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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

46:笑み

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「確かに見事な絵ですな」
「繊細な筆使いですね。イデアル様のお心が感じ取れる作品ですわ」
「ありがとうございます」

 イデアルの描いた絵をノウリッジ様夫妻にも見てもらうと、お二人からもお褒めの言葉が上がる。

「こちらにあるのは、陛下とティグレ殿下のものだけなのですね。ディロス様やご子息のアグノス様のものはないのですか?」
「描いてはいるのですが……こちらには、学友も招きますので二人の絵は飾っていないんです」

 サージュ様からの質問にイデアルが答える。

 イデアルは僕達の親子の絵も書いているけど、その全ては家族で住んでいる離宮だけに飾られていた。

「そうなのですね。確かにお二人の存在は知られていますが、お披露目はまだですのでその対応が正しいのかもしれませんね」

 イデアルの返事を聞いて、サージュ様が納得したように頷く。

 離宮入りした時、護衛騎士に囲まれながら王宮から練り歩くように離宮に向かった為に僕とアグノスの事は、公然の秘密のような扱いのままだ。

 アグノスの王族の特徴は広まっているだろうし、僕の告発に対してもある程度は周知されているけど……それでも、お披露目されていなければ、秘された側妃であり、アグノスも王族の特徴を持った種のわからぬ落胤でしかなかった。

「ディロス様には、ご子息がいらっしゃるのですか?」

 アグノスの存在を知らなかったらしいマリカ嬢が不思議そうに僕を見上げる。

「はい。特殊な事情の子ですが……とても良い子で大切な息子なんです」

 アグノスの事情を説明するには、まだ早いと思い言葉を濁しながらマリカ嬢へと微笑む。

 そんな僕にマリカ嬢は、ぱっちりとした目を瞬かせながら口を開いた。

「ディロス様、お母様みたいに笑うんですね」
「んぐ……っ……!?」

 思いもよらなかったマリカ嬢の言葉に思わず、変な声が出る。

 言葉を詰まらせる僕に、キョトンとしているマリカ嬢。そして、笑いを堪えるイデアルとノウリッジ様達。

「ど、どうしてそう思ったのですか?」
「お母様が私の事を褒めてくださる時と同じですの! だから、お母様みたいに笑うディロス様の笑顔素敵だと思いますわ!」

 屈託のない笑みを浮かべて笑うマリカ嬢にこれには敵わないと思った。

「ふふふっ……そうですか。そう言ってもらえて光栄です」
「うふふふふ」

 父親としては複雑だけど、純粋な好意だから否定するのも悪い。それに……親と言ってもらえるのは、母親の様に見えると言われたとしても嬉しかった。

 僕がマリカ嬢へと笑みを浮かべれば、マリカ嬢も笑みを返してくれた。
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