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一部番外編
後日談1-4:昼下がりのお昼寝タイム
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雪の降る中、元気に外で遊び回る子供達を眺め、昼食前に切り上げてきた子達の入浴を待って、昼食をとった。
寒い中遊び回って、温まり、満腹になった子供達が眠気に誘われるのは必然的な事だろう。
僕の側で眠ると聞かない子供達に、談話室の暖炉の前へと敷き布をし、いくつものクッションと毛布にくるまる子供達の中心で本を読む。
僕の背中にはイデアルが背中を丸めてくっつきながら眠り、伸ばした両足にはアグノスが太ももを枕にしながら眠り、ティグレは僕の足を抱き枕にしながら眠っている。
二人が起きる頃には確実に足が痺れてるだろうなぁと思いながら、僕は文庫本サイズの小さな本を捲った。
「ディロス様、おやつの希望ありますかー?って、ポールが言ってますけどどうします?」
しばらく静寂の中で読書を楽しんでいると、僕の離宮の料理人からシュロムの離宮のおやつ係となったポールからの伝言をモリーが伝えに来る。
「僕は、なんでもいいけど……ケーキだと喜ぶかな?」
「わかりました!伝えておきます!」
僕の返答ににかっと笑って去っていったモリーの顔には、あの日リスティヒに切られた傷跡が未だに残っていた。
見る度に申し訳なくなるのだけど、「私が未熟な証なので、お気にしないでください!それに、これがあったら結婚しなさいって言われなくなったんで便利です!」と言われた。
いや、気にするし、後ろで聞いていたメリーとマリーが怒りを堪えた顔してたし、エリーは呆れてたのは言うまでもない。
たぶん、その後怒られたんだと思うモリーがしょんぼりしてたので相当絞られたのだと苦笑いするしかなかった。
ちなみに義理の父であるロンに聞いたら「相性いいのがいたら結婚させますよ。そっちの方が表で活動させるのに便利ですからね」との事である。
まあ、本人が結婚したくないならその意思を尊重してあげてほしいが……貴族としての繋がりもあるから難しいのは仕方ないのかな……。
とりあえずは、ロンのお眼鏡に叶いそうな人がいるかどうかだけど。
あの日、正体を公言していこう意外とモリーの事可愛がってるんだよねロン。
相変わらず、夜間の襲撃訓練してるらしいけど……義理の親子とは言え、女の子の部屋に襲撃かけるのはどうかと思うんだけどね僕。
そのあたりは、マリーの方がロンにもの申してるみたいだから何も言わないけどさ。
あの日以降、少し変わったけど相変わらずな皆に囲まれて過ごすのは、たぶん細やかな幸せなのだと思う。
そんな事を思いながら、本を閉じ、眠るアグノスの頭を撫でるのだった。
寒い中遊び回って、温まり、満腹になった子供達が眠気に誘われるのは必然的な事だろう。
僕の側で眠ると聞かない子供達に、談話室の暖炉の前へと敷き布をし、いくつものクッションと毛布にくるまる子供達の中心で本を読む。
僕の背中にはイデアルが背中を丸めてくっつきながら眠り、伸ばした両足にはアグノスが太ももを枕にしながら眠り、ティグレは僕の足を抱き枕にしながら眠っている。
二人が起きる頃には確実に足が痺れてるだろうなぁと思いながら、僕は文庫本サイズの小さな本を捲った。
「ディロス様、おやつの希望ありますかー?って、ポールが言ってますけどどうします?」
しばらく静寂の中で読書を楽しんでいると、僕の離宮の料理人からシュロムの離宮のおやつ係となったポールからの伝言をモリーが伝えに来る。
「僕は、なんでもいいけど……ケーキだと喜ぶかな?」
「わかりました!伝えておきます!」
僕の返答ににかっと笑って去っていったモリーの顔には、あの日リスティヒに切られた傷跡が未だに残っていた。
見る度に申し訳なくなるのだけど、「私が未熟な証なので、お気にしないでください!それに、これがあったら結婚しなさいって言われなくなったんで便利です!」と言われた。
いや、気にするし、後ろで聞いていたメリーとマリーが怒りを堪えた顔してたし、エリーは呆れてたのは言うまでもない。
たぶん、その後怒られたんだと思うモリーがしょんぼりしてたので相当絞られたのだと苦笑いするしかなかった。
ちなみに義理の父であるロンに聞いたら「相性いいのがいたら結婚させますよ。そっちの方が表で活動させるのに便利ですからね」との事である。
まあ、本人が結婚したくないならその意思を尊重してあげてほしいが……貴族としての繋がりもあるから難しいのは仕方ないのかな……。
とりあえずは、ロンのお眼鏡に叶いそうな人がいるかどうかだけど。
あの日、正体を公言していこう意外とモリーの事可愛がってるんだよねロン。
相変わらず、夜間の襲撃訓練してるらしいけど……義理の親子とは言え、女の子の部屋に襲撃かけるのはどうかと思うんだけどね僕。
そのあたりは、マリーの方がロンにもの申してるみたいだから何も言わないけどさ。
あの日以降、少し変わったけど相変わらずな皆に囲まれて過ごすのは、たぶん細やかな幸せなのだと思う。
そんな事を思いながら、本を閉じ、眠るアグノスの頭を撫でるのだった。
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