92 / 114
第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
49:護衛騎士団と王国軍
しおりを挟む
長椅子へと座り、甘えたなアグノスを膝に乗せたまま、おやつを食べさせたのだけど……。
幼児返りというか、赤ちゃん返りというか……帰ってきていこう僕にベッタリになってしまった。
「とうさま」
「うん、ここに居るよ」
お茶を終え、夕食まで談話室で過ごす事にしたんだけど、僕の膝から降りようとしない。
お茶を終えた後もひっつき虫だったから、頑張ってここまで運んだ。
抱っこしたまま立ち上がるのは、さすがに辛かったけどね。
「アグノス、本読んであげよう」
「アグノス、兄上が読んでくれるって!」
いつもと様子の違うアグノスにイデアルとティグレも気を使ってくれる。
イデアルは、お茶会を終えた後だし、ティグレもお留守番をアグノスとしてくれた後なのに優しい。
二人もまだ甘えたい盛りなはずなのに、申し訳なく思う。
「栄光あるシィーズ国は、国を守る武力に優れた王国軍と王家を守る忠義に満ちた護衛騎士団の双璧に寄って守られている」
長椅子に座る僕の両隣をイデアルとティグレが挟み、僕の膝の上に座るアグノスへとイデアルが読み聞かせてくれる。
今日選んだ本は、国を守る国軍と王族を守る護衛騎士団の話のようだ。
どちらも武勇に優れた人で構成された組織で、大陸の中心にあり、周囲を隣国で囲まれたこの国を守る要職。
各領地に領主率いる兵士団もあるけど、戦争の為と言うよりは領地の治安維持も兼ねているので、国の主戦力ではない。
例外として、隣国に隣接している辺境伯の兵士団は、侵略された場合の防衛戦も想定しているから他の領地よりは練度が高いと言われているけどね。
だけど、領地の兵士団から推薦されて国軍入りする場合もあるから、やはり国軍と言うのは熟練者の集まる組織だと思う。
そして、特別なのが護衛騎士団。全てが身元の確かな貴族で構成され、王家への忠誠心と確かな武力を求められる。
憧れの職ではあるけど、平民を受け入れている軍とは違って、貴族でなければ振り落とされる狭き門だ。
まあ、特殊というか異質な組織としてロン率いる暗部もあるんだけどね。
あっちは王家に忠誠を誓っている完全な一族組織。養子や婿入り嫁入りはあるけど、縁者でなければ所属できないから護衛騎士団より門は極狭だ。
そのわりには、侍女や侍従、護衛騎士から軍人、果ては貴族平民まで居るらしいから驚くしかないんだけど……。
ロン含めて掛け持ちしている人も居るらしいから恐ろしい。
モリーは、ロンの養女だけど暗部所属というよりは、暗部の技術を持っている侍女止まりらしいけどね。
「こうして敵国の侵略を防いだ将軍は、国王から多大な勲章や報奨を得て貴族となり、今もその血筋は国を守る守護者として名を轟かせている」
僕が物思いにふけている間に、一つの物語を読み終えたらしい。
ちなみに、今の話は護衛騎士団長のイロアス様と軍団長のセーリオ様お二人のご実家の話である。
約二百年ちょっと前の話なのに、未だに継続している血筋っていうのが凄い。
王家はそれ以上に血筋を連ねているからもっと凄いんだけど……貴族家って以外と消えるから。
それだけの変わらぬ忠誠心と家の存続って難しいんだよ。
良いよねぇ……忠義の軍人家系……。
歴史好き、戦記好きとしては堪らない家系だ。
「やっぱりかっこいいな将軍って!」
「そうだね。かっこいいよねぇ……」
話を聞き終わって興奮するティグレに僕も相槌を打つ。
「よし! 俺、軍人になる!」
だけど、ここでそんな言葉がティグレの口から飛び出すとは思わなかった。
幼児返りというか、赤ちゃん返りというか……帰ってきていこう僕にベッタリになってしまった。
「とうさま」
「うん、ここに居るよ」
お茶を終え、夕食まで談話室で過ごす事にしたんだけど、僕の膝から降りようとしない。
お茶を終えた後もひっつき虫だったから、頑張ってここまで運んだ。
抱っこしたまま立ち上がるのは、さすがに辛かったけどね。
「アグノス、本読んであげよう」
「アグノス、兄上が読んでくれるって!」
いつもと様子の違うアグノスにイデアルとティグレも気を使ってくれる。
イデアルは、お茶会を終えた後だし、ティグレもお留守番をアグノスとしてくれた後なのに優しい。
二人もまだ甘えたい盛りなはずなのに、申し訳なく思う。
「栄光あるシィーズ国は、国を守る武力に優れた王国軍と王家を守る忠義に満ちた護衛騎士団の双璧に寄って守られている」
長椅子に座る僕の両隣をイデアルとティグレが挟み、僕の膝の上に座るアグノスへとイデアルが読み聞かせてくれる。
今日選んだ本は、国を守る国軍と王族を守る護衛騎士団の話のようだ。
どちらも武勇に優れた人で構成された組織で、大陸の中心にあり、周囲を隣国で囲まれたこの国を守る要職。
各領地に領主率いる兵士団もあるけど、戦争の為と言うよりは領地の治安維持も兼ねているので、国の主戦力ではない。
例外として、隣国に隣接している辺境伯の兵士団は、侵略された場合の防衛戦も想定しているから他の領地よりは練度が高いと言われているけどね。
だけど、領地の兵士団から推薦されて国軍入りする場合もあるから、やはり国軍と言うのは熟練者の集まる組織だと思う。
そして、特別なのが護衛騎士団。全てが身元の確かな貴族で構成され、王家への忠誠心と確かな武力を求められる。
憧れの職ではあるけど、平民を受け入れている軍とは違って、貴族でなければ振り落とされる狭き門だ。
まあ、特殊というか異質な組織としてロン率いる暗部もあるんだけどね。
あっちは王家に忠誠を誓っている完全な一族組織。養子や婿入り嫁入りはあるけど、縁者でなければ所属できないから護衛騎士団より門は極狭だ。
そのわりには、侍女や侍従、護衛騎士から軍人、果ては貴族平民まで居るらしいから驚くしかないんだけど……。
ロン含めて掛け持ちしている人も居るらしいから恐ろしい。
モリーは、ロンの養女だけど暗部所属というよりは、暗部の技術を持っている侍女止まりらしいけどね。
「こうして敵国の侵略を防いだ将軍は、国王から多大な勲章や報奨を得て貴族となり、今もその血筋は国を守る守護者として名を轟かせている」
僕が物思いにふけている間に、一つの物語を読み終えたらしい。
ちなみに、今の話は護衛騎士団長のイロアス様と軍団長のセーリオ様お二人のご実家の話である。
約二百年ちょっと前の話なのに、未だに継続している血筋っていうのが凄い。
王家はそれ以上に血筋を連ねているからもっと凄いんだけど……貴族家って以外と消えるから。
それだけの変わらぬ忠誠心と家の存続って難しいんだよ。
良いよねぇ……忠義の軍人家系……。
歴史好き、戦記好きとしては堪らない家系だ。
「やっぱりかっこいいな将軍って!」
「そうだね。かっこいいよねぇ……」
話を聞き終わって興奮するティグレに僕も相槌を打つ。
「よし! 俺、軍人になる!」
だけど、ここでそんな言葉がティグレの口から飛び出すとは思わなかった。
40
お気に入りに追加
5,696
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
愛され奴隷の幸福論
東雲
BL
両親の死により、伯父一家に当主の座を奪われ、妹と共に屋敷を追い出されてしまったダニエル。
伯爵家の跡継ぎとして、懸命に勉学に励み、やがて貴族学園を卒業する日を間近に迎えるも、妹を守る為にダニエルは借金を背負い、奴隷となってしまう──……
◇◇◇◇◇
*本編完結済みです*
筋肉男前が美形元同級生に性奴隷として買われて溺愛されるお話です(ざっくり)
無表情でツンツンしているけれど、内心は受けちゃん大好きで過保護溺愛する美形攻め×純粋培養された健気素直故に苦労もするけれど、皆から愛される筋肉男前受け。
体が大っきくて優しくて素直で真面目で健気で妹想いで男前だけど可愛いという受けちゃんを、不器用ながらもひたすらに愛して甘やかして溺愛する攻めくんという作者が大好きな作風となっております!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました
織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
転生した脇役平凡な僕は、美形第二王子をヤンデレにしてしまった
七瀬おむ
BL
(追記)アンダルシュノベルズ様より書籍化予定となります。本当に、応援してくださった皆様のおかげです!
■転生した平凡執事が、無意識に美形第二王子をヤンデレ化させてしまう話。
美形ヤンデレ第二王子×平凡転生執事/ヤンデレ・執着攻め/ハッピーエンド
■あらすじ
前世でプレイしていた乙女ゲーム『ルナンシア物語』の世界に転生してしまった、第二王子の執事「エミル」。
『ルナンシア物語』は、ヒロインの聖女「マリア」が、俺様系第一王子「イザク」と、類稀なる美貌を持つが心に闇を抱える第二王子「アルベルト」、この二人の王子から取り合いをされるドキドキの乙女ゲームである。
しかし、単なる脇役執事であるエミルは、主人である第二王子アルベルトと、ヒロインのマリアが結ばれなければ死んでしまう!
死を回避するため奮闘するエミルだったが、なぜかアルベルトはマリアに興味がなく、それどころか自分に強い執着を向けるようになって……!?
■注意書き
※カップリングは固定、総受けではありませんのでご了承ください。
※サブキャラ同士ですが、男女カップリングがあります。
※攻め→→→[越えられない壁]→→(←←)受けくらいのイメージです!
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。