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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
60:第二王子の特訓
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マリカ嬢とのお茶会から二日。アグノスが落ち着くまでは、僕の側妃教育もエリーとするものだけとした。
元々は、マリカ嬢とのお茶会も週一を予定していたが、とりあえずマリカ嬢との顔合わせが穏やかに済んだからシュロムやノウリッジ様的には、及第点ってところだったんだろう。
僕としても、今の状態のアグノスがいるとマリカ嬢とサージュ様との側妃教育に身が入るとも思えないからこの配慮はありがたい限りだ。
一応二週間後には、エリーとマリカ嬢の顔合わせも兼ねたお茶会が予定されているので、それまでにはアグノスが落ち着いてくれたらな。と、思っている。
今のところ……ちょっと不安なんだけどね。
「アグノス、何か飲む?」
「うん!」
今日も僕にベッタリなアグノスに尋ねれば、アグノスは嬉しそうに頷く。
しばらくは、お茶会の予定はないよ。と告げたら、アグノスの機嫌は治ったが、普段より僕から離れるのを嫌がるようになったのだ。
まあ、トイレやお風呂で離れるのも嫌がっていた初日に比べたら……まだ改善したとは言えるんだけど……。
「モリー、アグノスにおやつとジュースを。それと、ティグレ達の分も」
「かしこまりました」
「ティグレー!エスク様ー!一度休憩にしませんかー!」
モリーに飲み物を頼みつつ、僕は庭で剣術の鍛練をしているティグレとその護衛騎士長であるエスク様へと声をかける。
「わかったー!いいだろエクス!」
僕の声に木剣を振っていたティグレが動きを止め、横でティグレの動きを指導していたエクス様へと視線を向けた。
「構いませんよ。少し休憩しましょう」
ティグレの言葉にエクス様が頷く。ティグレの護衛騎士長であるエクス様は、先代から代替わりされたばかりの年若い方で、僕やアグノスの護衛騎士長であるミゲル様やテオドーロ様より年下である。ついでに言えば、僕よりも。
まだ二十代前半の彼は、淡い茶髪と柔らかな顔つきに似合わず、騎士として鍛え上げられた体をしている。
性格も優しい方であるし……原作では、ティグレにとってはもう一人の兄の様な人になる。
ティグレが軍に入っても、護衛騎士団から移動し、腹心として仕えた方。
最後までティグレと戦いを共にし、生き延びた方。
誰よりも……ティグレが凶刃に倒れた事を守れなかった事を悔いた方である。
「エクスも食べて良いんだからな!」
「はい、ありがとうございます」
僕の前に座ったティグレは、ニコニコとしながら、エクス様におやつを勧めている。
エクス様が剣術の師となっても、今まで通り振る舞うティグレの無邪気さは相変わらずだ。
そこがティグレの人に好かれるところなのだろう。
エクス様と笑い合うティグレを見ながら、ティグレがティグレである事を喜ばしく思った。
元々は、マリカ嬢とのお茶会も週一を予定していたが、とりあえずマリカ嬢との顔合わせが穏やかに済んだからシュロムやノウリッジ様的には、及第点ってところだったんだろう。
僕としても、今の状態のアグノスがいるとマリカ嬢とサージュ様との側妃教育に身が入るとも思えないからこの配慮はありがたい限りだ。
一応二週間後には、エリーとマリカ嬢の顔合わせも兼ねたお茶会が予定されているので、それまでにはアグノスが落ち着いてくれたらな。と、思っている。
今のところ……ちょっと不安なんだけどね。
「アグノス、何か飲む?」
「うん!」
今日も僕にベッタリなアグノスに尋ねれば、アグノスは嬉しそうに頷く。
しばらくは、お茶会の予定はないよ。と告げたら、アグノスの機嫌は治ったが、普段より僕から離れるのを嫌がるようになったのだ。
まあ、トイレやお風呂で離れるのも嫌がっていた初日に比べたら……まだ改善したとは言えるんだけど……。
「モリー、アグノスにおやつとジュースを。それと、ティグレ達の分も」
「かしこまりました」
「ティグレー!エスク様ー!一度休憩にしませんかー!」
モリーに飲み物を頼みつつ、僕は庭で剣術の鍛練をしているティグレとその護衛騎士長であるエスク様へと声をかける。
「わかったー!いいだろエクス!」
僕の声に木剣を振っていたティグレが動きを止め、横でティグレの動きを指導していたエクス様へと視線を向けた。
「構いませんよ。少し休憩しましょう」
ティグレの言葉にエクス様が頷く。ティグレの護衛騎士長であるエクス様は、先代から代替わりされたばかりの年若い方で、僕やアグノスの護衛騎士長であるミゲル様やテオドーロ様より年下である。ついでに言えば、僕よりも。
まだ二十代前半の彼は、淡い茶髪と柔らかな顔つきに似合わず、騎士として鍛え上げられた体をしている。
性格も優しい方であるし……原作では、ティグレにとってはもう一人の兄の様な人になる。
ティグレが軍に入っても、護衛騎士団から移動し、腹心として仕えた方。
最後までティグレと戦いを共にし、生き延びた方。
誰よりも……ティグレが凶刃に倒れた事を守れなかった事を悔いた方である。
「エクスも食べて良いんだからな!」
「はい、ありがとうございます」
僕の前に座ったティグレは、ニコニコとしながら、エクス様におやつを勧めている。
エクス様が剣術の師となっても、今まで通り振る舞うティグレの無邪気さは相変わらずだ。
そこがティグレの人に好かれるところなのだろう。
エクス様と笑い合うティグレを見ながら、ティグレがティグレである事を喜ばしく思った。
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