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一部番外編

後日談4-1:思い出した事

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 窓の外で遊ぶ子供達を見ていたらふと、今日はアグノスの誕生日だなぁと頭を過る。

 ん?誕生日?聞きなれない言葉になんだろうと首を傾げていると前世の知識だと言う事が思い浮かぶ。

 前世の僕の記憶を失ったからか、時折知識が上手く混ざらない所があるらしくこうやって突発的な知識が湧き上がってくるのだ。

 多少混乱するが、こうやって面白い知識が浮かび上がるので僕としては好ましい。

 とはいえ、誕生日。誕生日かぁ……。

 この世界に誕生日という概念はあるが、我が国では祝うと言う事はあまりしない。十歳の祝いと十六の成人の祝いを盛大にやるからだ。他国ではやっているところもあるらしいけどね。

 なので、アグノスが五歳になるというのに今までお祝いらしいお祝いをした事がない。

 でも、せっかく思い出したのだからお祝いしたいのも事実……。だけど、そうなったらティグレとイデアルの誕生日も祝ってあげられてないから不公平だとも思う。

「ねえ、ロン。ティグレとイデアルの誕生日って覚えてる?」
「ティグレ殿下は八月の二十日で、イデアル殿下は十一月の二十五日ですね。それと陛下は十二月の八日ですよ」

 聞いていないシュロムの誕生日まで教えてくれるのはさすがだと思う。だが、今日の日付は三月の二十四日。ティグレはだいぶ先だし、イデアルとシュロムに関しては過ぎているし、その頃は僕の意識のなかった頃である。お祝いとかもしてないだろうなぁ……。

 今思えば、ティグレの誕生日の頃は出会ってたんだし思い出せてれば祝って上げれたはずだというのが悔しい……。

 いや、でも……これからもチャンスはあるんだから、祝える事はあるはずだ。

「ロン、厨房に伝えて欲しいんだけど……あと、シュロムにも」

 今は、忘れないうちにアグノスのお祝いの準備をお願いしておこう。
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