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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

20:夕食前の一時

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 イデアルが自分の離宮から帰って来て、アグノス達と遊んでいるのを見守っていたらシュロムが帰ってきた。

「父上! おかえりなさい!」
「父上、おかえりなさい」
「父上ー! おかえりなさーい!」
「ああ、ただいま」

 シュロムが帰ってきたのを見た子供達は、遊ぶのを止めてシュロムへと嬉しそうに駆けていく。

 シュロムが日が傾き始めたばかりに帰ってくるのは珍しいからだろう。

 まだ夕食の時間には早いけど……イデアルの婚約の事も話す為に帰ってきたのかな?

「とーさま! 父上、帰ってきたよ!」
「ディロス! 父上ー!」

 アグノスとティグレがシュロムの両手を引きながら連れてくる。なんだか、その表情が誇らしげで笑ってしまいそうになった。

「うん、連れてきてくれてありがとう。おかえりシュロム。早かったね」
「ただいま。夕食の席で話したい事もあるし、余裕を持って帰ってこようと思ってな」

 どうやら、僕の思ったとおりの理由だったらしい。

 だけど、シュロム達の後ろからついてきたイデアルの顔が少し強ばる。

 戸惑う視線が僕へ向けられたのを見て、少しでも安心するように笑みを向け、シュロムへと視線を移した。

「そうなんだね。でも、まだ時間があるしティグレ達と遊んであげたら?」
「ふむ……そうだな」
「ホントに! やったー!」
「あそぶあそぶー!」

 僕の提案に頷いたシュロムにアグノスとティグレが嬉しそうに繋いだままのシュロムの手を揺らす。

「イデアルはどうする」
「私は……」

 ティグレ達にされるがままのシュロムがイデアルにも声をかけるがイデアルの返事は、迷うものだった。

「イデアルは少し休憩したら? ずっと遊んでてくれたでしょう?」
「そうか。なら、休んでいるといい。遊びたくなったらおいで」
「……はい」

 頷いたイデアルにシュロムは微笑み、ティグレとアグノスに連れられて庭の中央へと歩いていく。

「イデアル、お茶でも飲もう」
「はい」

 僕の座る長椅子の隣を叩けば、イデアルがそこへ座る。

 モリー達にイデアルの分のお茶を入れてもらいながら話を切り出す。

「まだ、不安?」
「はい……話が纏まったら夕食の席で、正式な話しになると言われていたので」
「そっか」

 入れてもらったお茶を飲みながら呟いたイデアルの頭を撫でる。

 イデアルのこの言葉とさっきのシュロムの言葉から、マリカ嬢との婚約が正式にまとまったのだろう。

 もしかしたら、今日の執務はそれがメインだったのかもしれない。

 お茶会の日程なども話し合われているのなら僕も覚悟しとかなきゃ……と、イデアルに気づかれないように覚悟した。
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