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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

45:戻ってきた二人

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「戻りました」
「おじい様! おばあ様! イデアル様、とても絵がお上手なのよ!」

 ノウリッジ夫妻と実家の家族の話をしていたら、イデアルとマリカ嬢が戻ってきた。

 どうやら、離宮の中に飾ってあるイデアルの絵を見せてきたらしい。

「イデアル殿下は、絵画がお好きでしたか」
「まだまだつたない腕ですが……」
「そんな事ありませんわ! とても、素敵でしたもの! 陛下やティグレ殿下の絵は、本当にお二人がお好きなんだなって……とても優しい絵でしたの!」

 ノウリッジ様の言葉に謙遜しようとしたイデアルだったが、まだ手を繋いだままのマリカ嬢からの熱弁にきょとんと目を見開く。

 そして、手放しに褒めるマリカ嬢に気恥ずかしそうにしながらも柔らかく笑みを浮かべた。

「……ありがとうマリカ嬢」
「なぜ私がお礼を言っていただけるんですの?」

 不思議そうに首を傾げるマリカ嬢の表情にはお世辞や打算などは、浮かんでいない。

 ただ、単純に祖父母であるお二人にイデアルの描いた絵の素晴らしさを伝えたかっただけなのだろう。

「それより、イデアル様! いつか、イデアル様の気が向いた時で構いません! 私も書いていただけますでしょうか?」

 少し照れたように微笑むマリカ嬢は愛らしい。

「いいよ。でも、もう少し待ってもらえるかな? 今書いている物に集中したいんだ」
「もちろんです! いつまでも待ちますわ!」
「そんなに長くはかからないよ」

 なんだかんだ不安そうだったもマリカ嬢の素直さに満更でもないようで良く笑う。

 相性は、やっぱり悪くはなさそうだ。

 まあ、まだイデアルからしたら妹のようなものかもしれないが……それは、時間がどうにかしてくれるのではないかと思う。

「イデアル殿下。私どもにも描かれた絵を見せていただく事はできますかな?」
「少し恥ずかしいですが……構いませんよ」

 ノウリッジ様達に見せるのはまだ恥ずかしそうにしながらもイデアルが頷く。

「マリカ嬢、もう一度見に行く事になるけどいいかな?」
「はい!」

 イデアルの言葉にマリカ嬢が頷く。

 最初に散策に行った時より、ずっと砕けた口調になっている事に今さら気づきながら、僕やノウリッジ様夫妻を連れてイデアルはマリカ嬢と共に絵の飾ってある広間へと案内してくれたのだった。
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