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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
10:隣にある温もり
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「ありがとう……お前にばかり負担を増やしてすまない」
「僕の事も考えての判断だったんでしょう? なら、僕は君を責められないよ」
向かい合って座っていた長椅子から立ち上がり、シュロムの隣へと腰を降ろす。
「静かに、ひっそりと暮らしていければよかったけど……そうだよね。そうもいかないよね。君は王様だもの」
シュロムの肩に寄りかかり、シュロムの手に手を重ねながら呟く。
「すまん」
「謝らないで、そんな君を好きになったのは僕だもの」
シュロムの指が僕に絡む。見上げるように視線を上げれば、シュロムの深紅の瞳と視線が交わった。
先ほどの真剣なものとは違い、慈しむよう柔らかい色に感じる瞳へと笑みを浮かべて、わずかに背を伸ばして唇を重ねる。
「だから、シュロムの方が辛そうな顔しないで」
「……すまん」
「さっきから謝ってばっかりだね」
アグノスの話を聞いて、イデアルに婚約者の話から僕の事まで話さなければならなかったシュロムの心労は、大きなものだったに違いない。
僕も僕で……心は落ち着いていないけど、シュロムの沈んだ顔を見るのは嫌だった。
「今日は休もう。疲れたでしょう」
「俺は、お前に甘えてばかりだな」
シュロムの手を引くように立ち上がれば、シュロムは小さく笑みを浮かべて僕に続く。
「普段は、僕が甘やかされてるんだよ」
「いや、普段から甘やかされている自信があるぞ」
「そんなことないって」
互いに胸の内に抱えたものはあれど、軽口を叩きながら寝台へと寝転べば、シュロムの腕の中に抱えられた。
「ほら、すぐに僕を抱き込んじゃう」
「これは甘えてるんだ」
「……そう言うことにしといてあげる」
シュロムの言い分を苦笑しながら受け入れ、その背中に腕を回す。
「……これからも、いろんな事があるんだろうね」
「だろうな」
「君と一緒に居たいから、なにがあっても頑張るよ」
「俺も努力しよう。王として足りるよう……お前達を手放さないように」
「うん」
互いの存在を感じながら思う事を呟く。
隣にある温もりがあれば、挫けそうな時も頑張れる気がした。
「僕の事も考えての判断だったんでしょう? なら、僕は君を責められないよ」
向かい合って座っていた長椅子から立ち上がり、シュロムの隣へと腰を降ろす。
「静かに、ひっそりと暮らしていければよかったけど……そうだよね。そうもいかないよね。君は王様だもの」
シュロムの肩に寄りかかり、シュロムの手に手を重ねながら呟く。
「すまん」
「謝らないで、そんな君を好きになったのは僕だもの」
シュロムの指が僕に絡む。見上げるように視線を上げれば、シュロムの深紅の瞳と視線が交わった。
先ほどの真剣なものとは違い、慈しむよう柔らかい色に感じる瞳へと笑みを浮かべて、わずかに背を伸ばして唇を重ねる。
「だから、シュロムの方が辛そうな顔しないで」
「……すまん」
「さっきから謝ってばっかりだね」
アグノスの話を聞いて、イデアルに婚約者の話から僕の事まで話さなければならなかったシュロムの心労は、大きなものだったに違いない。
僕も僕で……心は落ち着いていないけど、シュロムの沈んだ顔を見るのは嫌だった。
「今日は休もう。疲れたでしょう」
「俺は、お前に甘えてばかりだな」
シュロムの手を引くように立ち上がれば、シュロムは小さく笑みを浮かべて僕に続く。
「普段は、僕が甘やかされてるんだよ」
「いや、普段から甘やかされている自信があるぞ」
「そんなことないって」
互いに胸の内に抱えたものはあれど、軽口を叩きながら寝台へと寝転べば、シュロムの腕の中に抱えられた。
「ほら、すぐに僕を抱き込んじゃう」
「これは甘えてるんだ」
「……そう言うことにしといてあげる」
シュロムの言い分を苦笑しながら受け入れ、その背中に腕を回す。
「……これからも、いろんな事があるんだろうね」
「だろうな」
「君と一緒に居たいから、なにがあっても頑張るよ」
「俺も努力しよう。王として足りるよう……お前達を手放さないように」
「うん」
互いの存在を感じながら思う事を呟く。
隣にある温もりがあれば、挫けそうな時も頑張れる気がした。
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