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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

23:久しぶりの再会

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「久しぶりエリー」
「お久しゅうございます。ディロス様」

 シュロムからお茶会の日程を聞いた日から二日。

 久しぶりにエリーが離宮へと訪れた。

 玄関で迎えた彼女は、相変わらず姿勢が良く、年齢を感じさせない。

 この離宮ができて一年足らず。エリーと離れていたのは半年と少しだけど……それでも、すごく懐かしい気がした。

「エリー!」
「アグノス様もお元気そうですね。ティグレ様もおかわりありませんか?」
「おう」

 久しぶりに会うエリーにアグノスが抱きつきに行き、ティグレはいつもよりお行儀よくしている。

 やんちゃばかりして叱られる事が多かったから、エリーの前ではいつもの一、二割は、大人しくなるんだよね。

 それでも、遊ぶ時は気にせず遊ぶのだけど。

「アグノス、ティグレ。僕は、エリーとお勉強しなきゃいけないから二人で遊んでてくれる?」
「はーい!」
「わかった!」

 エリーに抱きついているアグノスと僕の隣にいるティグレに声をかければ二人とも頷いてくれる。

「マリー、二人をお願いね」
「かしこまりました。ティグレ様、アグノス様お庭へ向かいましょう」
「おう!」
「うん!」

 側に控えていたマリーへと二人を頼めば、マリーはアグノスとティグレを連れて、庭へと向かっていった。

「それじゃあ、今日はよろしくエリー」
「はい、与えられたお役目。しっかり勤めさせていただきます」
「お手柔らかに頼むよ」

 気合いの入った様子のエリーに少したじろぐ。

 王妃の侍女と王の乳母を務めた彼女。新たに僕の教育に携わる事となってやる気は十分だった。

 エリーを迎えた玄関から談話室へと移動し、妃教育を受ける。

 といっても……今日は、今の僕の教養を確認するだけだったんだけど。

「伯爵子息、侯爵配偶者としての教養は問題ありませんね」
「……久しぶりだったから、心配だったけどね」

 この二年シュロムに甘えていたから、貴族らしいマナーなど最低限で過ごしてきたのだ。

 子供達に教える事はあったけど……それでも公的な場所でのマナーなんて久しぶりだった。

「ですが、妃としての振るまいにするとなると学ばねばならないことも多いのは事実です」
「だよね」

 というよりは、男性女性でマナーが違ったりするのだ。僕は男だけど側妃。そこをどちらに合わせるかも問題だった。

「とりあえずお茶会の日までは私が担当いたしますが、その日以降は宰相夫人も講師となります」
「そうなの?」
「外交などに関しては、宰相夫人の方がお詳しいですからね。私は基本的な立ち振舞いを、宰相夫人には対人的なものをお願いする予定です」

 どうやら、宰相夫人はマリカ嬢の祖母としてだけではなく、講師としても招かれるようだ。

 でも、宰相夫人として、夜会での外交や貴族達との関わりもあるからそう言われると彼女しか適任はいないのだろう。

 シュロムは僕を唯一の妃として扱うために僕の教育は必須だと考えていた。

 しかし、宰相夫人を講師として招くにしても、男の側妃の元に女性の講師を縁者でもないのに呼ぶのは難しい。

 となると、僕の妃としての教育をするために離宮に招く理由として、他の理由も必要となる。

 おそらく、マリカ様が婚約者候補第一位だったのは揺るぎないが、選ばれたのは僕の為もあるのだろう。

 何から何までシュロムには敵わないなと思った。
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