お飾り婿の嫁入り 血の繋がらない息子のために婿入り先の悪事を暴露したら、王様に溺愛されました

海野璃音

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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

27:二人の時間

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 夕食を食べて、夕食後のお茶をお行儀よく……でも、楽しげに今日習った事をシュロムに披露するティグレとアグノスを眺めながら、一日が過ぎていく。

 お風呂も終え、子供達をシュロムと一緒に寝かしつけたら、僕らの時間だ。

 子供達のベッドから抜け出し、二人だけの寝室に向かう。

「妃教育は、辛くないか?」

 寝室の長椅子に並んで座ると、シュロムがそんな事を聞いてくる。

「慣れないなと思うこともあるけど……でも、楽しいと思う事も増えたし、それがシュロムの為になると思うから頑張れるよ」

 気遣うような表情のシュロムに笑みを浮かべれば、シュロムが柔らかく笑みを返してくれた。

「そうか。俺は、お前のような側妃を得られて幸せ者だな」

 シュロムが僕の腰を抱き寄せ、額へと口づける。

 それがどこかこそばゆくて小さく声を漏らす。

「ふふふっ」
「どうした?」
「ふふ、シュロムと触れ合えることが嬉しくて」

 首を傾げるシュロムに甘えるようにもたれ掛かれば、シュロムも僕の頭に軽く頬を寄せた。

「そうか」

 しばらく互いの存在を寄り添いながら感じていたのだけど、シュロムへと少し視線を向ければ、その動きに気づいたシュロムが視線を合わせてくれる。

 深紅の瞳は、優しく僕を見つめていて、引き込まれるような感覚を覚えた。

「ディロス」

 近づくシュロムの顔、重なる唇に、
僕は瞼を閉じて口づけを受け入れる。

「んっ……ぁ……」

 優しく、だけど深い口づけに僕はシュロムの背中へと両手を回す。

「ん、はっ……ぁっ……」

 シュロムの腕に抱き抱えられ、より深くなる口づけに体が火照っていくのがわかった。

「っ……」

 口づけが終わり、瞼を開ければシュロムが額をくっつけるように僕を覗き込んでいる。

「シュロム……」

 名前を呼べば、深紅の瞳が揺れた。

「……準備してくるから、愛してくれる?」

 自分から誘うのは恥ずかしいのだけど……最近頑張っているからいっぱい甘やかして愛してほしかった。

「いくらでも」

 シュロムが僕の頬へと口づけを落とす。

 これからだと言うのに……その動きだけですごくドキドキする自分がいた。
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