21 / 114
一部番外編
後日談1-5:おやつの後のお絵描きタイム
しおりを挟む
子供達が目を覚まし、おやつを一緒に食べ、アグノスとティグレがお絵描きをしている横でイデアルの勉強を見る。
「とうさまー!みてー!」
絵を描き上げたらしいアグノスが僕へと声をかけ、描いた絵を上に掲げた。
「はいはーい、なにが描けたのかな?」
「とうさまと!にいさまと!あにうえに!ちちうえ!それとあぐのすも!」
描かれた絵を見れば、黒髪紫目の僕らしき人間と大小の金髪赤目の人間が四人描かれている。
金髪赤目の皆は髪の長さだったり、大きさだったりで特徴を捉えていた。
「わぁ、上手に描けてるねぇ」
小さな子供の絵だけど、一生懸命描かれた絵は微笑ましく、嬉しい気持ちになる。
「ディロス!おれのも!」
「ティグレも上手に描けたねぇ」
ティグレの描いたものも家族の絵で、アグノスのものに比べるとちょっとダイナミックだ。
このあたりは性格差だろうけど、特徴を捉えているあたりティグレも家族をよく見ているのだと思う。
そこに僕とアグノスも入っているのはアグノスが描いたものより気恥ずかしさがあるが嬉しい。
「あにうえもみてー!」
「あにうえー!」
「ん?ああ……良く描けてるね二人とも」
読んでいた教科書代わりの本から視線を上げたイデアルが二人の描いた絵を見て微笑み、二人の頭を順に撫でる。
撫でられたティグレもアグノスも、効果音をつけるならどやぁ……!と、言った表情で笑みを浮かべていた。
「なあ!にいさまもディロスもなんかかいて!」
「かいてかいて!」
興奮がピークに達した二人が、絵を抱えながらぴょんぴょんと跳ねる。
困った。絵はあんまり得意じゃないんだよなぁ。
「とうさま!」
「あにうえ!」
アグノスとティグレから僕とイデアルにも紙が渡され、イデアルと向かい合って苦い笑いを浮かべる。
きらきらと期待された眼差しを向けられたら断れるわけもないから描くんだけどね。
一時勉強を見るのを中断して、赤い目を期待に輝かせる二人の為に筆を……鉛筆を走らせる。
「これでいい?」
僕が描いたのは無難に丸を描いて、それに合わせて皆の特徴を描いた似顔絵らしきもの。
デフォルメが強いとは思うんだけど、これが精一杯なのだ。
「とうさまのえ、かわいいねぇ」
「かわいいけど……おれ、もうちょっとかっこよくかいてほしかったー!」
かわいいと褒めてくれるのは嬉しいけど、ごめんティグレ。僕にはかっこいい絵なんて描けないよ。
「ティグレ。描いてもらったのにわがまま言っちゃダメだよ。ほら、私ので我慢して」
そう言って、イデアルがティグレに渡したのは十歳のイデアルが描いたとは思えないほど、上手なティグレの絵だった。
「あにうえすげー!」
「すげー!あにうえ!あぐのすも!あぐのすも!」
「はいはい、描くからちょっと待ってね」
絵を受け取って嬉しそうに掲げるティグレ。ねだるアグノス。照れつつも嬉しそうに新しい紙にアグノスを描き始めるイデアル。仲のいい姿に笑みが溢れる。
「イデアル」
「はい?なんですか?」
「シュロムと僕の絵も描いてもらっていい?」
僕の言葉に目を瞬かせたイデアルだったけど、照れたように頬を赤らめ小さく頷いたのだった。
「とうさまー!みてー!」
絵を描き上げたらしいアグノスが僕へと声をかけ、描いた絵を上に掲げた。
「はいはーい、なにが描けたのかな?」
「とうさまと!にいさまと!あにうえに!ちちうえ!それとあぐのすも!」
描かれた絵を見れば、黒髪紫目の僕らしき人間と大小の金髪赤目の人間が四人描かれている。
金髪赤目の皆は髪の長さだったり、大きさだったりで特徴を捉えていた。
「わぁ、上手に描けてるねぇ」
小さな子供の絵だけど、一生懸命描かれた絵は微笑ましく、嬉しい気持ちになる。
「ディロス!おれのも!」
「ティグレも上手に描けたねぇ」
ティグレの描いたものも家族の絵で、アグノスのものに比べるとちょっとダイナミックだ。
このあたりは性格差だろうけど、特徴を捉えているあたりティグレも家族をよく見ているのだと思う。
そこに僕とアグノスも入っているのはアグノスが描いたものより気恥ずかしさがあるが嬉しい。
「あにうえもみてー!」
「あにうえー!」
「ん?ああ……良く描けてるね二人とも」
読んでいた教科書代わりの本から視線を上げたイデアルが二人の描いた絵を見て微笑み、二人の頭を順に撫でる。
撫でられたティグレもアグノスも、効果音をつけるならどやぁ……!と、言った表情で笑みを浮かべていた。
「なあ!にいさまもディロスもなんかかいて!」
「かいてかいて!」
興奮がピークに達した二人が、絵を抱えながらぴょんぴょんと跳ねる。
困った。絵はあんまり得意じゃないんだよなぁ。
「とうさま!」
「あにうえ!」
アグノスとティグレから僕とイデアルにも紙が渡され、イデアルと向かい合って苦い笑いを浮かべる。
きらきらと期待された眼差しを向けられたら断れるわけもないから描くんだけどね。
一時勉強を見るのを中断して、赤い目を期待に輝かせる二人の為に筆を……鉛筆を走らせる。
「これでいい?」
僕が描いたのは無難に丸を描いて、それに合わせて皆の特徴を描いた似顔絵らしきもの。
デフォルメが強いとは思うんだけど、これが精一杯なのだ。
「とうさまのえ、かわいいねぇ」
「かわいいけど……おれ、もうちょっとかっこよくかいてほしかったー!」
かわいいと褒めてくれるのは嬉しいけど、ごめんティグレ。僕にはかっこいい絵なんて描けないよ。
「ティグレ。描いてもらったのにわがまま言っちゃダメだよ。ほら、私ので我慢して」
そう言って、イデアルがティグレに渡したのは十歳のイデアルが描いたとは思えないほど、上手なティグレの絵だった。
「あにうえすげー!」
「すげー!あにうえ!あぐのすも!あぐのすも!」
「はいはい、描くからちょっと待ってね」
絵を受け取って嬉しそうに掲げるティグレ。ねだるアグノス。照れつつも嬉しそうに新しい紙にアグノスを描き始めるイデアル。仲のいい姿に笑みが溢れる。
「イデアル」
「はい?なんですか?」
「シュロムと僕の絵も描いてもらっていい?」
僕の言葉に目を瞬かせたイデアルだったけど、照れたように頬を赤らめ小さく頷いたのだった。
81
お気に入りに追加
5,696
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
悪役のはずだった二人の十年間
海野璃音
BL
第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。
破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
子育て騎士の奮闘記~どんぶらこっこと流れてきた卵を拾ってみた結果~
古森きり
BL
孤児院育ちのフェリツェは見習いから昇格して無事に騎士となり一年。
ある魔物討伐の遠征中に川を流れる竜の卵らしきものを拾った。
もしも竜が孵り、手懐けることができたら竜騎士として一気に昇進できる。
そうなれば――と妄想を膨らませ、持ち帰った卵から生まれてきたのは子竜。しかも、人の姿を取る。
さすがに一人で育てるのは厳しいと、幼馴染の同僚騎士エリウスに救助要請をすることに。
アルファポリス、BLoveに先行掲載。
なろう、カクヨム、 Nolaノベルもそのうち掲載する。
使い捨ての元神子ですが、二回目はのんびり暮らしたい
夜乃すてら
BL
一度目、支倉翠は異世界人を使い捨ての電池扱いしていた国に召喚された。双子の妹と信頼していた騎士の死を聞いて激怒した翠は、命と引き換えにその国を水没させたはずだった。
しかし、日本に舞い戻ってしまう。そこでは妹は行方不明になっていた。
病院を退院した帰り、事故で再び異世界へ。
二度目の国では、親切な猫獣人夫婦のエドアとシュシュに助けられ、コフィ屋で雑用をしながら、のんびり暮らし始めるが……どうやらこの国では魔法士狩りをしているようで……?
※なんかよくわからんな…と没にしてた小説なんですが、案外いいかも…?と思って、試しにのせてみますが、続きはちゃんと考えてないので、その時の雰囲気で書く予定。
※主人公が受けです。
元々は騎士ヒーローもので考えてたけど、ちょっと迷ってるから決めないでおきます。
※猫獣人がひどい目にもあいません。
(※R指定、後から付け足すかもしれません。まだわからん。)
※試し置きなので、急に消したらすみません。
召喚された聖女の兄は、どうやら只者ではないらしい
荷稲 まこと
BL
国にほど近い魔境に現れた魔王に対抗するため、国に古くから伝わる"聖女召喚の儀"が行われた。
聖女の召喚は無事成功した--が、聖女の兄だと言う男も一緒に召喚されてしまった。
しかもその男、大事な妹だけを戦場に送る訳にはいかない、自分も同行するから鍛えてくれ、などと言い出した。
戦いの経験があるのかと問えば、喧嘩を少々したことがある程度だと言う。
危険だと止めても断固として聞かない。
仕方がないので過酷な訓練を受けさせて、自ら諦めるように仕向けることにした。
その憎まれ役に選ばれたのは、王国騎士団第3隊、通称『対魔物隊』隊長レオナルド・ランテ。
レオナルドは不承不承ながら、どうせすぐに音を上げると隊員と同じ訓練を課すが、予想外にその男は食いついてくる。
しかもレオナルドはその男にどんどん調子を狂わされていきーーー?
喧嘩無敗の元裏番長(24) × 超鈍感初心嫌われ?隊長(27)
初投稿です!温かい目で見守ってやってください。
Bたちは初めからLし始めていますが、くっつくまでかなり長いです。
物語の都合上、NL表現を含みます。
脇カプもいますが匂わせる程度です。
2/19追記 完結まで書き終わっているので毎日コンスタントに投稿していこうと思っています。
思ってたよりずっと多くの人に読んでもらえていて嬉しいです!引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
2/25 追記 誤字報告ありがとうございました!承認不要とのことで、この場でお礼申し上げます。
ちょっと目を離した隙にエラいことになっててひっくり返りました。大感謝!
愛され奴隷の幸福論
東雲
BL
両親の死により、伯父一家に当主の座を奪われ、妹と共に屋敷を追い出されてしまったダニエル。
伯爵家の跡継ぎとして、懸命に勉学に励み、やがて貴族学園を卒業する日を間近に迎えるも、妹を守る為にダニエルは借金を背負い、奴隷となってしまう──……
◇◇◇◇◇
*本編完結済みです*
筋肉男前が美形元同級生に性奴隷として買われて溺愛されるお話です(ざっくり)
無表情でツンツンしているけれど、内心は受けちゃん大好きで過保護溺愛する美形攻め×純粋培養された健気素直故に苦労もするけれど、皆から愛される筋肉男前受け。
体が大っきくて優しくて素直で真面目で健気で妹想いで男前だけど可愛いという受けちゃんを、不器用ながらもひたすらに愛して甘やかして溺愛する攻めくんという作者が大好きな作風となっております!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。