのだと。自ら宣言した様なものだった。
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