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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
68:はしゃぐ子と眠い子
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「それで、すごくて! エクスが連続でズババ! って、斬りかかってるのに、テオドーロは、カンカンカン! って、防いで! 最後にズバーーーーーって!」
さっきまで眠そうだったのに興奮しながら話し続けるティグレに相づちを打ちながら、シュロムは笑みを浮かべている。
「なるほど、エクスの連撃を防いで一撃で決めたテオドーロが凄かったと……経験を積んだ者同士の鍛練を見るのも、いい経験になる。良いものが見れたな」
「はい!」
頷くティグレにシュロムは、その頭を撫でた。
「さて、まだ話を聞きたいところだが……ここで話すのもなんだ。寝室で眠りにつくまでゆっくりと聞かせてもらおうか。眠そうなアグノスをそのままにするのも可哀想だ」
「あっ! そ、そうですね!」
興奮したままのティグレにシュロムが柔らかく笑みを浮かべて告げると、ティグレも眠りに行くところだったのを思い出したのか、ハッ! とした表情でこちらを振り向いた。
僕の抱えたアグノスは、すでに船を漕ぎながらもなんとか起きている状態で、それを見たティグレが焦り始める。
「うわっ!? アグノス、ディロス、ごめん!?」
「ふふっ、大丈夫だよ。さ、寝室に行こう」
慌てて僕の側に駆け寄ってきたティグレに微笑みかけてから視線をシュロムに向け、問いかける。
「シュロムは、着替えてから来るよね?」
「ああ」
かっちりとした軍服の様な礼装状態でベッドに入るわけには、いかないと言うようにシュロムが頷いた。
「だって、ティグレ。……あ、そうだ。シュロムが帰って来たけど、イデアルはそのまま部屋で寝る?一緒に寝なくてもいい?」
「はい、大丈夫です」
シュロムが帰って来たから、一緒に寝たいかもしれないと思い隣にいるイデアルに訪ねるも、笑みを浮かべて頷かれてしまった。
元々、大人びいていたけど……本当に大人っぽくなったなぁ。
「イデアルは、部屋で寝るのか。おやすみ、ゆっくりと休むんだぞ」
「はい」
でも、シュロムの言葉に嬉しそうに笑う姿は、まだまだ子供っぽくもある。そう言うところは、イデアルも可愛らしいのだ。
子供達の寝室に向かいながら、自室に向かうイデアルと別れ、先に着替えに行ったシュロムと別れ、子供達の寝室に入る。
ほとんど寝ているアグノスをベッドに下ろすとあっという間に穏やかな寝息が聞こえ始める。
その左隣に体を横たえると、ティグレもアグノスの右隣へと体を横たえた。
「アグノス、すぐ寝ちゃったな」
うつ伏せで頬杖をついたティグレが眠っているアグノスを見下ろす。
アグノスのまだふくふくとした柔らかい頬を指でぷにぷにしているが熟睡しているアグノスは、遊ばれている事に気づくことなく眠っていた。
元々よく寝てよく遊ぶ子だったから、眠くなると寝付くまで早いのに、成長する事に頑張って起きようとする事も増えてきている。
頑張った結果がこうなんだけど、それすら微笑ましくなるのだから愛おしい。
「できるだけ皆と起きていたいのか頑張っていたからね」
「それは、わかる! 俺の父上といっぱい話したいし、兄上やディロス達ともいっぱい話したいもん!」
アグノスを起こさない様に声を押さえながらも表情の活発さはそのままなティグレが明るく笑う。
こんなティグレも皆で暮らすようになってからより明るくなったというのだから、以前一人で自分の離宮にいた時は寂しかったのだろう。
「そうだね。好きな人達と過ごせるのは嬉しいもんね」
「おう!」
嬉しそうに頷いたティグレに僕も笑みを浮かべ、その頭を撫でるために手を伸ばしたのだった。
さっきまで眠そうだったのに興奮しながら話し続けるティグレに相づちを打ちながら、シュロムは笑みを浮かべている。
「なるほど、エクスの連撃を防いで一撃で決めたテオドーロが凄かったと……経験を積んだ者同士の鍛練を見るのも、いい経験になる。良いものが見れたな」
「はい!」
頷くティグレにシュロムは、その頭を撫でた。
「さて、まだ話を聞きたいところだが……ここで話すのもなんだ。寝室で眠りにつくまでゆっくりと聞かせてもらおうか。眠そうなアグノスをそのままにするのも可哀想だ」
「あっ! そ、そうですね!」
興奮したままのティグレにシュロムが柔らかく笑みを浮かべて告げると、ティグレも眠りに行くところだったのを思い出したのか、ハッ! とした表情でこちらを振り向いた。
僕の抱えたアグノスは、すでに船を漕ぎながらもなんとか起きている状態で、それを見たティグレが焦り始める。
「うわっ!? アグノス、ディロス、ごめん!?」
「ふふっ、大丈夫だよ。さ、寝室に行こう」
慌てて僕の側に駆け寄ってきたティグレに微笑みかけてから視線をシュロムに向け、問いかける。
「シュロムは、着替えてから来るよね?」
「ああ」
かっちりとした軍服の様な礼装状態でベッドに入るわけには、いかないと言うようにシュロムが頷いた。
「だって、ティグレ。……あ、そうだ。シュロムが帰って来たけど、イデアルはそのまま部屋で寝る?一緒に寝なくてもいい?」
「はい、大丈夫です」
シュロムが帰って来たから、一緒に寝たいかもしれないと思い隣にいるイデアルに訪ねるも、笑みを浮かべて頷かれてしまった。
元々、大人びいていたけど……本当に大人っぽくなったなぁ。
「イデアルは、部屋で寝るのか。おやすみ、ゆっくりと休むんだぞ」
「はい」
でも、シュロムの言葉に嬉しそうに笑う姿は、まだまだ子供っぽくもある。そう言うところは、イデアルも可愛らしいのだ。
子供達の寝室に向かいながら、自室に向かうイデアルと別れ、先に着替えに行ったシュロムと別れ、子供達の寝室に入る。
ほとんど寝ているアグノスをベッドに下ろすとあっという間に穏やかな寝息が聞こえ始める。
その左隣に体を横たえると、ティグレもアグノスの右隣へと体を横たえた。
「アグノス、すぐ寝ちゃったな」
うつ伏せで頬杖をついたティグレが眠っているアグノスを見下ろす。
アグノスのまだふくふくとした柔らかい頬を指でぷにぷにしているが熟睡しているアグノスは、遊ばれている事に気づくことなく眠っていた。
元々よく寝てよく遊ぶ子だったから、眠くなると寝付くまで早いのに、成長する事に頑張って起きようとする事も増えてきている。
頑張った結果がこうなんだけど、それすら微笑ましくなるのだから愛おしい。
「できるだけ皆と起きていたいのか頑張っていたからね」
「それは、わかる! 俺の父上といっぱい話したいし、兄上やディロス達ともいっぱい話したいもん!」
アグノスを起こさない様に声を押さえながらも表情の活発さはそのままなティグレが明るく笑う。
こんなティグレも皆で暮らすようになってからより明るくなったというのだから、以前一人で自分の離宮にいた時は寂しかったのだろう。
「そうだね。好きな人達と過ごせるのは嬉しいもんね」
「おう!」
嬉しそうに頷いたティグレに僕も笑みを浮かべ、その頭を撫でるために手を伸ばしたのだった。
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