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一部番外編

他視点3-3:王の計画[シュロム視点]

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 そこまで考えて、思考を散らす。今からそこまでの覚悟を決めてもきりがないからだ。

 遠い遠い先の想定ばかりに気を取られるとは……少し疲れたか。

 額に手を当て、溜息を吐けばそのタイミングでノウリッジが書類を持って執務室へと入って来た。

「新たな離宮の建設費と慰霊碑の建設費の計算が完了したのでお持ちいたしました……お疲れのようですね」

 苦笑しながら、容赦なくノウリッジが持ってきた書類を執務机に乗せてくる。

「最近落ち着いていたが……離宮や慰霊碑の件で帰れていないからな」

 新しく建てるにしてもどこの庭園を潰すか、どのくらいの規模にするか、職人を入れている期間の警備をどうするか……。自ら提案した事だが、思ったより考える事が多くてかなわん。

 そんなことを考えていたら、俺の呟きにノウリッジがくつくつと笑う。

「いやはや、陛下が離宮に帰りたいと願うようになるとは……ディロス様には感謝しなければなりませんな」

 ノウリッジのその言葉に以前は俺が仕事ばかりするから離宮に帰れと小言を言ってくる筆頭だった事を思い出す。

 それゆえに、俺を見る視線がまるで子供を見るような微笑ましいものに見えて居心地が悪かった。

「今日はそれが終わったら離宮に戻ってはいかがですか?予算が決定すれば、後はこちらで手配しておきましょう」
「……そうする」

 ノウリッジからの提案に頷き、書類へと目を通す。予算としては、高めに想定していたが、それを超える事もなく範囲内に収まっているし、想定外の費用がかかる場合の予算も問題のない範囲に収まっているから大丈夫だろう。

 書類に承認の署名をして、ノウリッジへと渡す。

「この予算で構わない。ああ、それと……離宮を立てる際に使う予算は俺の個人予算から使ってくれ」
「よろしいのですか?」
「先の戦いで、故人の遺族や引退した者への保障に多く税をつかったからな。個人的な理由で立てる離宮へまで国民の血税を使うわけにもいくまい」

 取り潰した貴族家の資産なども押収しているが……それも、国民へ還元したいし、俺の資産もそれなりにはあるから離宮一つ立てるのに使っても問題はない。

「かしこまりました。それでは、そのように」
「頼む」

 俺の指示を承諾したノウリッジを見送り、俺は護衛騎士と執務室付きの従者に声をかけて、離宮へと帰る準備を始めるのだった。
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