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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

42:王妃という存在

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 マリカ嬢の考えを聞いて、そして今ここにいる僕という存在を考えて口を開く。

「マリカ様は、王妃が守られる立場の人間だと考えているんですね」
「はい……王妃は、王族として多くの騎士に守られていますから」

 確かに普通に考えたらそうだろう。多くの騎士に囲まれ、王の伴侶として国の頂点に並ぶのだから。

「マリカ嬢は、守る立場で居たいと言ってましたが……王妃や王太子妃もまた守る立場の人間だと私は考えています」
「そうなのですか?」
「ええ……もちろん、王妃に望まれるのは正統な後継者を望まれるのが一番の役目ではありますが……。王妃は、公の場で王の隣に立つ者です。敵意を持つ者は、王に刃が届く前に騎士が止めるのが理想ですが……それが叶わなかった時。王を守るのは王妃の役目だとも考えています」

 この言葉は、まだ幼いマリカ嬢に子供を望むと同時にいざとなったら王の為……イデアルの為に死ねと言っているのも同義。

 祖父母であるノウリッジ様達の前で言葉にするべき者ではないけど……それが彼女に望まれた役割である事も事実だった。

「王を守る……」
「そうです。マリカ様の憧れた忠義の騎士のように、その身だけでなく、心も支え、守るべき存在だと言えるでしょう」

 視線を上げて、僕を見たマリカ嬢に頷いて言葉を続ける。

「そして、王だけでなく、母として次代の王を守る事もあると思います」
「?」

 首を傾げながらも、聞く姿勢になったマリカ嬢へと笑みを浮かべる。

「例えば、この離宮が敵に攻め込まれたとして……子供と共に逃げて、守る事もあるでしょう。もしくは、一人離宮に残り……敵の注意を自身に向けて時間を稼ぐ事もできる。……そう聞くと、守られるだけではないと感じませんか?」
「っ……思います!」

 再び目を輝かせたマリカ嬢にやはり素直な子だと思う。

 そんな子だからこそ、改めてイデアルの側に居てほしいとも思うのだ。

「王妃という役割は、とても大変な役目だと思いますが……マリカ様であれば果たせると見込まれてのお話だと思っています。騎士に憧れる気持ちはわかりますが、もう少しイデアル殿下の事を知ってから決めてもいいのではないでしょうか?」
「イデアル殿下を……?」

 マリカ嬢がイデアルへと視線を向ける。その視線に僕の話を真剣に聞いていたイデアルが気づいて、柔らかく笑みを浮かべていた。

 その笑みにマリカ嬢の頬が赤らむのを見て、マリカ嬢の中で何かが変わったように思えた。

 この様子なら、たぶん二人は大丈夫だと思う。

「妃になるとしても、騎士としても、イデアル殿下の人となりを知る事は大切だと思いますから……殿下。少し、お二人で散策されてきたらいかがでしょうか?」
「そうですね。マリカ嬢、少しお付き合いいただけますか?」

 僕の提案に頷いたイデアルがマリカ嬢を誘う。

「……はい」

 イデアルの誘いに小さく頷いたマリカ嬢がイデアルのエスコートに連れられて、数人の侍女と共に離宮の散策に向かうのをノウリッジ様達と微笑ましく見送った。
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