6 / 23
本編
6:天蓋付きベッドでの目覚め
しおりを挟む
起きたらなんだか豪華なベッドだった。
天蓋付きベッドって初めて。
しかも今、体を包むシーツの手触りは滑らかで、たぶんシルクとかそんなの。
上にかけられた掛け布団も滑らかなのでカバーシーツがシルクかもしれない。
だから、たぶんこのふかふかの枕の枕カバーもシルク的なものだと思う。首にあたる生地がつやつやだから。
一式シルク。天蓋といい、めっちゃ豪華。
召喚された最初の頃の王宮の部屋もダブルベッドサイズではあったけど……今考えると、シンプルなベッドだったんだな。
シーツとかも、地球で使っていたものと変わらなかった感じがしたし。
王宮の装飾にはシルクっぽいなにかがぶら下がってたから、たぶん俺の使うものの質がケチられてた。
俺、勇者なのに。勇者なのに。
そして、旅中はいわずもがな。中世風ファンタジー世界の宿屋の質はお察しレベルだったのだ。
最高級品質のベッドにこのまま二度寝をキメたい……と、思ってたところで扉の開く音がする。
「なんじゃ、起きておったのか」
体を起こせば、メディが魔王を連れて扉の向こうに立っていた。
というか魔王デカイ。
座って抱えられてた時もたくましいと思ったけど、俺と変わらない身長のメディより頭二つ分くらいデカイ。
でも、その大きさもかっこいい……。
禍々しい雰囲気の玉座の間とは違い、明るい場所で見る魔王は新鮮だ。
触手で編みこまれた体は、理科の教科書で見た人体解剖図を黒い風船で作ったかのような雰囲気を放っている。
生物的でありながらもどことなく無機質な体は、機械的にも見えて男の子心をくすぐる様な姿だった。
「突然、気絶するから心配したぞ」
魔王にうっとりしてたら、メディから心配される言葉をかけられる。
まあ、突然気絶したから心配されるのは当たり前か。
「それは、その……魔王の過剰供給で……」
気絶した理由を素直に告げる。ついでに膝の上で抱き抱えられていた時の濃厚な接触を思い出して照れてしまう。
「乙女かお主は」
「かもしれない……」
自覚はある。だって、好きだもん。
「重症じゃのう」
呆れた様な楽しむ様なメディの声。彼女の性格的には、呆れ二割、面白さ八割くらいだと思う。
彼女が俺に見せていた性格が本性だとしたら……だけど。
魔王は、彼女を魔女と言ったし、彼女は魔王の命に従った。
仲間だと思っていたメディは、魔族で敵だったのである。
「……メディって、魔族だったんだな」
「さよう。魔王の養母としては、我が子を倒す為に召喚された勇者を一目見ておきたくてな。……なぜだか、仲間になっておったのだがのう……」
酒場で出会って意気投合したメディ。二人でアルコールサイコー! とかやってたら、仲間になってた。
だって、カルラもアンヌも酒嫌いだったから飲み友が欲しかったんだよ。
……って、養母?
メディが……魔王の?
「お、お義母様……」
「妾は、まだ認めておらぬぞ! ……と、でも言えば満足か?」
俺、渾身のボケにメディはニヤリと笑う。
あ、メディはメディだわ。
グラマラス美女なのにどこかノリのいいメディに、騙し打つつもりでパーティーに入った訳じゃ無さそうだと、どこか安心した。
天蓋付きベッドって初めて。
しかも今、体を包むシーツの手触りは滑らかで、たぶんシルクとかそんなの。
上にかけられた掛け布団も滑らかなのでカバーシーツがシルクかもしれない。
だから、たぶんこのふかふかの枕の枕カバーもシルク的なものだと思う。首にあたる生地がつやつやだから。
一式シルク。天蓋といい、めっちゃ豪華。
召喚された最初の頃の王宮の部屋もダブルベッドサイズではあったけど……今考えると、シンプルなベッドだったんだな。
シーツとかも、地球で使っていたものと変わらなかった感じがしたし。
王宮の装飾にはシルクっぽいなにかがぶら下がってたから、たぶん俺の使うものの質がケチられてた。
俺、勇者なのに。勇者なのに。
そして、旅中はいわずもがな。中世風ファンタジー世界の宿屋の質はお察しレベルだったのだ。
最高級品質のベッドにこのまま二度寝をキメたい……と、思ってたところで扉の開く音がする。
「なんじゃ、起きておったのか」
体を起こせば、メディが魔王を連れて扉の向こうに立っていた。
というか魔王デカイ。
座って抱えられてた時もたくましいと思ったけど、俺と変わらない身長のメディより頭二つ分くらいデカイ。
でも、その大きさもかっこいい……。
禍々しい雰囲気の玉座の間とは違い、明るい場所で見る魔王は新鮮だ。
触手で編みこまれた体は、理科の教科書で見た人体解剖図を黒い風船で作ったかのような雰囲気を放っている。
生物的でありながらもどことなく無機質な体は、機械的にも見えて男の子心をくすぐる様な姿だった。
「突然、気絶するから心配したぞ」
魔王にうっとりしてたら、メディから心配される言葉をかけられる。
まあ、突然気絶したから心配されるのは当たり前か。
「それは、その……魔王の過剰供給で……」
気絶した理由を素直に告げる。ついでに膝の上で抱き抱えられていた時の濃厚な接触を思い出して照れてしまう。
「乙女かお主は」
「かもしれない……」
自覚はある。だって、好きだもん。
「重症じゃのう」
呆れた様な楽しむ様なメディの声。彼女の性格的には、呆れ二割、面白さ八割くらいだと思う。
彼女が俺に見せていた性格が本性だとしたら……だけど。
魔王は、彼女を魔女と言ったし、彼女は魔王の命に従った。
仲間だと思っていたメディは、魔族で敵だったのである。
「……メディって、魔族だったんだな」
「さよう。魔王の養母としては、我が子を倒す為に召喚された勇者を一目見ておきたくてな。……なぜだか、仲間になっておったのだがのう……」
酒場で出会って意気投合したメディ。二人でアルコールサイコー! とかやってたら、仲間になってた。
だって、カルラもアンヌも酒嫌いだったから飲み友が欲しかったんだよ。
……って、養母?
メディが……魔王の?
「お、お義母様……」
「妾は、まだ認めておらぬぞ! ……と、でも言えば満足か?」
俺、渾身のボケにメディはニヤリと笑う。
あ、メディはメディだわ。
グラマラス美女なのにどこかノリのいいメディに、騙し打つつもりでパーティーに入った訳じゃ無さそうだと、どこか安心した。
0
お気に入りに追加
252
あなたにおすすめの小説
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる