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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
19:庭でのおやつタイム
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庭に向かい、おやつが出てくるまで遊ぶ子供達を眺める。
初夏迎えつつある離宮は寒すぎず暑すぎず子供達を外で遊ばせるには最適な季節だ。
前世の世界では、温暖化などが問題になっていたようだが、ここは、水路も流れていて、標高も少し高い為か夏でもゆだる様な暑さになることはない。
毎年、大きなつば広帽を被って駆け回る二人の姿が風物詩なのだが……それもあと何年見られることか……。
「とーさまー!」
「ディロスー!」
走り回り、立ち止まった子供達が僕を見て手を振る。
アグノスは走っても転ばなくなった。ティグレは、二年前よりずっと足が速くなった。
子供の成長は心も体も早い。
「そろそろ戻っておいでー」
「はーい!」
「わかったー!」
手を振り替えして、呼べば楽しそうな笑顔で駆けてくる。
まだまだ可愛い子供でいてほしいというのは、僕の我が儘だろう。
いつか二人もイデアルのように物事を考えられるようになるかもしれない。
……自分で考えててちょっと、想像できないけど。
たぶん、二人は二人でイデアルとは違う悩みとか持つとは思うし、現状のアグノスの事でも僕は悩んでいるんだけど……。
「おやつもうくる?」
「今日なんだろな? モリー聞いてるか?」
「聞いてないんですよー。そっちの方がワクワクするじゃないですかー」
「はっ! 確かに!」
「たしかにー!」
今日のおやつが何かをモリーと話しながら、表情をコロコロ変えている二人に今は考えても仕方ないや……と笑ってしまった。
「お待たせしました。お茶とお菓子をお持ちしましたよ」
「あ、マリー! おやつ! おやつ!」
「今日なに!? クッキーに……あ、フルーツケーキもある! やった!」
アグノス達を呼び戻してから時間を置かずにマリーがおやつを持ってきてくれて、それを覗き込もうと二人がピョコピョコ跳ねる。
可愛いけど、危ないから止めさせないと。
「ほら、二人とも座って。マリーにぶつかったら危ないからね?」
「はーい!」
「わかった!」
テンションは高めながらも、しっかりと言うことを聞いてくれる二人はいい子だ。
反抗期らしい反抗期が今のところないけど……反抗期が来たらどうなるんだろう?
というか、来るのだろうか?
イデアルは……僕達が離宮入りした時がピークだったかもしれない……。
「父様たべないの? おいしいよ!」
「美味いぞ! ディロス !」
考え込む僕にアグノスとティグレが笑いながらケーキを進めてくる。
その様子に反抗期の影も形も見当たらなかった。
「ううん、食べるよ」
「だよな! 美味しいものは皆で食った方が美味いもん!」
僕の言葉にティグレが満足そうに笑う。
「みんなでたべるとおいしい? ……モリーも、たべる?」
「えー、いいんですかー」
「モリー控えなさい」
「マリーも食えばいいじゃん!」
アグノスの差し出したクッキーをモリーが受け取ろうとし、それをマリーが止めようとするもそんなマリーにティグレがクッキーを差し出す。
「ディロス様……」
「いいんじゃない? 食べてあげても」
困惑するマリーに食べる事を進めれば、気を引き締めた様子でティグレからクッキー受けとる。
「ありがとうございますティグレ様」
「おう!」
マリーがクッキーを受け取ってくれた事に喜ぶティグレに僕は口を開く。
「ケーキを食べ終わったら、他の皆にも配ってきたら?」
「! そうする!」
「するー!」
僕の言葉に目を輝かせて、ケーキ食べ始めた二人を見守りながら、イデアルが戻ってくるまで僕らは庭で過ごすのだった。
初夏迎えつつある離宮は寒すぎず暑すぎず子供達を外で遊ばせるには最適な季節だ。
前世の世界では、温暖化などが問題になっていたようだが、ここは、水路も流れていて、標高も少し高い為か夏でもゆだる様な暑さになることはない。
毎年、大きなつば広帽を被って駆け回る二人の姿が風物詩なのだが……それもあと何年見られることか……。
「とーさまー!」
「ディロスー!」
走り回り、立ち止まった子供達が僕を見て手を振る。
アグノスは走っても転ばなくなった。ティグレは、二年前よりずっと足が速くなった。
子供の成長は心も体も早い。
「そろそろ戻っておいでー」
「はーい!」
「わかったー!」
手を振り替えして、呼べば楽しそうな笑顔で駆けてくる。
まだまだ可愛い子供でいてほしいというのは、僕の我が儘だろう。
いつか二人もイデアルのように物事を考えられるようになるかもしれない。
……自分で考えててちょっと、想像できないけど。
たぶん、二人は二人でイデアルとは違う悩みとか持つとは思うし、現状のアグノスの事でも僕は悩んでいるんだけど……。
「おやつもうくる?」
「今日なんだろな? モリー聞いてるか?」
「聞いてないんですよー。そっちの方がワクワクするじゃないですかー」
「はっ! 確かに!」
「たしかにー!」
今日のおやつが何かをモリーと話しながら、表情をコロコロ変えている二人に今は考えても仕方ないや……と笑ってしまった。
「お待たせしました。お茶とお菓子をお持ちしましたよ」
「あ、マリー! おやつ! おやつ!」
「今日なに!? クッキーに……あ、フルーツケーキもある! やった!」
アグノス達を呼び戻してから時間を置かずにマリーがおやつを持ってきてくれて、それを覗き込もうと二人がピョコピョコ跳ねる。
可愛いけど、危ないから止めさせないと。
「ほら、二人とも座って。マリーにぶつかったら危ないからね?」
「はーい!」
「わかった!」
テンションは高めながらも、しっかりと言うことを聞いてくれる二人はいい子だ。
反抗期らしい反抗期が今のところないけど……反抗期が来たらどうなるんだろう?
というか、来るのだろうか?
イデアルは……僕達が離宮入りした時がピークだったかもしれない……。
「父様たべないの? おいしいよ!」
「美味いぞ! ディロス !」
考え込む僕にアグノスとティグレが笑いながらケーキを進めてくる。
その様子に反抗期の影も形も見当たらなかった。
「ううん、食べるよ」
「だよな! 美味しいものは皆で食った方が美味いもん!」
僕の言葉にティグレが満足そうに笑う。
「みんなでたべるとおいしい? ……モリーも、たべる?」
「えー、いいんですかー」
「モリー控えなさい」
「マリーも食えばいいじゃん!」
アグノスの差し出したクッキーをモリーが受け取ろうとし、それをマリーが止めようとするもそんなマリーにティグレがクッキーを差し出す。
「ディロス様……」
「いいんじゃない? 食べてあげても」
困惑するマリーに食べる事を進めれば、気を引き締めた様子でティグレからクッキー受けとる。
「ありがとうございますティグレ様」
「おう!」
マリーがクッキーを受け取ってくれた事に喜ぶティグレに僕は口を開く。
「ケーキを食べ終わったら、他の皆にも配ってきたら?」
「! そうする!」
「するー!」
僕の言葉に目を輝かせて、ケーキ食べ始めた二人を見守りながら、イデアルが戻ってくるまで僕らは庭で過ごすのだった。
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