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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
22:王の心の内[シュロム視点]
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ディロスとイデアルに茶会の事を告げ、夕食を終えた。
子供達は、体を清めに風呂へと行き、ディロスもアグノスに乞われてついていってしまったので、今は一人談話室で過ごしている。
しかし……一人で過ごしていると二人には酷な事をしたと思う。
イデアルには、いずれ訪れる事であり、俺も体験した事だ。
自分の役目を理解している子だからこそ、受け入れてくれるとは思っているが……それでも、一人の令嬢を妃に。いずれの王配として迎える覚悟というものを抱えさせるには優しすぎる子だとも思う。
そして、ディロスにとっては本来必要でないものを強いろうとしている。
側妃の役目は、王の子を産む事の他に、王を癒す事だ。
男であるディロスに前者は求めることはできず、後者しか求めていなはずだった。
元は、その身柄を守る為に迎えた側妃。
しかし、互いに少しずつ引かれあい、想いを交わした。
情の深いディロスは、共に子を慈しみ育てる相手としても理想だった。
影から俺を支え、子供達を愛する……それだけで良かったはずだった。
だが、国が落ち着き……一部の貴族達は、王家へと縁を結ぼうと画策する。
イデアルやティグレだけでなく、俺とすらも。
そうなると邪魔になるのはディロスだ。
子を産めぬ、男の側妃。
反乱防いだ功績があれど、納得しない者がいるのも必然だった。
ゆえに、ディロスを我が唯一の妃として扱う必要性が出てきた。
側妃でありながら、王妃と同等の公務を行える唯一の妃として。
俺にとっての正妃は、子供達の母であり、国を共に背負うと誓ったレーヌだけ。
側妃は、最愛なるディロスだけでいい。
王として、血を多く残すのが役目だとしても、先王である父と同じような道を歩みたくなかった。
「陛下ー。眉間のシワすっごいですよー」
思考の渦に捕らわれた俺の耳に、ロンの……ローランの声が届く。
「はぁ……うるさいぞ」
「まぁまぁ、一杯いかがですかー?」
ため息をついて視線を向ければ、ローランの手には、トレイの上に乗った酒とグラス二つがある。
……二つ?
「誰の分だ」
ディロスは、子供達と風呂に入っているし、元々酒に弱いから嗜まないからディロスの分だとは考えられない。
「俺のでーす」
「……職務中だろう」
「一杯くらいは目を瞑ってくださいよー」
そう言ってローランは、俺の正面へと座る。
この離宮の者にこいつの正体は知らせているが……その正体ゆえに、こんな姿見せられるわけがない。
そう思って談話室を見渡すが、俺の思考は読まれていたのか、他の従者や侍女、護衛すらも人払いした後なのか誰もいなかった。
「その辺りは、抜かりないですよ。それと、ディロス様にも伝えてあるんでしばらくは殿下達とお風呂楽しんでますよ」
……我が暗部の専属護衛は、隙だらけのようで、油断も隙もない。
「さ、いろいろあって愚痴りたいでしょう! いくらでも聞いてあげますよ!」
目の前で二つのグラスに注がれた琥珀色の液体。
「敵わんなお前には」
互いに一つづつ取り、小さくグラスをぶつける。
心の内に溜まったディロスへも言えない澱みを……腹心であり、かけがえのない友へと打ち明けた。
子供達は、体を清めに風呂へと行き、ディロスもアグノスに乞われてついていってしまったので、今は一人談話室で過ごしている。
しかし……一人で過ごしていると二人には酷な事をしたと思う。
イデアルには、いずれ訪れる事であり、俺も体験した事だ。
自分の役目を理解している子だからこそ、受け入れてくれるとは思っているが……それでも、一人の令嬢を妃に。いずれの王配として迎える覚悟というものを抱えさせるには優しすぎる子だとも思う。
そして、ディロスにとっては本来必要でないものを強いろうとしている。
側妃の役目は、王の子を産む事の他に、王を癒す事だ。
男であるディロスに前者は求めることはできず、後者しか求めていなはずだった。
元は、その身柄を守る為に迎えた側妃。
しかし、互いに少しずつ引かれあい、想いを交わした。
情の深いディロスは、共に子を慈しみ育てる相手としても理想だった。
影から俺を支え、子供達を愛する……それだけで良かったはずだった。
だが、国が落ち着き……一部の貴族達は、王家へと縁を結ぼうと画策する。
イデアルやティグレだけでなく、俺とすらも。
そうなると邪魔になるのはディロスだ。
子を産めぬ、男の側妃。
反乱防いだ功績があれど、納得しない者がいるのも必然だった。
ゆえに、ディロスを我が唯一の妃として扱う必要性が出てきた。
側妃でありながら、王妃と同等の公務を行える唯一の妃として。
俺にとっての正妃は、子供達の母であり、国を共に背負うと誓ったレーヌだけ。
側妃は、最愛なるディロスだけでいい。
王として、血を多く残すのが役目だとしても、先王である父と同じような道を歩みたくなかった。
「陛下ー。眉間のシワすっごいですよー」
思考の渦に捕らわれた俺の耳に、ロンの……ローランの声が届く。
「はぁ……うるさいぞ」
「まぁまぁ、一杯いかがですかー?」
ため息をついて視線を向ければ、ローランの手には、トレイの上に乗った酒とグラス二つがある。
……二つ?
「誰の分だ」
ディロスは、子供達と風呂に入っているし、元々酒に弱いから嗜まないからディロスの分だとは考えられない。
「俺のでーす」
「……職務中だろう」
「一杯くらいは目を瞑ってくださいよー」
そう言ってローランは、俺の正面へと座る。
この離宮の者にこいつの正体は知らせているが……その正体ゆえに、こんな姿見せられるわけがない。
そう思って談話室を見渡すが、俺の思考は読まれていたのか、他の従者や侍女、護衛すらも人払いした後なのか誰もいなかった。
「その辺りは、抜かりないですよ。それと、ディロス様にも伝えてあるんでしばらくは殿下達とお風呂楽しんでますよ」
……我が暗部の専属護衛は、隙だらけのようで、油断も隙もない。
「さ、いろいろあって愚痴りたいでしょう! いくらでも聞いてあげますよ!」
目の前で二つのグラスに注がれた琥珀色の液体。
「敵わんなお前には」
互いに一つづつ取り、小さくグラスをぶつける。
心の内に溜まったディロスへも言えない澱みを……腹心であり、かけがえのない友へと打ち明けた。
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