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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
55:寝る前の挨拶
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夕食後、先に僕達がお風呂に入る事になり、アグノスをつれて浴室へと向かう。
お風呂でもアグノスのくっつき虫は健在で頭や体を洗う時以外はくっつかれていたのは言うまでもない。
もちろん、お風呂上がりも。
互いにほかほかの状態でアグノスを抱えるのはちょっと暑い……。
今日は、早めに自室に入って二人で過ごす事にしよう。
アグノスを抱えたまま、皆がいるであろう談話室へと足を進めた。
「あ! ディロス! アグノス!」
夕食時に使ったテーブルが片づけられた談話室に入れば、僕らに気づいたティグレが駆けてくる。
奥の長椅子では、シュロムとイデアルが座っているのが見えた。
「アグノスまだくっついてるのか?」
「うん。でも、甘えたい時もあるだろうからね」
僕の足元でアグノスを見上げるティグレへと笑いかける。
「今日は、アグノスと寝てあげたいから早めに自室で寝るね」
「そっかー……今日はアグノスと一緒に寝れないのか」
ちょっとしょんぼりした様子のティグレ。
普段は、子供達だけで寝る時もあるし、家族で寝る事も多い。
たまに、こうやって親子だけで眠る時もあるけど……今日のようにアグノスの機嫌で別れるのは初めてだから寂しいのだろう。
「たまにはね。ほら、アグノス。ティグレにお休みにぎゅーしてあげて」
「ん」
抱えているアグノスを下ろせば、お休みのハグはしたかったのか素直に頷く。
「おやすみアグノス」
「おやすみ兄様」
二人でぎゅーっと抱き締めあっているのを微笑ましく見ているとシュロムとイデアルもこちらへと歩いてくる。
「今日はもう寝るんだな」
「うん、アグノスについててあげたいから」
シュロムの言葉に頷くと、その隣でアグノスがイデアルにも抱きついていた。
「……父上」
「どうした? 俺にも抱きついてくれるのか?」
「ん」
まだ、複雑そうな顔をしているけど、シュロムにも抱っこと両手をあげたアグノスにシュロムが微笑む。
「そうか。おやすみアグノス」
「うん……おやすみなさい、父上」
アグノスを抱き上げて、あやすシュロム。
夕食前に比べると少しは機嫌が治ったらしいアグノスにホッとしながら、シュロムからアグノスを受け取った。
「ディロス」
アグノスを抱え直していたら、アグノスごとシュロムに抱き寄せられる。
「ふふ……おやすみシュロム」
「ああ、おやすみ」
僕とアグノスの額に口づけるシュロムに小さく笑っていると、腰に小さな衝撃を受けた。
「おやすみディロス!」
小さな衝撃の正体はティグレで、ニコニコと笑みを浮かべていた。
アグノスとハグしたからか、寂しさは消えたようだ。
「うん、おやすみティグレ。それにイデアルも」
「はい、おやすみなさいディロス様」
三人と眠る前の挨拶を交わし、見送られながら僕はアグノスと共に自室へと足を進めた。
お風呂でもアグノスのくっつき虫は健在で頭や体を洗う時以外はくっつかれていたのは言うまでもない。
もちろん、お風呂上がりも。
互いにほかほかの状態でアグノスを抱えるのはちょっと暑い……。
今日は、早めに自室に入って二人で過ごす事にしよう。
アグノスを抱えたまま、皆がいるであろう談話室へと足を進めた。
「あ! ディロス! アグノス!」
夕食時に使ったテーブルが片づけられた談話室に入れば、僕らに気づいたティグレが駆けてくる。
奥の長椅子では、シュロムとイデアルが座っているのが見えた。
「アグノスまだくっついてるのか?」
「うん。でも、甘えたい時もあるだろうからね」
僕の足元でアグノスを見上げるティグレへと笑いかける。
「今日は、アグノスと寝てあげたいから早めに自室で寝るね」
「そっかー……今日はアグノスと一緒に寝れないのか」
ちょっとしょんぼりした様子のティグレ。
普段は、子供達だけで寝る時もあるし、家族で寝る事も多い。
たまに、こうやって親子だけで眠る時もあるけど……今日のようにアグノスの機嫌で別れるのは初めてだから寂しいのだろう。
「たまにはね。ほら、アグノス。ティグレにお休みにぎゅーしてあげて」
「ん」
抱えているアグノスを下ろせば、お休みのハグはしたかったのか素直に頷く。
「おやすみアグノス」
「おやすみ兄様」
二人でぎゅーっと抱き締めあっているのを微笑ましく見ているとシュロムとイデアルもこちらへと歩いてくる。
「今日はもう寝るんだな」
「うん、アグノスについててあげたいから」
シュロムの言葉に頷くと、その隣でアグノスがイデアルにも抱きついていた。
「……父上」
「どうした? 俺にも抱きついてくれるのか?」
「ん」
まだ、複雑そうな顔をしているけど、シュロムにも抱っこと両手をあげたアグノスにシュロムが微笑む。
「そうか。おやすみアグノス」
「うん……おやすみなさい、父上」
アグノスを抱き上げて、あやすシュロム。
夕食前に比べると少しは機嫌が治ったらしいアグノスにホッとしながら、シュロムからアグノスを受け取った。
「ディロス」
アグノスを抱え直していたら、アグノスごとシュロムに抱き寄せられる。
「ふふ……おやすみシュロム」
「ああ、おやすみ」
僕とアグノスの額に口づけるシュロムに小さく笑っていると、腰に小さな衝撃を受けた。
「おやすみディロス!」
小さな衝撃の正体はティグレで、ニコニコと笑みを浮かべていた。
アグノスとハグしたからか、寂しさは消えたようだ。
「うん、おやすみティグレ。それにイデアルも」
「はい、おやすみなさいディロス様」
三人と眠る前の挨拶を交わし、見送られながら僕はアグノスと共に自室へと足を進めた。
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