66 / 114
第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
23:久しぶりの再会
しおりを挟む
「久しぶりエリー」
「お久しゅうございます。ディロス様」
シュロムからお茶会の日程を聞いた日から二日。
久しぶりにエリーが離宮へと訪れた。
玄関で迎えた彼女は、相変わらず姿勢が良く、年齢を感じさせない。
この離宮ができて一年足らず。エリーと離れていたのは半年と少しだけど……それでも、すごく懐かしい気がした。
「エリー!」
「アグノス様もお元気そうですね。ティグレ様もおかわりありませんか?」
「おう」
久しぶりに会うエリーにアグノスが抱きつきに行き、ティグレはいつもよりお行儀よくしている。
やんちゃばかりして叱られる事が多かったから、エリーの前ではいつもの一、二割は、大人しくなるんだよね。
それでも、遊ぶ時は気にせず遊ぶのだけど。
「アグノス、ティグレ。僕は、エリーとお勉強しなきゃいけないから二人で遊んでてくれる?」
「はーい!」
「わかった!」
エリーに抱きついているアグノスと僕の隣にいるティグレに声をかければ二人とも頷いてくれる。
「マリー、二人をお願いね」
「かしこまりました。ティグレ様、アグノス様お庭へ向かいましょう」
「おう!」
「うん!」
側に控えていたマリーへと二人を頼めば、マリーはアグノスとティグレを連れて、庭へと向かっていった。
「それじゃあ、今日はよろしくエリー」
「はい、与えられたお役目。しっかり勤めさせていただきます」
「お手柔らかに頼むよ」
気合いの入った様子のエリーに少したじろぐ。
王妃の侍女と王の乳母を務めた彼女。新たに僕の教育に携わる事となってやる気は十分だった。
エリーを迎えた玄関から談話室へと移動し、妃教育を受ける。
といっても……今日は、今の僕の教養を確認するだけだったんだけど。
「伯爵子息、侯爵配偶者としての教養は問題ありませんね」
「……久しぶりだったから、心配だったけどね」
この二年シュロムに甘えていたから、貴族らしいマナーなど最低限で過ごしてきたのだ。
子供達に教える事はあったけど……それでも公的な場所でのマナーなんて久しぶりだった。
「ですが、妃としての振るまいにするとなると学ばねばならないことも多いのは事実です」
「だよね」
というよりは、男性女性でマナーが違ったりするのだ。僕は男だけど側妃。そこをどちらに合わせるかも問題だった。
「とりあえずお茶会の日までは私が担当いたしますが、その日以降は宰相夫人も講師となります」
「そうなの?」
「外交などに関しては、宰相夫人の方がお詳しいですからね。私は基本的な立ち振舞いを、宰相夫人には対人的なものをお願いする予定です」
どうやら、宰相夫人はマリカ嬢の祖母としてだけではなく、講師としても招かれるようだ。
でも、宰相夫人として、夜会での外交や貴族達との関わりもあるからそう言われると彼女しか適任はいないのだろう。
シュロムは僕を唯一の妃として扱うために僕の教育は必須だと考えていた。
しかし、宰相夫人を講師として招くにしても、男の側妃の元に女性の講師を縁者でもないのに呼ぶのは難しい。
となると、僕の妃としての教育をするために離宮に招く理由として、他の理由も必要となる。
おそらく、マリカ様が婚約者候補第一位だったのは揺るぎないが、選ばれたのは僕の為もあるのだろう。
何から何までシュロムには敵わないなと思った。
「お久しゅうございます。ディロス様」
シュロムからお茶会の日程を聞いた日から二日。
久しぶりにエリーが離宮へと訪れた。
玄関で迎えた彼女は、相変わらず姿勢が良く、年齢を感じさせない。
この離宮ができて一年足らず。エリーと離れていたのは半年と少しだけど……それでも、すごく懐かしい気がした。
「エリー!」
「アグノス様もお元気そうですね。ティグレ様もおかわりありませんか?」
「おう」
久しぶりに会うエリーにアグノスが抱きつきに行き、ティグレはいつもよりお行儀よくしている。
やんちゃばかりして叱られる事が多かったから、エリーの前ではいつもの一、二割は、大人しくなるんだよね。
それでも、遊ぶ時は気にせず遊ぶのだけど。
「アグノス、ティグレ。僕は、エリーとお勉強しなきゃいけないから二人で遊んでてくれる?」
「はーい!」
「わかった!」
エリーに抱きついているアグノスと僕の隣にいるティグレに声をかければ二人とも頷いてくれる。
「マリー、二人をお願いね」
「かしこまりました。ティグレ様、アグノス様お庭へ向かいましょう」
「おう!」
「うん!」
側に控えていたマリーへと二人を頼めば、マリーはアグノスとティグレを連れて、庭へと向かっていった。
「それじゃあ、今日はよろしくエリー」
「はい、与えられたお役目。しっかり勤めさせていただきます」
「お手柔らかに頼むよ」
気合いの入った様子のエリーに少したじろぐ。
王妃の侍女と王の乳母を務めた彼女。新たに僕の教育に携わる事となってやる気は十分だった。
エリーを迎えた玄関から談話室へと移動し、妃教育を受ける。
といっても……今日は、今の僕の教養を確認するだけだったんだけど。
「伯爵子息、侯爵配偶者としての教養は問題ありませんね」
「……久しぶりだったから、心配だったけどね」
この二年シュロムに甘えていたから、貴族らしいマナーなど最低限で過ごしてきたのだ。
子供達に教える事はあったけど……それでも公的な場所でのマナーなんて久しぶりだった。
「ですが、妃としての振るまいにするとなると学ばねばならないことも多いのは事実です」
「だよね」
というよりは、男性女性でマナーが違ったりするのだ。僕は男だけど側妃。そこをどちらに合わせるかも問題だった。
「とりあえずお茶会の日までは私が担当いたしますが、その日以降は宰相夫人も講師となります」
「そうなの?」
「外交などに関しては、宰相夫人の方がお詳しいですからね。私は基本的な立ち振舞いを、宰相夫人には対人的なものをお願いする予定です」
どうやら、宰相夫人はマリカ嬢の祖母としてだけではなく、講師としても招かれるようだ。
でも、宰相夫人として、夜会での外交や貴族達との関わりもあるからそう言われると彼女しか適任はいないのだろう。
シュロムは僕を唯一の妃として扱うために僕の教育は必須だと考えていた。
しかし、宰相夫人を講師として招くにしても、男の側妃の元に女性の講師を縁者でもないのに呼ぶのは難しい。
となると、僕の妃としての教育をするために離宮に招く理由として、他の理由も必要となる。
おそらく、マリカ様が婚約者候補第一位だったのは揺るぎないが、選ばれたのは僕の為もあるのだろう。
何から何までシュロムには敵わないなと思った。
55
お気に入りに追加
5,691
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
冷酷な少年に成り代わってしまった俺の話
岩永みやび
BL
気が付いたら異世界にいた主人公。それもユリスという大公家の三男に成り代わっていた。しかもユリスは「ヴィアンの氷の花」と呼ばれるほど冷酷な美少年らしい。本来のユリスがあれこれやらかしていたせいで周囲とはなんだかギクシャク。なんで俺が尻拭いをしないといけないんだ!
知識・記憶一切なしの成り代わり主人公が手探り異世界生活を送ることに。
突然性格が豹変したユリスに戸惑う周囲を翻弄しつつ異世界ライフを楽しむお話です。
※基本ほのぼの路線です。不定期更新。冒頭から少しですが流血表現あります。苦手な方はご注意下さい。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた
しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエル・クーレルがなんだかんだあって、兄×2や学園の友達etc…に溺愛される???
家庭環境複雑だけれど、皆に愛されながら毎日を必死に生きる、ノエルの物語です。
R表現の際には※をつけさせて頂きます。当分は無い予定です。
現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、現在まで多くの方に閲覧頂いている為、改稿が終わり次第完結までの展開を書き進めようと思っております。
2024/11/12
(第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。